皆さんこんにちは! お元気ですか? 東京の読書パグ、ぐりです。僕がこの原稿を書いている部屋の外は大雨。そろそろ梅雨入りで、そのあとは暑い夏がやってくるんだなぁ。暑いのが苦手な僕は、ちょっとブルーになっちゃいます…。
初のハードボイルド小説
さて、犬に関係する本をご紹介し始めてから、何冊も面白い作品に出合いました。その中には、たぶんこのコーナーを担当していなければ、手に取らなかったも…という本もいくつかあります。それまでの僕の読書傾向とはちょっと違うものも、手に取って目を通すようになったからです。
今回ご紹介するのも、まさにそんな1冊。『セント・メリーのリボン』(稲見一良著 光文社文庫 2006年)は、ハードボイルド・タッチの、いってみれば”the 男の小説”という感じ。だって、僕、主人公が自分のことを「俺」って表現する小説、生まれて初めて読んだよ(笑)。
この本には、いくつかの短編がおさめられていていますが、表題作品はまさに犬の物語。今回はこの表題作「セント・メリーのリボン」をご紹介しますね。
竜門卓は、飼い主の元からいなくなった猟犬を探すことを専門とする探偵。山の中の一軒家に愛犬ジョーと共に暮らしています。ある日、卓の元に一本の電話がかかります。「いなくなったパグを探してほしい」という依頼だったのですが、「猟犬以外は探さない」と言ってあっさり断る卓。すると後日、本当の依頼人である女性(最初の依頼の電話は違う男からでした)が卓を訪ねてきます。そして再度捜索を頼むのですが、卓はまた断ります。ですが、一般的な迷い犬の探し方をさりげなく伝え、それをさっそく実行に移した女性は、無事パグを見つけられました(ヨカッタ!)。
キーワードは「人情」
このエピソードからも想像がつくかもしれませんが、卓は一本筋の通った男ではありますが、人情の厚い人でもあるのです。
それを素早く察知したこの女性は、後日、別の依頼をしてきます。それは「知り合いの娘さんの盲導犬を探してほしい」というもの。またまた猟犬ではないので断ろうとした卓でしたが、その娘と盲導犬の出会いや普段の様子を聞き、引き受けることにしました。
そして、わりとすぐに盲導犬を探し当てます。犯人は中年の男ですが、彼の家にいた盲導犬は、もう一人の娘と一緒にいて、その少女も実は全盲だったのです。
卓はとにかくこの盲導犬を引き取り、本当のパートナーの元に返します。しかし、そこは人情の卓。これで一件落着、とはしませんでした。その後彼がとった行動は? これは、本書に譲りますね。
この小説は、文体が歯切れがいいのです。こういうタッチの小説を読み慣れていない僕は、最初少し戸惑ったんだけど、一見強面ながら、実はハートの温かい卓の筋の通った行動にぐんぐん惹きつけられました。
あなたなら、誰に演じてほしい?
僕がこの物語を映像化するとしたら、卓役はそうだなあ、佐藤浩市さんにお願いしたい。飼い犬の捜索を依頼してくる女性は松雪泰子さん。でね、松雪さんの飼い犬のパグ役で僕も出たい。あ!でもそのパグって、実際に卓の目の前に現れることはないから、出演シーンがないか…
皆さんはこの物語を読んで、誰を配役したいと思うでしょうか。きっと僕とは全然違う人もたくさんいるでしょう。それが小説の面白さ、ですよね。
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Featured image | Hokkaido Guide Dog Association – photo by Hiroyuki Takeda / Flickr
読書犬「ぐり」はこれを読む!『陽だまりの天使たち ソウルメイトII 』~馳星周が描く人と犬の世界~ | the WOOF
皆さんこんにちは~。東京に住む読書犬、パグのぐりです。あけましておめでとうございます! 昨年は、僕の本&DVD紹介にお付き合いくださり、ありがとうございました。今年もたくさん本を読んで、DVDを見て、これぞ!という作品をご紹介できればと思っていますので、どうぞよろしくお願いしますね。