皆さんこんにちは! 夏真っ盛り。原稿を書いている今現在、僕の家の外ではにぎやかに夏祭りが開催中です。夏のお祭りって、なんだかテンション上がりますよね~。太鼓の音とか、盆踊りの音楽とか、リズムとりたくなります。
息子とひと夏を過ごすために
さて、夏休みということもあって、クーラーの効いた部屋でDVDを鑑賞してみました。まったりと(笑)。そこでぜひ今月ご紹介したいのが、『海辺の家』(監督 : アーウィン・ウィンクラー 出演:ケヴィン・クライン、クリスティン・スコット・トーマス他 2001年アメリカ)です。
主人公のジョージは中年の会社員。建築設計事務所に勤め、主に模型を作っています。ですが、時代の波で、手製の模型よりも短時間で簡単にできるCGが重宝され、ジョージは退職することに。その日、会社で周りの人間がびっくりするようなことをしでかして、外に出ますが、直後にいきなり倒れてしまうのです。
その後、ジョージは離婚したロビンとの間の息子、サムとひと夏を一緒に過ごす、とロビンに言いに行きます。そして、新しい家を建てるのだと。
さて、今はロビンと継父、そして2人の弟と暮らしているサムは、ものすごいビジュアル系ファッション。顔は厚化粧、パンク系の服を着て、あごにもピアス! 常に不機嫌そうな高校生です。ジョージがひと夏を一緒に過ごすことを伝えに行っても、当初は相手にしません。が、結局、ジョージの家へ向かいます。
住んでいた家を取り壊してそこに新しい家を建てるため、ジョージは愛犬と一緒にガレージで生活しています。トイレの横に台所がある生活に激怒するサム。最初は険悪すぎる雰囲気でしたが、徐々にその暗雲が晴れて…
人間好きなラブさんも登場
なぜジョージは新しい家を建てようと思ったのか。どうしてそれを、一人息子のサムと一緒にしたいと思ったのか。その背景には、ジョージ自身の父親との葛藤がありました。物語は、そのストーリーを抱え込むような形で、終わりを迎えます。
この映画の登場犬は、ジョージのパートナーである、ラブラドール・レトリバーさん(性別不明)。名前もわからないのね。でも、人懐っこくて、ジョージのことが大好きで、自由奔放で。愛すべきキャラクターに描かれています。特に、ジョージが建設中の家に遊びに来る、サムの異父兄弟2人ともこのラブさんはすぐに仲良くなるの。人間が本当に好きなんだろうなあと思わせる場面が随所に出てきます。
受け継がれていく父と息子の関係
この映画の主軸は「父と息子」です。サムは高校生、なかなか難しい年代ですよね。彼が物語の中で、自分は「無」なんだ、と言うところがあり、ハッとしました。中高生くらいは思春期で、自分とは? 生きるとは?と、答えが簡単に出ないような問が次々と浮かんでくる年代。女の子のことも気になるし、友だちづきあいもあるし。多感な時なわけです。そして父親や母親とは、疎遠になりがちです。親離れの時でもあるのでしょう。でもやっぱり愛してもらいたい、という気持ちは誰にでもあります。サムは自分が「無」である、と感じながら、それを埋めたくて、実に様々な行為に手を染めています。
そんなサムに、ジョージは結構正面から対峙する。そして一緒に並んで古い家を壊し、新しい家を建てるのです。最初はお小遣い稼ぎのためにしぶしぶ手伝っていたサムも、作業が進むにつれて、どこかで父親とつながり始め、最後には主体的に家を建てる。この映画、原題は「Life as a House」。つまり、人生とは家のようなもの、とでもいいましょうか。
サムはジョージとのつながりの中で、今までの自分を踏み越えて、新しい自分を建てていく。物質的な家の取り壊しと新築に、なにかつながるような気がしました。
ストーリーの終盤は、ちょっと苦しく、切なくなるのですが、でも最終的には大きな希望で終わります。僕の飼い主のNさん、サムとジョージのやりとりの中盤から、涙腺決壊していました。思い切り泣きたい方にもオススメです!
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photos by Jim Sher / Flickr