犬によっても異なりますが、多くの犬は爪切りが嫌いです。
犬が爪切りを嫌う理由
・過去の痛い/イヤな経験
誰しも痛みを感じるのは嫌なもので、犬だって例外ではありません。犬が爪切りを嫌う最大の理由は痛みです。
犬の足指の爪は人の爪と同じく、ケラチンと呼ばれるタンパク質でできています。各爪の外側は神経が通っていませんが、内側は神経と血管が束になっており非常に繊細です(内側はクイック[quick]とよばれる)。この部分を傷つけてしまうと、ひどい痛みが生じると共に出血もみられます。
白い爪だとこの繊細な部分は少しピンクがかった色で、どこまで切るかの判断は比較的容易です。しかし、黒い爪だと爪の色素が強いため目で確認できず、傷ついけてしまうこともあります。また、爪が伸びるとクイックも伸びてくるので、常に同じように切るのは危険です。
過去に痛みを感じた経験をもつ犬は、その痛みやストレスの記憶が爪切り嫌いを引き起こしていることが考えられます。
・パチンパチン音が嫌い
痛みの記憶と爪切りの音がセットで記憶されている犬は、この「パチンパチン音」を嫌っている可能性があります。クリッカー音がトレーニング内容を思い出させるように、「パチンパチン音」が繊細ワンコの恐怖やストレス、不安などの否定的な感情を呼び起こすのです。
もちろん、非常にシャイで繊細なワンコさんなら、音そのものが怖い場合もあります。
音が嫌いなワンコなら、この音に慣れさせることで問題は解決するでしょう。爪切り以外のときに、クリッパー(爪切り)をパチンパチンと鳴らしてみて、犬が落ち着いていたら報酬(特別に美味しいオヤツがおすすめです!)をあげましょう。もし、パチンパチンとするだけで逃げ回るほどに怖がるとか、一向に慣れると様子がないのなら、他の爪切りに変えることで解決することもあります。爪切りにも様々な種類がありますので、ペット用品店で相談してみてください。
・拘束されることが嫌い
爪切りは、犬を拘束することからスタートします。抱っこに慣れたワンコなら平気かもしれませんが、いつもは自由気ままに過ごしているコや、身体を触られたり拘束されることを嫌う(あるいは嫌な記憶がある)コの場合、拘束されることそのものを拒否している可能性があります。
拘束されるのが嫌いなワンコなら、普段からマッサージや抱っこしてする遊びをするなど、徐々に拘束状態に慣れさせるようにしましょう。トリマーさんなら大丈夫というコなら、嫌がらない保定のコツを聞いてみると良いでしょう。
・脚を触られることが嫌い
抱っこもナデナデも平気!というコでも、脚を触られたりブラッシングされることを嫌うコはいます。触られることそのものが嫌いである場合もあれば、脚を触られ保定されることで自由が奪われたと感じることもあるでしょう。あるいは、脚に怪我や傷、関節などに痛みをかかえている場合は、唸り声をあげることもあるでしょう。
怪我や病気のない健康なコであれば、時間をかけて徐々に慣れさせれば、脚を撫でたり触ったりさせてくれるようになるでしょう。脚を触ろうとしたときに、過剰な反応(唸り声をあげるなど)をみせるときや、他の症状(歩き方がおかしい、食欲がない、元気がないなど)がみられる場合は、何か身体の不調があるのかもしれません。動物病院で相談しましょう。
犬の爪切り嫌いを克服する5つのステップ
あなたの愛する犬がまだ子犬であれば、普段から脚をマッサージしたり、動かないように拘束する遊びをすることで、トリミング中にリラックスできるよう教えることは難しくはありません。
問題は、すでに爪切り嫌いになってしまった大人の犬です。ただし、学ぶことに遅すぎることはありません。爪切り嫌いの理由を特定し、これを克服できるよう、2人6脚で頑張っていきましょう。
以下でご紹介するのは、爪切り再チャレンジのための5つのステップです。愛犬がストレスの兆候を見せたら一旦やめ、前のステップに戻りましょう。一度に全てのステップを終える必要はありません。
1. 新たなスタートを切る
過去の経験を断ち切るため、道具、場所、シチュエーションの全てを新しいものに変えましょう。新しい爪切りを購入し、まるで新しいオモチャのように登場させましょう。見せたら報酬、音を聴かせたら報酬というように、新爪切りに新しい良い記憶を紐付けましょう。
2. ゆっくりとすすめる
さぁ切るぞ!バチーン!ではなく、ゆくりゆっくり進めましょう。まずは身体をゆったり触るところからはじめ、脚を触り、肉球にふれ、爪にも触れるようにします。愛犬がまだリラックスしているようであれば、実際に爪切りをするような動作(身体を拘束したまま、脚を軽く抑える)を加えてみましょう。
3. 「爪切りごっこ」で慣れさせる
愛犬がまだリラックスしているようなら、愛犬の爪を様々なもので触ってみましょう。すごく柔らかいものからはじめ、ペンでトントンと優しく触れてみるのも良いでしょう。まだいけそうなら、爪切りでトントンと触れてみましょう。
4. 音に慣れさせる
犬から少し離れて、爪切りの音を鳴らしましょう。実際に使用するときの音をだすようにします。犬が落ち着いていたら、報酬(オヤツ)をあげましょう。次に、実際に爪切りをする態勢になり、爪切り音を出しましょう(実際に爪は切りません)。
5. 実際に爪切りにチャレンジしましょう
一つの爪が終わったら休憩を入れ、たっぷり褒めてあげましょう。まだ余裕があれば次の爪にもチャレンジです。一度にすべての爪を切ろうと頑張らないように注意しましょう。まだまだ余裕があるところでストップするのが成功のコツです。
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