犬はイヌ友の’真似っコ’をする〜模倣を通じて社会的な絆を強める(研究)

サイエンス・リサーチ
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相手の楽しそうな笑顔を見て笑顔になる、というのは、皆さん日常生活の中で経験していることだと思います。

他の人の感情を知覚して自分も同じ感情を経験する現象を情動伝染といい、人間やチンパンジーなどの霊長類では顔の模倣としてその多くが発現します。

では、犬たちはどうでしょう?彼らも’友達’と感情を共有するのでしょうか?共感するために模倣という手段を使うのでしょうか?

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おんなじ方向を見るワンズ。視線の先にはもちろんオヤツが! @mofu1208 / Instagram

これを明らかにしようとしたのは、進化生物学者のパラギ氏(Elisabetta Palagi)ら。実験ののち、犬たちも模倣することで社会的な絆を強化することを示す論文を発表しました(2015年)。

研究は、公園で遊ぶ犬たちの撮影動画を詳細に分析することにより行われました。参加犬は49匹(純血種及びミックス)で、飼い主らへの調査をし、犬たちがどんな関係であったかを確認しました(例えば、近所に住んでいて週3回以上遊ぶのは「友人」で、1ヶ月に2回ほど遊ぶなら「知り合い」)。

分析に先立ちパラギらは、人間の笑顔に相当するような典型的な遊びの振る舞いを特定しました。一つは「リラックスして口が開いた状態」、もう一つは「プレイバウ」で、イヌたちは笑顔を作るように遊びの時にこれらの表情及び行動をすると特定したのです。撮影された200超のプレイセッション動画はフレームごとに分割され、遊びを仕掛けた犬の’笑顔’を仕掛けられた犬が1秒以内に模倣するか、という点が確認されました。

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お友達と一緒で幸せ!という表情の皆さん @mofu1208 / Instagram

結果、犬たちは’即時の模倣(rapid mimicry)’をすることがわかりました。そして、ジャンプや噛むといった他の行動より模倣の方が素早く行われることや、何度も模倣が行われるようなプレイセッションの方が、遊びが長続きすることもわかりました。「親密さがによって、即時の模倣レベルが変わってくることがわかりました。人間と同じように犬たちも、友達から影響を受けているのです」とパラギ氏は語っています[2]

親しさと模倣のあり方の関係では、「友人」との遊びの中ででの方が模倣が多く見られることも判明しました。お友達の行動は、素早く真似をするというわけです。


犬が社会的な動物であることはよく知られていますが、私たちと同じように「真似」をすることで共感し絆を深めようとしているというのは、なかなか興味深いことですよね。イヌ友とのデートの際には、ぜひ犬たちの「真似っこバトル」に注目してみてください。「友達」「知り合い」で比較してみるのも楽しいかもしれません。

★トップ写真: おんなじ表情のモフ嬢(ポメックス)とマークン © @mofu1208 / Instagram

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Palagi, E., Nicotra, V., & Cordoni, G. (2015). Rapid mimicry and emotional contagion in domestic dogs. Royal Society open science, 2(12), 150505.
[2] Dogs Mimic Each Other’s Expressions, Too | Science | Smithsonian

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