保護活動に奔走する一人の女性の人生~『それでも人を愛する犬』

本・映画・テレビ
この記事をシェアする

皆さんこんにちは! 天国在住のパグ犬ぐりです。

地上ではずいぶん気温の高い日も増えてきたみたいですね。同じ気温でも、やっぱり5月はさわやかだったなあって、地上での飼い主だったNさんがぼやいていました(笑)。エアコンのドライ機能も上手に使って、ジメジメの時期をうまーく乗り越えてくださいね。

保護犬のことを本で知って


image by それでも人を愛する犬 | 田辺 アンニイ | Amazon

さて、今日ご紹介するのは、犬猫の保護に毎日奔走している作者の書いた本『それでも人を愛する犬』(田辺アンニイ著 講談社 2009年)です。作者のアンニイさんは台湾出身の女性。8歳のころに家族と日本へ引っ越し、以後日本で生活してきました。この本は彼女が犬や猫たちの保護活動にかかわることになったきっかけから、その時々に出会った動物たちとの物語をまとめています。

アンニイさん、実は最初、犬が好きではなかったそうです。でも、あるきっかけから犬が気になる存在に。その当時結婚生活があまりうまくいっていなかったこともあり、ペットショップで出会ったジャック・ラッセル・テリアの子犬を家族として迎えました。

ジャック・ラッセル・テリアのベベとの暮らしは、思い描いていたような穏やかなものとは程遠いものでした。特に子犬時代にはさまざまないたずらをやらかしてくれたそうですが、それでもだんだんと家族になっていきます。やまないいたずらを何とかしたいという気持ちもあったのでしょう。アンニイさんは、犬に関する本を読み漁ります。その中に、保護犬について書かれた本があり、そこで初めて初めて保護犬について知るのです。

土手の犬たちとの出会い

2208 1 thewoof

image by Overture Creations / unsplash

保健所に連れていかれた犬が数日で殺されてしまうこと。そういう犬や猫が日本にはたくさんいること。そんな悲しい事実を知ったアンニイさんは、自分に何かできることはないかと、動物愛護法再改正を求める署名活動を始めます。

その行動力には脱帽。そして署名活動をしていたある土手で、1匹の子犬に出会いました。それがリュウです。リュウはコウさんというホームレスに飼われていた雑種犬。じつは土手にはたくさんのホームレスが犬と一緒に住んでしました。

しかし、彼らは飼い犬に義務付けられている狂犬病の予防接種は未接種ですし、エサや散歩もままならない場合も多い。そんな現実を知ったアンニイさんはまたしても行動に出ます。

その時私は、自分自身に約束したのです。

私がみつけた犬たちが土手にいる限り、迷わず行こう。
彼らに手を差し伸べられるチャンスを、うかがい続けよう。

そしてチャンスが訪れた時は、全力を尽くそう、と。(p38)

アンニイさんは行動の人。有言実行の人です。16キロものドッグフードが入ったリュックをしょって、2匹の犬を飼っているホームレスのところを訪ねたり、飼い主の了解を得て散歩に連れ出したり。ホームレスとのコミュニケーションにも心を砕き、決して彼らのプライドを傷つけないよう細心の注意を払いながら、でもできるだけ犬たちが快適に暮らせるようにと工夫を重ねるのでした。

こうした土手の犬たちのケアをしつつ、他にも保護した犬や猫を新しい家族へ橋渡しする活動も始めます。ピカピカの家の中とはうらはらに、ひどい環境につながれていた愛者(アイシャ)。2度もセンターに送られたラスティ。クリスマスに夫婦で行ったレンタルビデオ店の前で出会った捨て犬の凛。アンニイさんは彼らを新しい家族につなぎ、幸せな第二の犬生をスタートさせる手伝いをしました。

自分の人生を重ねて

2208 2 thewoof

image by Jennifer Regnier / Flickr

弱いものに徹底的に寄り添う姿勢。それはアンニイさんの小さいころの自身の経験も関係しているようです。来日したばかりのころ、友だちがほしくて、教室で一番優しそうな子に「ホーカゴ、フタリイッショ、アソバナイ?」と勇気を出して話しかけました。その時に受けた対応で心に深い傷を負ったアンニイさん。彼女はこう思うようになったそうです。

心のどこかでいつも傷つくことを恐れ、誰かを深く信じることを拒み続けてきました。(中略)何事にも身構えてしまう私は、ときどき襲ってくる疲労感に立ち向かえず、そこから逃げたり投げやりになったりするばかりでした。(p132)

だからいつも、厳しい境遇におかれていた犬たちに問いかけたそうです。どうしてそんな目にあわされてまで、人を信じることができるの?と。

でも犬ってそういう生き物なのかもしれない。本当に人が好きなんだと思う。だからこそ裏切ってほしくないのね。アンニイさんは、そんな犬たちの気持ちを大事にするから、第二の家族探しには慎重だし、本当にうまくいきそうだと思えなければ安易なマッチングはしないのです。

この本は、犬猫の保護活動の記録でもありますが、田辺アンニイという一人の女性の生き方がつづられた本でもあると思います。赤裸々に、自分自身のことも包み隠さずに書いたアンニイさんのまっすぐさが、魅力の一つになっています。ぜひページをめくってみてください。


それでも人を愛する犬
それでも人を愛する犬

posted with amazlet at 18.06.18
田辺 アンニイ
講談社
売り上げランキング: 646,312

Featured image creditToby Wong/ unsplash

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌを知る > 本・映画・テレビ > 保護活動に奔走する一人の女性の人生~『それでも人を愛する犬』

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ