ほとんどの犬は毛に覆われているから分かりづらいのですが、まつげは犬にももちろんあって、可愛いお目目を守ってくれています。
犬のまつげ〜役割・長さ
犬のまつげは上まぶたにのみ生えていて、下まぶたにはありません[1]。下まぶたに見られる毛は、単なる体毛のようです。
まつげは、埃、異物をキャッチして目を守り、瞬きを起こすセンサーとして働くことで、目を乾燥や埃から守る役割を果たします。犬のまつげもその役割を果たすものですが、このほかに犬には瞬膜という白い膜をまぶたの内側に持っていて、眼球を保護しています。
まつげについての小ネタを一つ。2015年に行われた研究[2]によれば、まつげは目の周りの気流に変化させ、水分の蒸発を減らし微粒子の蓄積を減少させるのだそうです。「ならばエクステでバッサバッサと気流を変化させればドライアイを防げるのでは!?」と思ってしまいそうですがそういう訳でもなく、研究はまつげには最適な長さがあることも明らかにしています。同研究によれば眼幅の3分の1の長さが、浮遊粒子の沈着と涙膜の蒸発を減少させるのに”最適の長さ”であるのだそう。調査した22の哺乳類は”最適な長さ”の睫毛を有していることも分かっています。まつげの長さにも理由があったんですね。
世界一まつげの長い犬
犬に関していえば、「眼幅の3分の1」より長いまつげを持つ犬は多く存在します。犬のまつげの長さは、被毛の長さによって決まるようだと考えられています。長い被毛から目を守るために、まつげも長くなるようです。
現在、「犬の最も長いまつげ(Longest eyelash on a dog)」のギネス世界記録保持犬は、東京在住のオーストラリアン・ラブラドゥードル ランマルで、その長さはなんと15cm。前回王者、Price Albert(ラサ・アプソ)の13.6cmを1.4cmも引き離しました。
短い被毛の犬にも、長いまつげを持つ犬は存在します。例えばイングリッシュ・ブルドッグなどの鼻ぺちゃ犬には、長めのまつげを持つ犬もいます。少し出っ張りがちな目を守るため、長く伸びたのかもしれません。
まつげの異常と引き起こされる病気
犬のまつげも、 人間でいう逆まつげの状態になることがあります。
まつげの異常には、Trichiasis(睫毛乱生)、Distichiasis(二重まつげ、睫毛重生)、Ectopic Cilia(異所性繊毛)があります。睫毛乱生は、まつげは正常な場所に生えているが向きが角膜に向いているもの、睫毛重生は正常より内側にまつげが生えているもの、異所性繊毛とはまつげが角膜に向かって生えているものです。
上記の異常は、涙やけや眼のしょぼつき、充血、角膜炎などを引き起こすことがあります。多くの犬に見られるものですが、必ずしも治療が必要なものではありません。眼の周りの毛をカットするなど刺激を排除するケアをすれば、ほとんどの症状は解消されます。愛犬が長めの被毛を持つ犬なら、一度は獣医師さんにアドバイスを受けるようにしましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] [2] Amador, G. J., Mao, W., DeMercurio, P., Montero, C., Clewis, J., Alexeev, A., & Hu, D. L. (2015). Eyelashes divert airflow to protect the eye. Journal of The Royal Society Interface, 12(105), 20141294.
Featured image credit barnimages.com / Flickr
犬の涙やけ〜涙やけって何だろう?その16の原因と影響・対策 | the WOOF イヌメディア
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