氷は凍った水ですから、犬にとって危険なものではありません。しかし、硬くて冷たいアイスキューブは、犬に潜在的に悪影響を及ぼすことがあるのです。
今日は、犬と氷のお話です。アイスキューブを上手に安全に与えるために、ぜひご一読ください。
アイスキューブを上手に与える
水は犬に不可欠なもの。氷は”凍らせた水”ですから、与えても通常は問題は起こりません。
アイスキューブを与えることで、飲水量や飲む速度をコントロールできます。暑い日や激しい運動の後、犬は尋常ならざる勢いで水を飲み干してしまうことがありますが、この時、犬が大量の空気を吸い込んでしまうと、臓器不全や血液供給の遮断など良からぬ事態が発生することがあるのです。アイスキューブであればゴクゴク飲むことはできませんから、水分をゆったり摂取できるようになります。
また、水を多く飲んで欲しいときにアイスキューブを加えると、飲水量が増加することがあります(氷が嫌いな犬もいますので、必ずしも飲水量が増える訳ではありません)。
試しに与えてみて、犬が好むようであれば、ぜひ取り入れてみてください。ただし次のようなリスクもあるということは、心に留めておいてくださいね。
氷を食べることの潜在的リスク
・リスク1)歯を傷つける可能性
アイスキューブの最大のリスクは、その硬さから犬の歯を破損させる可能性があるということです。氷のサイズが大きくて硬いほど、歯の損傷やエナメル質の摩耗の可能性は高いのです[1]。小さなキューブを与えるか、削くず程度の大きさのものを与えましょう。
・リスク2)窒息の可能性
氷を食べて窒息した例はほぼないと思われますが(あっても極めて稀)、大きな氷を飲み込んで、それが十分に溶ける前に犬の気道に入った場合は窒息リスクはゼロではありません。歯を失った犬や口腔内に問題のある犬だと、氷を噛むことができないために窒息のリスクはより高くなります。嚥下障害などを患う犬や飲み込む力が弱い犬には、砕いた氷を与えるか、与えること自体を控えましょう。
氷に関するエトセトラ
・氷が原因で鼓動や胃拡張は起こるか?
2010年、アイスキューブが鼓腸(bloat)を引き起こす原因になるとしたWendt Worth Corgisのブログポストが話題となりました。内容は、手術を受けたブロガーの犬の話で、手術の際に獣医師より、食べさせた氷が鼓腸(腸の膨張)と激しい胃痙攣を引き起こしたと伝えられたというものでした。
ブログポストはネット上で大きく広まりましたが、実際には氷の摂取により鼓腸や胃捻転が引き起こされるという事実はありません。鼓腸は大量の食物や水分や空気を摂取することによって起こる可能性があるもので、氷を食べることとは直接の関係はないとして多くの専門家により否定されました。
ただ、どんなものでも大量に与えればなんらかの影響が出るもので、それは氷でもおんなじです。犬が興奮などで激しく喉の渇いているようなら、落ち着いて静かになるまでは、氷ではなく水を少しずつ分けて与えた方が良いでしょう。
・熱中症の症状を緩和できるか?
犬が明らかに熱中症の症状をみせているときは、氷水を飲ませてみるより先に、動物病院へ連れて行きましょう。早期の治療が、犬を現在の苦しみや後遺症などから救います。
熱中症には冷却のプロセスが重要ですが、急激な冷却は、犬の身体への負担が大きすぎます。常温の水をかけたり冷たいタオルなどを当ててゆっくり冷やす必要があります。頭部ではなく脇や背中を冷やしながら、動物病院へ向かいましょう。
・病気の犬に氷水を与えても良い?
苦しむ我がコの熱を冷ましてあげたい…という気持ちはわかりますが、病気のコにアイスキューブを与えるのはベストな方法ではありません。冷やすのが良いかどうかもわかりませんし、小さな氷片による傷や詰まりなどが問題を引き起こすことがあります。まずは獣医師に原因を突き止めてもらってから、どのような治療が必要かを検討しましょう。ひどい脱水症状の場合は水を飲ませるだけでは不十分なこともありますし、どんな形の食べ物や水も状態を悪化させる恐れがあります。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Is Ice Bad for Dogs? | petMD
Featured image creditEtolane/ Flickr
アイスクリーム〜人間用ではなく安全な犬用を | the WOOF イヌメディア
甘くて冷たくて美味しいアイスクリーム。愛する4本脚の家族とも、分かち合いたいアイスクリーム。 しかし残念ながら、人間用のアイスクリームを分けてあげるのは、避けた方が良いのです。 2016年7月、イギリスのジョージ王子の3歳のバースデー写真が、ちょっとした議論の的となりました。公開された4枚の中に、王子が犬にチョコレートつきのアイスクリームをあげているように見える写真が含まれていたからです。 …