犬も年齢層によって、必要となる栄養素の量は異なります。ライフステージごとの適切な栄養管理は、愛犬の健康で幸せな生活を支える大切なものです。
犬のライフステージ
米国飼料検査官協会(Association of American Feed Control Official)はガイドラインで、2つのライフステージを定義しています。
- 成犬・維持(Adult maintenance):骨格が成熟したあと
- 成長・繁殖(Growth and reproduction):完全な骨格成熟に達するまで
- 成長期(哺乳期・離乳期・成長期)
- 成犬期(維持期)
- 老犬期(老齢期)
- 繁殖期(妊娠期・授乳期)
- 哺乳期:生まれてから30日程度までの期間
- 離乳期:生後約20日〜60日程度までの期間
- 成長期:小型犬では生後約50日〜10ヶ月程度、中型犬では生後約50日〜1年程度、大型犬では生後約50日〜1年半程度、超大型犬では生後約50日〜2年程度
- 維持期:1歳〜6歳まで
- 老齢期
- 妊娠期
- 授乳期
なぜライフステージ別の栄養管理が必要なのか
犬も成長するにつれて、活動レベルや健康状態、体の状態などが変化します。この変化に合わせて食餌(栄養素)を変えていくことが、愛犬の健康を維持するためには重要なことなのです。
・成長期の犬
成長期は犬の身体をつくる期間。この時期の食事は、体の維持や活動を支えるエネルギーを補給するだけでなく、免疫系や骨格の発達、その後の嗜好性や肥満細胞の数にも影響します。
・維持期の犬
この時期の犬は過体重、つまり肥満の問題を抱えないように注意することが必要です。毎日の活動量と健康状態を勘案して、適切な栄養素の食餌を適切量与えることが重要です。
維持期の犬の中で特別な注意が必要なのは、妊娠期や授乳期にある犬です。妊娠後半の犬のエネルギー必要量は維持期の犬の130〜150%に増加するといわれます。母犬の出産能力を維持し、健康な子犬の生育を果たすためには、適切な食事管理が必須です。
・老齢期の犬
犬種などにもよりますが、7〜8歳から12歳くらいの年齢に達すると犬は老齢期に入ります。加齢による変化は不可逆ですが、進行の速度を遅らせることは可能です。年齢関連疾患の発症や進行を抑えるために、食事内容や量にも注意と工夫が必要です。
市販のペットフード:年齢別の違いとは
・子犬用フード(成長期の犬向け)
子犬用フードは、成長のためにエネルギーが凝縮されています。身体が成長しきっておらず、消化器官の発達も不十分な子犬用に、少ない量で十分な栄養を摂取できるように高カロリー、高栄養素でかつ消化しやすい設計になっています。
大型犬や超大型犬用には別のフードが用意されています。急激な成長による整形外科疾患の発生を防ぐ目的で設計されています。
・老犬用フード
エネルギーや脂肪含有量が抑えた設計になっています。基礎代謝率や活動量が低下するシニア層は、一日に必要とするエネルギー量は30〜40%程度減少すると言われています。加齢に伴い減少する成分や免疫力を高める成分が配合されたフードもあります。
シニア用フードを与える場合には、それぞれの犬が抱える健康状態や問題に対処するフードを選択するように気をつけましょう。フード切り替えは健康診断のタイミングに合わせ、獣医師に相談する一手間を惜しまないようにしましょう。
Featured image credit HAMZA BUTT / Flickr