ワンコは反省しない〜「ごめんなさい」の姿勢は飼い主の態度に反応しているだけ?(英研究)

サイエンス・リサーチ
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ワンコがイタズラをしでかし、声を荒げて叱ると、下からすくうような眼差しでこちらを見上げる顔が、「ごめんなさい。もうしません」と言っているようで、つい微笑んでしまうことがありませんか?

しかし最近発表された研究では、犬にもある程度の感情があるにせよ、この「後ろめたそう」で「恥じている」と感じるのは、飼い主が反省していると誤解しているだけであると示唆しています。


イギリスのケンブリッジ大学の研究者チームは、犬の「反省しているような」表情を探る実験をしました[1]

飼い主が犬の傍にビスケットを置き、「待て」を指示して部屋を出ます。その後、別の人物が部屋に入り、そのビスケットを取り上げて隠すか、または「食べてよし」の指示を出して犬に食べさせます。飼い主が部屋に戻ったときには、ビスケットはなくなっているという状況です。

そのような状況を見た飼い主にすかさず、「犬の表情から、ビスケットを食べたか食べていないか分かるか?」という質問がなされますが、殆どの飼い主は正解を導きだすことはできなかったそうです。

この結果を受けて研究者は、「もし、反省の態度が後悔の念からくるとすれば、間違ったことに気づいたとき、表情に現れるはず。でも、そうしたことは起こらなかった」として、犬が反省しているのではなく、飼い主の態度に反応しているのだと結論付けています。

研究に参加したオストイッチ研究員(Ljerka Ostojic)は、「ある飼い主は3頭の犬を飼っており、中の1頭が靴を噛むといったイタズラをする。でも、いつも申し訳なさそうな顔をするのは別の1頭。その犬は、臆病な性格で、飼い主の態度にすぐさま怯える反応を示していた」と、話しています。


反省しているように見えるのに・・・ Best Of Funny Guilty Dog Compilation 2014 / YouTube

アデレード大学のスーザン・ヘーゼル博士は、「犬が申し訳ないという感情を見せることは無いと報告する研究は多い。そういうふうに脳が働かない」と、見解を述べています。

また、実験ビデオを見た動物行動学者のエレーン・ヘンリー氏も、「犬に感情はあるが、反省や嫉妬のような感情を持つというのは人間の考え。彼らは、飼い主の声の調子、ジェスチャー、また匂いにも敏感に反応しているのだ」と話しています。


この結果に対して、飼い主さんからは「ウチの子は反省するよ」というコメントが多く寄せられそうです。

ワンコたちがどう感じているのか、本当のところはわかりませんし、キッチリと叱らなければならないこともあるでしょう。でも、ときには「ごめんねって、思っているみたい」と受け止めて笑って許してあげるのも、ワンコとの絆を深めることに繋がるのかもしれませんね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] A dog’s guilty look is just a myth experts claim
[2] Ostojić, L., Tkalčić, M., & Clayton, N. S. (2015). Are owners’ reports of their dogs’‘guilty look’influenced by the dogs’ action and evidence of the misdeed?. Behavioural processes, 111, 97-100.

Featured image from otsphoto / Shutterstock

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