広がる介助犬活躍の場〜認知症ケアと犬を結びつける(英国の事例)

お仕事ワンコ
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年を取るにつれ、人の名前が出てこなかったり、物の置き場所を忘れたりというのは、「物忘れ」として誰もが通る道です。ただ、病気としての認知症やアルツハイマー病に罹ってしまったとしたら、生活はとても困難なものになってしまいます。

盲導犬、聴導犬、精神病患者の介助犬など、最近は様々な介助犬が増えています。英国の施設で認知症患者を支援する介助犬2頭が誕生し、話題を呼んでいます。

※ トップに掲載した画像はイメージで実際に働く介助犬ではありません。


認知症ケアとイヌを結びつけたのは、イスラエル人ソーシャルワーカーのゴラン-シェメシュさん(Daphna Golan-Shemesh)とプロの訓練士であるベン-ヨセフさん(Yariv Ben-Yosef)。「訓練した介助犬が、認知症患者の生活を支援するばかりでなく、患者さんが毎日楽しんで生きていく手助けができたら」という2人の思いを引き継ぐ形になったのが、Dementia Dog Project(認知症患者のための介助犬プロジェクト)でした。

このプロジェクトは、グラスゴー芸術大学(Glasgow School of Art、英国)の学生4人のアイデアが発端となり、スコットランド政府、アルツハイマー支援団体、介助犬支援団体などが資金援助をしてスタートしたもの。「イヌが認知症患者の歩行、睡眠、食事などの日常生活を支援し、患者の自信を向上させ、生き生きした暮らしを提供できるか試験的に試す」ことを目的としています。

 

 

Forfarトレーニングスクールで18カ月間訓練を受けて誕生した介助犬は、ラブラドールレトリーバーのKaspaとゴールデンレトリーバーのOscar。さらに現在は、別の2頭の訓練が始まっているそうです。介助犬は患者さんの基本的なニーズ(日常生活の動作、災害警報など)の支援、精神的サポート(社会とのつながり、自信の回復、安心感)などを行っていきます。介助犬の首輪にはGPS装置が付けられ、外出先で患者さんが「家へ帰ろう」の指示ができなくなってしまった場合、居場所を家族や警察などに知らせることが可能です。

認知症患者のための介助犬訓練は米国でも行われており、カリフォルニアを拠点とする慈善団体、DogWish、テネシー州ではWilderwood Serice Dogsが訓練を手掛けています。


無償の愛でいつでも私たちを支えてくれるワンコたち。その大切さは一度でも、ワンコを家族に迎えたことがある人なら分かっているでしょう。そうしたワンコたちが認知症の患者さんの支えになるであろうことはとても納得のいくことです。

患者さんが、支えてくれるワンコのことも、いつか忘れてしまうのでは?という疑問や恐れもありますが、大切なのは今この時です。患者さんが、今の1分1秒を生き生きと過ごせるようにお手伝いすること。これこそが、認知症介助犬の役目なのです。

 
h/t to Dementia Assistance Dogs | The Bark

Featured image by Barabas Csaba via shutterstock

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