『リメンバー・ミー』のダンテってどんな犬?〜ショロに関する10のこと

犬種
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90回アカデミー賞で長編アニメーション賞と歌曲賞を受賞したことで注目される、ディズニー/ピクサーによる長編アニメ『リメンバー・ミー』。ストーリーや音楽、そして映像はもちろん楽しみですが、犬キャラのダンテのことも忘れてはなりません。

ちょっと変わった見た目のダンテは、ショロイツクインツレという品種のワンコ。あまり馴染みのない犬ですが、メキシコでは国犬にも指定されている愛されワンコなのです。

1. メキシコ原産の犬、ショロイツクインツレ

ショロイツクインツレ(Xoloitzcuintli)はメキシコ原産の犬の品種。Xから始まる名前をもつ唯一の犬です。

英語圏ではメキシカン・ヘアレス・ドッグと呼ばれることもあり、JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)でもこの名を使っていましたが、2011年に犬種名をショロイツクインツレに変更しました。通称はショロ(Xolo)です。

2. ヘアレス(毛がない)犬である

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image by kendrahw / Flickr

ショロの特徴といえば、毛がないこと。皮膚は滑らかで柔らかく、部分的にシワが寄る箇所があります。しっかり立った大きなコウモリ耳や、比較的大きな頭部も特徴です。

ショロの無毛を生み出す遺伝子は優勢ですが、それにも関わらず被毛のある子犬が生まれることもあります。頭頂部やつま先や尻尾にのみ毛が生えている犬もいますし、コーテッドあるいはパウダーパフと呼ばれる被毛で覆われた犬もあります。

3. 神が遣わした”神の犬”

ショロイツクインツレとは、ナワトル語で「神の犬」という意味。もう少し正確に言うと「神ショロトルの犬」という意味です。ショロトル(Xolotl)とはアステカ文明の神の名前で、イヌを意味するアステカ語「イツクイントリ」が組み合わされて、この発音も記憶も難しいショロイツクインツレという名前ができたのです。

4. 死者の魂を導く役目を果たす

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image by C-Monster / Flickr

アステカの神話には、ショロが登場する逸話があります。ショロトルは”命の骨(the Bone of LIfe)”から創られた尊い犬で、冥界への危険な旅で死者の魂を導くという重要な役割を担っていると信じられていました。このため、ショロは所有者が死ぬと一緒に埋葬され、冥界への旅に強制的に駆り出されることとなりました。

5. タンパク源や湯たんぽとしても活躍

神聖な犬として大事にされた一方で、貴重なタンパク源として食用としても重用されました。タンパク源が他の動物で代用されるようになると、ペットや実用犬として使用されるようになります。

実用犬としては、病気の人の治療や癒しの存在として活躍します。寒い時期には先に布団で寝かせて寝床を暖めるほか、温湿布としても使われました。痛みを感じる部位にショロをあてがうと、痛みが抜けると信じられ、リウマチや頭痛、筋肉痛や不眠などに効く”医薬品”として使われたのです。

6. 3500年以上存在する古代の犬

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image by pmonaghan / Flickr

ショロの起原を振り返るには、3500年ほどの時間を遡らなければなりません。コリマ、マヤ、アステカ、ネイティブアメリカンなどの墓から、この犬の存在を示す考古学的証拠が発見されています。

ショロのヘアレスという特徴は、自然発生的に突然変異として誕生したとみられています。古代アジアなどから厳しい寒さを経てアメリカ大陸に渡って来たとは考えにくく、遺伝子検査でもアジア犬種との関連は確認できないことから、メキシコに非常に早い起原をもつ土着犬種の突然変異であると判断されています。

7. ヘアレスの多くは歯も欠けている

無毛を生み出す遺伝子は、歯の形成にも影響しているようで、ヘアレスのショロには、奥歯(多くは小臼歯)を欠いてものがあります。一方でフルコートのショロ(パウダーパフ)は歯が完全に揃っているのが普通です。

ダンテの舌がペロリと出ているのは、歯が欠けているからかもしれません。映画制作者は地元のショロをピクサーに招待し、身体情報を提供してもらって作品作りを行ったそうです。

8. トイ、ミニチュア、スタンダードの3種類

ショロはプードルと同じように、トイ、ミニチュア、スタンダードと、身体のサイズにより3つに分類されています。

とはいえ、それ以外の被毛や皮膚の色などは、かなりバラエティに富んでおり、ケネルクラブでもそれらの違いを許容しています。皮膚は、単色で均一なダークな色が好ましいとしつつ、様々な色やスポット(斑)も否定はしておらず、被毛に至っては「あらゆる色及び色の組み合わせがある」とバラエティを認めています。

9. フリーダ・カーロの愛犬はショロ

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ショロは、幾度か絶滅の危機を乗り越え、種として残ることができた品種。マイナーな品種が脚光を浴びたのは、1930〜40年代の、民族主義的な思想や芸術が盛り上がりを見せた一時期でした。『リメンバー・ミー』にも登場するフリーダ・カーロは実際にショロを飼っており、彼女の作品の中にも登場させています。ショロとの写真も残されており、中には横たわるフリーダがショロを抱きしめているものもあります。

10. 飼い主のことが好きすぎる犬

子犬の頃はやんちゃさが目立ちますが、成犬になると落ち着きをみせ穏やかになる犬です。家族のことがとても好きで、とくに家族の中の一人に非常に深い愛情をそそぐタイプのワンコです。

問題は、その愛情がとてもとても深いところにあります。四六時中、犬と一緒にいる決意を持たなければ、犬は破壊行為を行ったりケージを開けて逃走することもあります。被毛がない分、抜け毛に悩まされることはありませんが、肌のお手入れにはおおいに気配りが必要で、早期の訓練は必須な犬。誰にでも飼える犬ではありません。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC) – 世界の犬 : 5G 原始的な犬・スピッツ : し : ショロイツクインツレ – XOLOITZCUINTLE
[2] 3500年続く古代の犬種「ショロ」 絶滅寸前から復活|旅行・レジャー|NIKKEI STYLE
[2] Xoloitzcuintli, Frida Kahlo dog’s |
[4] Xoloitzcuintli Dog Breed Information – American Kennel Club
Featured image creditJorge Gonzalez/ Flickr

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