突然の災害や事故、または迷子で、愛犬と飼い主とが離れ離れになってしまうケースは、少なくありません。
環境省が2014年12月に発表した「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容状況」によれば、
所有者不明の犬の引取りは約4万9千頭。うち、返還されるのは1万5千頭、譲渡数は約1万7千頭となっています。2万8千頭は殺処分されてしまいます。
マイクロチップってどんなもの?
一人ぼっちになってしまったワンコは、自分で住所も名前も言えません。そんな時に身元を明らかにしてくれるのが、ワンコ達に埋め込まれたマイクロチップなのです。
マイクロチップは直径2mm、長さ12mm程度の円筒形で、外側に生体適合ガラスを使用した電子標識器具です。チップにはユニーク(ほかにその番号を持つチップはない)な15桁の数字(ISO規格の個体識別番号)が記録されています。これを専用のリーダーで読み取り、データベースに登録されている飼い主情報と照合することで、「どこの誰」なのかがわかる仕組みになっています[1]。
注射器で皮膚の下に注入するという方法がとられ、痛みは普通の注射と同じくらいと言われています
日本でも、動物愛護管理法のもとで、イヌやネコなど動物の所有者は、所有を明らかにするためマイクロチップの装着を行うべきとしています。
イギリスでは義務化の動きが進んでいる
マイクロチップ装着は、動物愛護に基づくものでもありますが、英国ではもう一つの重要な考え方にも基づいています。それは、イヌの行動は飼い主に責任がある、という考え方です。
イヌがでなんらかの事故を起こしても、イヌは人間社会が求めるような責任は負えません。イヌ行動の責任は飼い主が負うべきであり、そのためには、たとえば咬傷事故を起こすような危険なイヌについては、そのの飼い主を特定できるようにすべきと考えたようです。
英国では現在、マイクロチップ埋め込みの義務付けが急がれています。イングランド、スコットランド、ウェールズ、そしてアイルランドでは、2016年春から導入の予定だそうです。チップの埋め込みは無料であり、飼い主のやる気だけが試されている形になっています。6つのマイクロチップデータベースのどれかに登録が必要となります。
そもそもこうした動きは、英国で迷い犬の数が急増するということに端を発したと考えられています。例えば、ウエスト・ミッドランド警察が2013年、街で捕獲した迷い犬は412匹。2011年の275匹から50%の増加となりました。マンチェスター地域では、2013年、14歳の女子が、4匹の大型犬に囲まれ、咬まれて死亡するという事件が発生しています[2]。
マイクロチップ埋め込み法の執行は、地元行政機関、警察などが責任をもってあたるということですが、その方法についてはまだ詳しいことは分かっていません。専門家は「警官が街で、イヌを散歩させている飼い主に対して、いちいち、センサーか何かで調べるのか」と述べ、「あまり意味がない」と、法の執行には懐疑的見方を示しています。
なかなか興味深いニュースですね。日本で法律による義務化がすすむのかはわかりませんが、地震や自然災害が心配される今日この頃、離れ離れになってしまった愛犬といち早く再開するためにも、マイクロチップは必ず装着しておきましょう。
h/t to Why microchipping dogs is becoming compulsory – Telegraph
[1] マイクロチップをいれていますか? [動物の愛護と適切な管理] 環境省
[2] Number of dangerous ‘status’ dogs seized by police rises by 50 per cent – Telegraph
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