広がる介助犬活躍の場〜「大丈夫、落ち着いて」裁判所で証言者を支えるワンコ(米国の事例)

お仕事ワンコ
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盲導犬、精神疾患患者に寄りそう介護犬癌を嗅ぎわける犬など、いろいろな分野で忠実に役目を果たしているワンコをご紹介してきました。今回ご紹介するワンコは、裁判所での証言を前に不安や怯えを持つ人々の心をなだめ、落ち着かせるアメリカのコートハウス・ドッグ(裁判所犬)です。

裁判所でお仕事をするワンコたち

事件が起こり被疑者が起訴されると、裁判が開かれます。暴行や虐待などの事件被害者、あるいは殺人事件の目撃者などは、法廷に立って証言をすることになりますが、そうした場での証言は実に過酷なものです。言葉で事件を再現しなければならず、事件などを再三にわたり体験することになるのです。そして多くの場合その証言は、被疑者が出廷する法廷内で行われるものです。容疑者を前にしての緊張や恐怖感などから、うまく証言できなくなる人も少なくはないようです。

そうした証言者に寄り添い、足元で丸くなったり膝に頭を乗せたりして、証言者の心を癒すのが裁判所犬のお仕事です。

証言者を支える団体”Courthouse Dogs”

裁判所犬のシステムを立ち上げ、非営利団体”Courthouse Dogs “として運営するのは、元検事のステファンスさん(Ellen O’Neill Stephens)と獣医のウォールデンさん(Celeste Walsen)。きっかけは、性的暴行を受けた子どもに、容疑者の前で辛い証言を何度もさせなければならなかったことだといいます。

ステファンスさんは、「特に子どもの場合は心が壊れてしまうことも。犬が傍に寄り添うことで、『悪い人はいるかもしれないけど、ここは安全なんだよ』と知らせることができれば」と、話しています。

犬たちは裁判所でのお仕事を開始する前に、専門家による訓練を2年受けます。犬種はラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーが多く、現在は、28州で87頭の裁判所犬が活躍しており、2004年設立の”Courthouse Dogs”の長年の活動が実を結びつつあるようです。


犯罪被害者や目撃者の心のケアはとても大事なこと。ペットセラピーの有効性は多くの研究で支持されていることもあり、こうした試みも日本に導入されるといいですね。

 

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Courthouse Dogs: Specially-trained pooches sworn in to comfort witnesses testifying in front of accused

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Featured image from The Ideal Courthouse Dog / YouTube

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