警察により押収されて殺された犬の半数は”無実”だと、the Telegraphが報じています。
記事には、最近発表された統計から「2015年と2016年に押収された殺された犬は307匹で、うち175匹(57%)は広く”無実”とみなされている」ことが紹介されています。
同記事は、この期間に押収された731匹のうち599匹について、誰も攻撃していないし危険な兆候を見せていなかったと伝えています。
活動家らは、1991年8月に発効した「1991年危険犬種法(Dangerous Dogs Act 1991)」の不明確な内容と不適切な運用が、こうした”誤認逮捕”の要因になっていると強く批判しています。
「1991年危険犬種法」は、ピット・ブル・テリア、土佐犬、ドゴ・アルゼンチーノ、フィラ・ブラジレイロの4犬種を”特別に管理が必要な犬(Specially Controlled Dogs)”とし、飼育、繁殖、販売、交換を禁止するものです。批判を集めるのは、管理が必要な”危険な犬”が品種でなく”タイプ”で分類されている点です。”危険な犬”には上記4犬種のほか、交配種や身体的特徴などが一致する犬も該当すると見なされ、実際の評価は裁判所によって行われます。
この法律下で警察官は、なんの罪も犯していない犬でも”疑わしき犬”を捕まえることができます。飼い主は愛犬を取り戻すため、大金を投じて長く法廷で争わなければなりません。
最近では家を抜け出した4ヶ月齢のバングル(チャウチャウ)の逮捕拘留が、大注目を集めました。確保しようとした警察官噛みつかれたため犬が逮捕されたという事件ですが、警察側が危険犬種法を根拠に最大9ヶ月の拘留を決めたことで批判が殺到します。ノーサンプトンシャー警察は22日、約5000人が参加するFacebookキャンペーンに押される形でバングルの”釈放”を決定しました。飼い主は、バングルが警察官を噛んだことに対しては申し訳ないとしつつ、「(警察の決定は)ひどく厳しいうえ不相応だと考えるのは、私たちだけではないだろう」とコメントしています。
慈善団体は次のように述べています。「危険犬種法は非科学的かつ残酷であるだけでなく、犬の咬傷を防ぐという(法律成立当初の)問題にも対処できていない。広く一般にも費用がかかっているうえ、警察の時間を無駄にしていると私たちは考えている」
「専門家の研究によれば、咬傷や死亡事故はこの法律が施行された以降も増加している。またこの法律によって、(4犬種の)他の犬種は全て安全だという誤った認識も生じている。社会は咬傷という問題に正しく対処できていない」
NHS(国民保健サービス)の統計によれば、犬の攻撃による患者数は2005年の4,110件から2017年の7,461県に大きく増加しています。過去8年間に支出された押収された犬の飼育費は約300万ポンドで、捜査と訴追のために500万ポンドの費用が費やされています。
環境・食糧・農村地域省の国会議員からなる委員会は、現行法の本格的な見直しを求めています。Neil Parish委員長は次のようにコメントしています。「既存の法律と品種の禁止は、犬の攻撃による怪我や死亡の増加を阻止していない。これは受け入れがたいことだ。エビデンスは、法律が一貫性の欠如に溢れていること、不必要に動物の福祉を毀損していること、政策立案者や一般市民に虚偽の安心感を与えていることを示している」
「すべての犬は危険な存在になる可能性があります。誰かを噛む可能性のある犬をすべて禁止することはできません。政府がすべきは危険な犬を取り締まることでなく、責任あるオーナーシップを奨励し、教育を改善し、違反者を確実に取り締まれるようにすることだ」
h/t to Dozens of ‘innocent’ dogs being destroyed under Dangerous Dogs Act, new figures show
Featured image creditLittleDogKorat/ shutterstock