モントリオール市ではこの夏、子供達に犬と安全に接する方法を教えるプログラムが開催されます。
これは、ペットセラピープログラムなどを開発、提供する非営利団体、Zezerapier Québecに、市が8000ドルの資金を提供して行うものです。
今夏は、約3000人の子供がプログラムに参加する予定です。
モントリオールでは、犬の咬傷事故は大きな社会問題です。2016年に発生した犬の咬傷による女性の死亡事件から、一度は犬種規制を導入する方向で議論がすすみましたが、市長がこれを中止。共存を目指す方向に、舵を切りはじめたところです。
市は、犬と接する人間側への情報提供や教育機会の提供を通じて、咬傷などの事故を減らそうと取り組んでいます。より細やかな管理を飼い主側に求めるとともに、広く一般に犬とどう接するべきかを伝えていこうとしています。今回のプログラムも、こうした取り組みの一つとして計画されているものです。
犬が噛むのには理由があります。背後から接近したり、素早く手を出したり、初対面なのに頭の上からぽんぽん撫でたりする行為は、犬を驚かせ怯えさせるためとても危険です。
しかし、多くの子供は(ときには大人も)何も知らなければこうした行動をしてしまいます。実際、パイロットプログラムに参加した20人のうち、4分の1は「犬に噛まれたことがある」と回答しており、子供が犬に咬まれる事故が身近であることがわかります。
ワークショップでは大きく3つの項目が教えられます。
まず、犬の3つの基本的な感情(aggressive:攻撃、scared:恐怖、happy:幸福)について学びます。また、犬の個人的な空間は尊重されるべきものだということも教わります。
次に、安全に犬に接近する方法として、たとえば次のような項目を教わります。
- ナデナデしたいと思ったら、まず飼い主に「撫でていいですか?」と尋ねる
- 答えがイエスなら、犬に触れる前に、犬が匂いを嗅げるようにグーにした手をかざす(指を内側にして4指を握り込み、指の付け根を出す)
- 犬がクンクンして慣れてきたら、首の下をゆっくり優しくなでなでる
最後に、犬に襲われそうになったとき、どう反応し、どの姿勢をとるべきかを実践教わります。動きを止め、首回りを守つつ地面に伏せ、犬を無視するといったことです。
Zoothérapieの担当者は、こうした実践教育の必要性について、こう述べています。「全ての犬に噛む可能性があります。すべての犬には歯がありますから。だから私たちは、危険な様子の犬、あるいは噛む可能性がある犬に出くわしたときに身を守る方法を教えるんです」
飼い主の側にも、安全のために犬の管理レベルを引き上げるよう求めています。一つは、公共の場ではリードをつけること、もう一つは、他人が不用意に犬に接近したときに必要であれば「ノー」と言う勇気をもつということです。
これまでは、”危険な犬”を取り締まろうとしてきたモントリオール市は、人間側が振る舞いを変えると言う方向に転換しようとしています。担当者は、「私たちが行動を変えることが、事故の予防につながる」とコメントしています。
h/t to Watch: How to avoid a dog attack | Montreal Gazette
screen captures fromHow can you safely interact with a dog? – YouTube
モントリオールの”危険な犬”排除の条例、施行が停止される | the WOOF イヌメディア
カナダ・モントリオール市のブランテ市長は12月20日、昨年12月施行のピットブルの飼育規制関連条例の中断を発表しました。2016年から議論され、二転三転が続いてきた”モントリオールのピットブル問題”に、一応の終止符が打たれたことになります。