【犬本紹介】『地雷のない世界へ はたらく地雷探知犬』~平和をつくる犬と人

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皆さんこんにちは~ 東京の読書犬、パグのぐりです。

この原稿を書いている今日は、ものすごーく風が強いの。あまりの強風に、散歩中、よろけそうになったよ。この風と、時々上がる気温で、どうも、もう花粉が飛び始めたみたい。Nさん一家はみんな花粉症だから、ドキドキしているようです。皆さんもどうぞお大事に~

危険地帯で働く犬の物語

地雷のない世界へ はたらく地雷探知犬

さてさて、僕たち犬の仲間には、特別な訓練を受けて働いている子がたくさんいます。

え?そんなこと知ってるって? ですよね。盲導犬、介助犬、警察犬、麻薬探知犬…みんなかっこいいな、って、同じ犬ながら、憧れてしまいます。

今日は、同じように人のために働いている仲間を紹介するね。それは、地雷探知犬です。僕、この本『地雷のない世界へ はたらく地雷探知犬』(写真・文 大塚敦子 講談社 2009年)を読むまで、恥ずかしながら地雷探知犬という働く犬がいることを知らなかったんだ。

でも、この本を読んで、驚いた。こんなに危険な任務を果たしている仲間がいたなんて。

地雷探知犬は、その字のごとく、地中に埋められた地雷を探し当てて、人に知らせる役目を担っています。この本は、地雷探知犬がどのように育ち、訓練され、一人前になるのかを追い、実際の地雷探知の現場にも同行して撮られた写真と文章によって構成されています。

世界各地に残されている負の遺産

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image by NASA HQ PHOTO Follow / Flickr

今、世界中のあちこちに、地雷が埋まっている国があります。この本の6ページには、地雷が埋まっている国を赤く塗った世界地図が出ているのですが、その広範囲の赤に僕はびっくりしてしまいました。

日本は平和で、第二次世界大戦以降、国内で戦争が起こったことはありません。だけど、世界に目を向けてみると、多くの国で戦争が起こり、その結果、敵を傷つけるために、多くの地雷が埋められてしまったのです。

戦争が終わっても、その地雷で傷つく人が絶えません。この本では、地雷が埋められている国の一つ、カンボジアが紹介されています。1970年からおよそ20年間、内線の続いたカンボジアには、今もまだ数多くの地雷が地中に残っています。内戦が終わっても、94年から2007年までの間に約2万人が地雷によって命を落とし、4万7000人近い人たちが手足を失ったといいます。なんて恐ろしい武器なのでしょうか。

地雷を取り除くには、ひじょうに時間がかかります。なにしろ少しでも触れてしまったら爆発する危険があるため、地面を細かく区切って、少しずつ進みながら金属探知機で探し出さなくてはなりません。人の力だけでは膨大な時間が必要になってしまうのです。

そこで登場するのが地雷探知犬です。人間の約1億倍もある嗅覚を使って、素早く地雷を探し当て、人に知らせます。

著者の大塚さんは、このカンボジアで活躍する地雷探知犬がどこで生まれ、育てられているのか、その誕生から追いました。犬が誕生し、飼育・訓練されていたのはボスニアヘルツェゴビナ。この国で、ノルウェーの支援団体が地雷探知犬の育成をしていました。

地雷探知犬同士から生まれた子犬は、心優しい人たちのもとで、人間の愛情をたっぷり受けて育ちます。これは、盲導犬と一緒。人を信頼する心を育むのってとても大事なんだね。そして、子犬の頃から、ある道具を使って地雷探知の訓練が始まるのです。

最初は遊びのような訓練から。そして徐々に高度になっていきます。

失敗すれば命を落とす危険がある地雷です。確実に地雷の臭いが察知できるようになるために、その訓練プログラムはとてもよく考えられています。最初は遊びのようなかたちから始まり、だんだんと色々な臭いの中から地雷の臭いを察知できるよう、訓練は高度になっていくのです。
そして、すべての訓練が終了した犬は、地雷探知犬としてカンボジアへ行き、現地ののパートナーと一緒に、仕事を始めるのです。

事故は一度も起きていない

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image by Coast Guard News / Flickr

さて、皆さん気になるのは、「こんな危険な仕事をして、命を落とす犬はいないの? 大丈夫なの?」ということだと思います。僕もそう思っていました。でも、今のところ事故が起こったことは一度もないそうです。

探知犬と一緒に働く人を「ハンドラー」と呼ぶそうなのですが、カンボジアのハンドラーの女性は、とてもいい表情で仕事をしていました。犬を心から信頼している顔です。そして、信頼されているとわかっているのでしょう。探知犬は本当にりりしい表情で、誇りをもって任務に当たっているように見えます。

こうした犬と人との働きによって、たくさんの地雷が迅速に撤去され、跡地には学校が建っているところもあるそう。子どもたちがのびのびとサッカーをする姿が印象的でした。

働く犬といっても、本当にいろいろな種類の働きがあるんだなあーって思いました。僕たちは、パートナーに喜んでもらえることが一番の喜び。地雷探知犬も、きっとそうなんだろうなと、写真を見て思いましたよ。

地雷探知犬のことはもちろん、平和な日本にいるとつい忘れがちな、世界のいろいろな大変さを知るのにもってこいの本です。お子さんのいる方はぜひ、一緒に読んでみてくださいね。


地雷のない世界へ はたらく地雷探知犬
大塚 敦子
講談社
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Featured image credit Olgierd Rudak / Flickr

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