「施設に空きがない」という理由で健康な動物の殺処分はしない〜米カリフォルニア州サンディエゴ郡

動物愛護・保護
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As of today, no animal will be euthanized in this county because of space – by Gary Weitzman, president and CEO of the San Diego Humane Society.

— 本日以降は、場所がないという理由で殺される動物はいなくなる

米カリフォルニア州サンディエゴ郡(San Diego County)は7月1日、スペースが無いという理由での動物の殺処分を取りやめると発表しました。対象になるのは、アニマルシェルターや動物愛護協会などに保護された、健康または治療可能な動物です。

今回の方針は、サンディエゴ動物愛護協会内のサンディエゴ郡アニマルサービス(San Diego County Animals Services)やチュラビスタ郡動物管理施設(Chula Vista Animal Care Facility)など、11カ所のアニマルシェルターで従うべきとされています。

アメリカの動物保護施設では(他国も同様ですが)、施設の空きが無いなどの理由で、多くの健康なイヌ、ネコなどペットの殺処分を行っているのが現状です[1]。サンディエゴ郡での、2005年時点の健康な動物の「スペースがないことによる」殺処分数は約6000件。こうした状況を受け、愛護団体などが連合をつくり、動物達が悲しい結末を迎えないよう協力し合うようになったのだといいます。

この動物保護のための連合は、3年前からペットの去勢手術や不妊化を無料(または助成金を支給)で行うプログラムを提供してきました。また、メンバーの一員であるSan Diego Humane Societyは、問題行動を起こす動物を対象とした訓練施設を2年前に開設し、年間約1000匹の動物を受け入れているそうです。動物たちはここでリハビリに励み、新たな家族を見つける努力をしています。

こうした試みが実を結び、サンディエゴ郡ではシェルターで殺処分される健康なペットの数が減少しています。2012年度始めの4,465件に比べ、2013年度は2,910件に、そして2014年度には1,662件へと大きく減少しました。


発表の記者会見⇨We’ve Reached ZERO Press Conference via YouTube

それでも、愛護団体にとっては満足できない結果のようです。治療不可能な病気と判断されて殺処分に至ったケースは2014年度で5,466件、そしてシェルターに保護されるペットの数は依然として増加しています。

「今後さらに里親が必要になる」と動物愛護協会は強調しています。

 
h/t to Animal shelters stop euthanizing healthy animals. | SanDiegoUnionTribune.com


[1] 最近の推計(2012〜2013年)では、全米の施設に保護された年間600〜800万頭の約4割にあたる270万頭が殺処分されているということです(出典:遠藤真弘. (2014). 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況. 国立国会図書館, 830(830), 0–10. )

 
Featured image by Moni84 via shutterstock

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