the WOOF専属ライター犬、ライチがお届けする世界の犬ニュース。今日は、イギリスの空港で働く検疫探知犬のニュースをお届けします。ソーセージは発見できたけれどコカインやヘロインが探知できず、失業の危機も懸念されているという内容です。
空港で働く検疫探知犬とは
検疫探知犬とは、手荷物の中から動物検疫の検査を必要とする肉製品等を嗅ぎ分けて発見する訓練を受けた犬たちのことで、日本でも平成17年12月に成田国際空港に2頭の検疫探知犬が導入されています[2]。その後は関西国際空港や東京国際空港(羽田空港)などの検疫を行う機関で増頭され、現在は合計20頭のワンコたちがクンクンと活躍しています[2]。
ちなみに、動物検疫所には検疫探知犬イメージキャラクターがいて、名前は「クンくん」。犬関連のイベントに参加していることも多く、ライチも一緒に記念撮影をしました。
ハムやチーズは発見できた!でも麻薬は発見ゼロ
さて、大活躍の検疫探知犬についてのニュースに話を戻します。発端は、英国で三番目の旅客数を誇るマンチェスター空港が発表したレポートです。そこには、空港で働く探知犬が食べ物の発見には大成功を収めたけれど、コカインやヘロインなどのAクラスドラッグ(国内への持ち込みを絶対に防ぎたいもの)は発見できなかったという内容が記載されています。
国としては絶対に取り締まりたい麻薬を見つけられなかったのは、検疫所にもワンコ達にも大打撃。レポートには検疫手法の見直しの必要性も語られています。どうしてこんなことになったのでしょう。ワンコたちったら、ソーセージの匂いにノックアウトされちゃったの?
どうやらそうではないようです。彼らは教えられたとおりの仕事をきっちりとこなして、肉やチーズを発見したとのこと。もちろん美味しい匂いにつられたのかもしれないけれど、肉製品などは検疫が必要なものなのです。こうした持ち込みが制限される品に肉球をかけることだって、彼らの大切なお仕事なのですよね。
問題は、一番力を入れているはずの”麻薬”を探知できなかったことにあります。7か月の間に探知できた件数はゼロ。さてはて、これは一体どういうことなんでしょ!?
麻薬密輸人は探知犬対策をしているのかも
探知犬の育成にはお金がかかるという問題もあります。2010年に建設された犬舎には、125万ポンド(約1億9500万円)が投じられており、犬たちの活躍が”がっかりなもの”にとどまる場合には、非難の声が上がるかもしれません。
即座に探知犬たちがクビを言い渡されることはないとは思います。だって、食べ物ばかりではなく様々な禁輸品を発見できちゃうのし、麻薬以外の取り締まり対象はしっかりとクンクンできているのだから…。
検疫所のPRにも一役かっているお仕事ワンコたち。失業の危機に直面しないことを祈っています。ところで、押収されたソーセージやチーズって、その後どうなるんだろうね。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 犬の感覚器官 |日本警察犬協会
[2] 検疫探知犬について | 動物検疫所(農林水産省)
[3] An Inspection of Border Force Operations at Manchester AirportJuly – October 2015David BoltIndependent Chief Inspector of Borders and Immigration
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