マットレスやクッションに隠れる南京虫を見つけ、ハンドラーに知らせる害虫駆除犬が米国の駆除業者で活躍しています。
彼らは、鋭い嗅覚で南京虫(トコジラミ)を探し当てハンドラーに知らせることで、人々をかゆみや不快感から救っているのです。害虫駆除の業界にまで犬の活躍の場があるのだと、びっくりしました。
素早く確実に敵を見つける害虫ハンター犬!
現在の日本では目にすることもほとんど無い南京虫(トコジラミ)。あまり縁がないと思っていましたが、近年は外国人観光客が母国から持ち込まれたとみられるケースも少なからず発生しているそう。ちなみにオーストラリアやアメリカでは大量発生による被害は少なくなく、その駆除は大きなビジネスとなっているそうです。
南京虫の成虫は5-7mm程度と非常に小さく、家具の隙間などに隠れているため、人間が目で確認するのは非常に困難。駆除の際に、虫そのものの他に卵についても全て発見し除去しないと再発生を繰り返すという厄介な害虫です。
そんな害虫業者に秘密兵器として雇われているのが、我らがワンコたち。彼らは匂いで潜伏場所を特定し、ハンドラーに知らせるのが仕事です。人間の数千倍とも言われる嗅覚で、非常に早く正確に、南京虫を見つけ出すそうです。部屋のサイズにもよりますが、1部屋の捜索にかかる時間は30秒[1]から1分ほど。そして97%の正確さ[2]で嗅ぎ分けるといいます。
保護犬たちの”第2の犬生”を支える仕事
害虫駆除犬として活躍している犬の多くは、元保護犬。厳しいトレーニングを経て、現在の職場にたどり着いたコたちです。
この中には、”活発すぎる”という理由で新しい家族を見つけられない犬やもいます。厳しい仕事だから、人気のないかわいそうな犬が引き取られるのだ…という訳ではなく、家庭犬としては向かない”元気すぎる”という個性が駆除犬にぴったりだから、採用されるという一面もあるようです。様々な場所で南京虫を嗅ぎ当て、それを伝える大変な仕事ですから、元気が有り余るほどでちょうど良いのかもしれません。
トレーニングは非常に厳しく、たとえばEhrlich社で働く犬は警察犬や探知犬と同じメソッドのトレーニングを600から1000時間の受けた強者だそう。費用は1頭につき約120万円。秘密兵器を育てるのには時間も費用もかかります。過去5年間で育成された害虫駆除犬は、450頭にのぼるということです。
ちなみに、和直訳すると”虫探知犬協会”、すなわちNational Entomology Scent Detection Canine Association (NESDCA)という関連団体が存在し、Certificate(資格)を発行しています。
ワンコたちの嗅覚、そして何かを探しあてる能力は、本当に素晴らしいものです。トレーニングを受けていない我が愛犬も時々「それ!どこにあったの!?」という行方不明となった物品を、探し当てて自慢しに来てくれることがあります。トレーニングしたら、害虫だって見つけ出すことができるようになるのかもしれないなぁと思いはしますが…、
見つけ出されて知らせてもらっても、少し困っちゃうかな。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Bed Bug Dogs – Ehrlich Pest Control
[2] ‘Take Your Pet to Work Day’ is every day for this pest controller
Featured image credit Kevin K / Flickr