美味しくて価格もお手頃な豚肉は、疲労回復成分といわれるビタミンB1を豊富に含むパワーフードです。概ね安全に与えられますが、アレルギーや脂肪分の与えすぎによる消化不良などには注意が必要です。
豚肉に含まれる栄養素
豚肉は生命維持に欠かせない栄養素であるタンパク質を含んでいます。犬の体に必要な必須アミノ酸をバランスよく豊富に含んでおり、身体の機能を正常に保つうえでおおいに役立つ食材だといえます。
ビタミン、ミネラルも豊富に含まれますが、特筆すべきはビタミンB1の量です。ビタミンB1は、疲労の回復に効果があり、脳の働きを正常に保つ役割も果たします。
どのように与えれば良いの?
雑食性の肉食、または肉食性の雑食といわれる犬にとって、肉を食べることは自然なことです。豚肉は多く犬にとっては安全な食材ですが、いくつか気をつけて置かなければならない点があります。
豚肉にはタンパク質やビタミンB1を豊富に含んでいますが、それだけでは犬が必要とする栄養要求を満たすことはできません。豚肉は日常的に与えることができる食材ですが、ドッグフードを減らして、それに替えて豚肉を与えるときは、他の食材と組み合わせて全体的な栄養組成を考える必要があります(専門知識を持つ人に相談しましょう)。もちろん、ときどき、特別なご馳走として与える分にはあまり神経質になる必要はありません。
脂分を取り除き、赤身の部分を食べやすい大きさにカットして、完全に火を通してから与えましょう。アクを取り除けば、茹で汁もスープとして与えることができます。調理の際には余分や油やスパイス、ソースなどは必要ありません。
豚肉を与えるときに気をつけるべきこと
・生の豚肉は危険です
生、あるいは半生の豚肉に潜む旋毛虫の幼虫(trichinella spiralis larvae)が旋毛虫症(せんもうちゅうしょう、trichinosis)を引き起こすことがあります。このため、生、あるいは半生の豚肉を食べることは、犬にとっても人間にとっても危険です。感染により胃の不調、嘔吐・下痢などを引き起こすことがあり、免疫系が弱い犬の場合は、重篤な症状を呈する可能性があります。
・アレルギーを引き起こす可能性もある
食物アレルギーは、身体が食物中の成分に対して抗体反応を起こす時に生じます。この時、アレルゲンとなる成分とは、大抵の場合はタンパク質です。AKCによればもっとも一般的なアレルゲンは牛肉、乳製品、小麦、卵、鶏肉、羊、大豆、豚肉、ウサギ、魚であり、豚肉もこの中に含まれます。
・豚の脂肪は消化が難しい
豚は、犬が消化するのが難しい脂肪の種類も豊富です。膵臓の消化不良や炎症につながる可能性があります。
・豚骨を与えてはだめ
豚骨自体は豊富なタンパク質源ですが、骨は窒息、閉塞の可能性のある危険なもので、絶対に与えてはなりません。豚の骨は比較的小さいため、犬によってはそのまま飲み込もうとする可能性があります。また、調理済みの骨は脆くなっているため砕きやすく、これが身体に入って内臓を傷つける可能性もあります。生の骨はサルモネラなどの細菌で覆われている可能性が高く、脂肪組織がべったり付いている場合は、消化不良、嘔吐、下痢などに繋がります。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Can Dogs Eat Pork? – American Kennel Club
[2] Can Dogs Eat Pork? | Cuteness
[3] Pork Roundworm Infection in Dogs | petMD
[4] 知っておきたい!豚肉の栄養と機能 - 公益財団法人 日本食肉消費総合センター
[5] わが国における旋毛虫症 – 国立感染症研究所
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