11月に北カリフォルニアを襲った大火災を生き延びた犬は、ほぼ1ヶ月、自宅跡地を守り、飼い主の帰還を待ち続けました。
11月8日に北カリフォルニアで発生した山火事は、被害範囲の広さや死傷者・行方不明者の数の多さから「最悪の山火事」と呼ばれる規模となってしまいました。
カリフォルニアの山火事といえば、ほとんどが夏に起きるもの。この州の夏は、乾燥して気温が高くなるため山火事が起こりやすいのです。一方冬は湿度が高いため、夏のように火災が起きることはなく、起きても被害が拡大することなどありませんでした。
しかし、2018年は違っていました。雨はほとんど降らず、植物は乾燥。そこに例年この地域を襲う強風が吹き付け、さらに温度をあげ乾燥していくという循環が起こったのです。
そして11月8日、山火事が発生。「キャンプ・ファイア」と名付けられた北カリフォルニアの山火事は、近郊地域を焼きつくしました。今回のおはなしの主人公犬マディソンが住んでいたパラダイスも、この火事で完全に破壊された町のひとつです。
アナトリアン・シェパード・ドッグのマディソンは、人間と兄弟犬のミゲルと暮らす幸せなワンコでした。しかし、キャンプ・ファイアが街を襲ったその日、飼い主のアンドレアさんは2匹の犬とはぐれてしまい、マディソンはひとりになってしまいます。火の勢いは強く早く、脱出までには数分しかなく、アンドレアさんは75歳の高齢で、犬を確保する余裕はありませんでした。
彼女はすぐに、動物救助を行うサリバン氏にマディソンとミゲルの兄弟犬を探して欲しいと助けを求めます。幸いなことにミゲルは別の救助隊員に保護されており、ほどなく家族との再会を果たします。
しかし、マディソンの行方はわかりませんでした。
救助を行うサリバン氏は、「マディソンはそれほど遠くへは行っていない」とあたりをつけ、被害地域に食べ物と水を置くようになりました。マディソンが口にしたのかは不明ながら、水も食べ物も、しっかりとなくなっていました。
REUNITED: Madison's family couldn't find him when they had to evacuate from the Camp Fire flames. Weeks later, he was found patiently guarding the lot where the house once stood, waiting for his family to come home. ❤️ https://t.co/n9ihUwQAP1 pic.twitter.com/Pse69y1tFA
— Eyewitness News (@ABC7NY) 2018年12月8日
サリバン氏の読みは当たっていました。マディソンは被害を受けた家の跡地に戻っており、その地を守りながら家族が帰るのを待っていたのです。
動画は、被害地域に戻ることが許された日に撮影されたもの。マディソンは、家族が戻ってきたことをしばし認識できなかったのか、尻尾を振るまでに5分以上かかったそうです。アンドレアさんの匂いを嗅いで、ようやくホッとしたのかもしれません。
家があった場所で1ヶ月近く家族を待ち続けるマディソンの行動は、「犬は忠実」という人でも驚きのものではないでしょうか。しかし、この犬種を知る人にとってはそれほど大きな驚きではないようです。
アナトリアン・シェパード・ドッグはトルコ原産の犬で、およそ6000年前から存在していたと言われる超古代犬種。古くから家畜や財産、そして人間を保護する犬として重用されていました。彼らは忠実で知性が高く、独立心旺盛で自分で判断することにも長けています。マディソンの自然災害にも屈しない勇ましさ、飼い主と仲間が戻るまで待つ忠実さは、まさにアナトリアン・シェパード・ドッグそのものと言えるようです。
志望者85人、焼失家屋は1万4千超と甚大な被害をもたらした山火事”キャンプ”。過去最悪水準の災害の中で、生き残って家族を待つ犬の話は、人々の心に暖かいものを残しました。
アンドレアさんも、マディソンの勇気に力をもらったようで、「犬たちが守る家を、もう一度建てる」と意気込んでいるとのこと。マディソンが家族を諦めなかったように、家族も強く生きていくことを諦めないそうです。
h/t to Loyal Dog Found Guarding Home Weeks After Wildfire Burned It To The Ground | HuffPost