犬ももちろん鼻水を出します。鼻水は鼻粘膜からの分泌物で、吸い込んだ空気に適度な湿り気を与えたり、粘膜を病原菌から保護するもので、これが出ること自体は正常です。
しかし、目に見えて量が多くなったり、色や匂いが普段とは異なる場合は、注意をしなければなりません。
心配すべき犬の鼻水
愛犬の鼻からちょっとばかりの鼻水が垂れていたからといって、動物病院に飛び込む必要はありません。寒い日のお散歩のときや、車に乗って興奮した時に鼻水がキラリと光ったとしても、家に戻って落ち着いたらいつもの状態に戻るのなら大丈夫でしょう。
しかし、鼻水ダラダラが何日も続くときや、色がおかしいとき、匂いがあるときは、犬の身体で何かが起こっていると疑ってかかった方が賢明です。
次のような状態のときは、念のため獣医師に相談することをオススメします。
- 目の腫れや赤み、血走った目
- 鼻呼吸の減少や呼吸困難
- 肌や被毛から分泌物がある
- 歯科衛生状態がよくない、口臭
- 犬の鼻水の一般的な原因
犬の鼻水の原因
一般的な犬の鼻水の原因を以下に列挙します。興奮や寒暖差など特に心配のいらない原因は除いています。
・アレルギー
犬のアレルギーは、鼻水の他に、皮膚のかゆみ、くしゃみ、咳、呼吸の問題などを引き起こします。アレルゲンとなるのは花粉、食品、薬、ダニ、化学物質など様々で、一生のうちのどの時点でもアレルギーを起こす可能性があります。この場合、原因物質を取り除くのが最良の方法ですが、それが難しい場合でも抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤などの薬物により症状を緩和できる可能性があります。
・鼻に異物が詰まった
犬は鼻で世界を探索します。ときに異物(草、ゴミ、植物の種)が鼻腔などに詰まることがあり、その場合はこれを洗い流そうとして多くの鼻水が分泌され鼻からあふれ出ることになります。この場合の他の兆候には、くしゃみ、鼻づまり、鼻血があります。鼻に異物が詰まっている場合、動物病院では異物を取り除き、出血などの処置を行ったうえ、必要であれば抗生物質などを処方します。
・ウィルス・感染症
細菌感染または真菌感染によっても鼻水は出ます。原因となるウィルスや菌は様々ですが、真菌や細菌による感染では、しばしば黄色または緑色の鼻水が出ます。また、鼻血や悪臭を伴う場合や咳や呼吸困難などの症状がみられます。動物病院では粘液サンプルの検査により原因を特定し、治療方針を決定します。治療方法は原因により異なりますが、多くは抗生物質や抗真菌薬が処方されます。
・歯科疾患
歯周炎、歯肉炎および膿瘍を含む歯科疾患も鼻水の原因になり得ます。口の中での細菌感染症は鼻腔に広がること可能性があります。口腔内の病気が原因の場合は、歯の洗浄または歯の除去が治療として選択される場合もあります。
・犬種の特性
短頭種に分類される平らな顔をした品種は、鼻腔の問題を抱えがちです。鼻水に限らず、鼻息が荒いことや大きないびきなど、鼻腔の他の問題も現れます。鼻腔の問題が日常生活に支障がでるほど大きいものであれば、問題を解決するための外科手術が選択されることもあります。
・ポリープおよび腫瘍
鼻の腫瘍やポリープによっても、鼻水が出ることがあります。多くの場合、鼻水には血液が混ざります。赤い鼻水がみられたら、動物病院の門を叩いた方が良いでしょう。この他、呼吸困難(鼻息が荒い)や、鼻の不自然な腫れ、食欲の減少などが見られることもあります。
健康で輝く鼻を維持するために
かつては「健康な犬の鼻は濡れている」と言われていましたが、現在ではこれは真実ではないと考えられています。カラッカラに乾いた鼻の犬は脱水症状が疑われますが、滴り落ちるほどに「濡れている」鼻の犬もまた、何らかの病気が疑われるのです。
愛犬のお鼻がいつもより「濡れている」のなら、やっぱり心配をしてあげるべきです。
血液を含む鼻水がないか、過度の乾燥がないか、脂っぽくないかに注意を払いましょう。鼻腔は口腔や耳とも繋がっていますから、口や耳の様子(呼吸や匂い)なども併せて確認しておくことです。
過度でなくてもくしゃみや鼻水がみられたら、愛犬を暖かく保ち、鼻の周りと周囲の環境を清潔にしてあげましょう。懸念があれば、早めに獣医師に相談をしましょう。
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