いくつになっても犬は抗いがたい魅力をもつものですが、科学的な検証によれば、ヒトが子犬をもっとも魅力的だと感じるのは彼らが6〜8週齢のときだそうです。
この時期は離乳の時期であることから、人間のケアがもっとも必要な時期に子犬が最高に魅力的になるのではないかと研究者たちは考えています。
研究を行ったのは、アリゾナ州立大学のイヌ科学共同研究センターの心理学教授であるクライブ・ウィン(Clive Wynne)教授が率いるチームです。
彼らは子犬の写真と51人の協力者の助けを借りて、「人間がもっとも魅力を感じる子犬の年齢はいつか?」 の特定を試みました。
世界には約10億匹の犬がいて、うち80%は野に暮らしています。母犬は一般的に、子犬が2〜3ヶ月齢になると様々な理由で子育てを放棄しますが、野生においては約90%が1歳までに死亡します。この時期に人間に拾われれば、子犬の生存率はグッとアップしますから、子犬にとって「人間へのアピール度が高いこと」は、生存率に大きく影響します。
これまでの研究から人間は、大きな目、丸い顔、小さな口などの”幼児の特徴(infantile features)”をもつものを「カワイイ!」と感じ、援助が促進されることがわかっています。した。しかしこれらの研究では、可愛いが頂点に達する時期については明らかにされていませんでした。
今回行われた実験では、51名の参加者(全員学生)に子犬の写真を見せ、学生がこれを評価するという方法で行われました。
写真の犬は、ジャック・ラッセル・テリア(Jack Russell terriers)、イタリアン・コルソ・ドッグ(cane corsos)、ホワイト・シェパード(white shepherds)の3犬種。生後1週間の犬から若い成犬まで、異なる年齢の写真が使用されました。
ポイントは学生に評価するよう求めた点が「可愛いらしさ(cuteness)」ではなく「魅力(attractiveness)を感じたか」という点であったことです。このことについてウィン教授は「”幼児の特徴(infantile features)”で注意を引くことはしたくなかった」とコメントしています。
さて実験の結果は…。犬種によって違いはありましたが、参加者の全てが「もっとも魅力がある」と評価したのは6〜8週齢の間でした。ジャック・ラッセル・テリアは7.7週齢、シネ・コルソスは6.3週齢、ホワイト・シェパードは8.3週齢でもっとも高い得点となりました。
これは、ウィン教授らは当初の予想とほぼ同じものでした。教授らは、子犬の魅力は母犬が授乳を終え仔を巣穴から追い出す7〜8週くらいにもっとも増すであろうと考えていたのです。
この発見は、人間と犬の長く深い関係について示唆を与えるものだとウィン教授は言います。イヌという種が残っている理由を彼らの知性に帰する説もありますが、教授は「犬の知性は根本的な問題ではないと思う」「親密で強く、愛情あふれる絆を形作るのは、(脆弱な時期に魅力を高めるという)この驚くべき能力です」とコメントしています。
今回の研究では、実験協力者の学生が見たのは静止画でしたが、フォローアップでは動画を使い、子犬の動きの中に人々を惹きつけるものがあるかを探求する可能性があるそうです。
ウィン教授は研究について、魅力のピークは6〜8週齢にあるという結果になったものの、私たちの愛情や絆が8週齢にピークを迎える訳ではないことを強調したいとしています。「8週齢ごろの子犬は、人を虜にする力が最も大きくなりますが、一度心を掴まれてしまえば、私たちは生涯を通じて彼らを愛し続けるものです」
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Chersini, N., Hall, N. J., & Wynne, C. D. (2018). Dog Pups’ Attractiveness to Humans Peaks at Weaning Age. Anthrozoös, 31(3), 309-318.
Optimal age of puppy cuteness optimized — ScienceDaily
[2] Optimal age of puppy cuteness optimized — ScienceDaily
Featured image creditChris Becker/ unsplash
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