気温がぐんぐん上昇するこの季節になると、駐車した車に小さな子を残してはいけないという警告をあちこちで見かけます。子どもはもちろんのこと、ペットも例外ではありません。
K9も車中放置の犠牲に
ジョージア州では、K-9(訓練を受けた警察犬)がパトカーに放置されたため殉職したというニュースが注目されています。死亡が確認されたのは、ブラッドハウンドのゼーンさん(Zane、5歳)。夜勤を終えた警察官がゼーンさんを車に残したまま眠りこんでしまい、10時間放置され熱中症のため死亡したというものです。
現在、警察官であるウィリアムさん(Jerahmy Williams)に対する捜査が進行中。場合によっては動物への注意を怠ったことや動物虐待の罪に問われる可能性もあるということです。実名報道もなされており、動物虐待に対する処罰は、どんどん厳しくなってきていることを感じます[1]。
オーブンと化した車中から動物を救出する人々
ジョージア州で、27度を超える暑い日中、ドライバーが周囲に見当たらない車中に犬が残されていることを発見した男性がその車の窓を割り、犬を救出したという事件がありました。他人の車を傷つけることはもちろん罪に問われる事案ですが、この件で男性は「死亡する危険性があった犬を救出した」として器物損壊罪を科せられることはありませんでした[2]。
また、ミズーリ州では、車にチワワを放置したことで犬の飼い主が動物虐待の容疑で取り調べを受ける事案が発ししています。車内温度は43度と想定され、警察官が車からチワワを救出せざるを得ない状況だったそうです。救出されたチワワは里子に出されるそうです[3]。
テネシー州では「善きサマリア人の法」解釈を拡大
テネシー州では7月から、「善きサマリア人の法(good Samaritan law)」の解釈を動物まで拡大する方針を明らかにしています。「善きサマリア人の法」は、災難に遭ったり急病にになったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法で、アメリカやカナダなどで施行されている[4]。
つまり暑い日に、子どもやペットを車中にに発見し、そばに親や飼い主の姿が無ければ、「善きサマリア人の法」に基づいて窓を割って救出しても何の罪にもならないということです。車を傷つける前に、車の持ち主を探す、警察などに知らせるという段階を踏むべきという但し書きがつきますが。
動物愛護協会などでは、気温が30度ほどになると、たとえ窓を少し開けたとしても、車内の温度は10分で39度に、30分後には49度まで上がってしまうそうです。アリゾナ、カリフォルニア、イリノイ、メインなど16州では、誰もいない車内にペットを残していくことを禁止しています。
以前お伝えしたように、ニューヨーク州でも法改正の動きがあるなど、法改正の流れはどんどん広がっているようです。やはり、それだけ車中に残す事例が多いのだなぁと残念にも思います。
暑いなあと思う日は、ちょっとかわいそうだと思っても、ワンコさんにはお留守番をしてもらいましょう。
[1] Georgia Police Dog Dies in Officer’s Hot Patrol Car – The Dogington Post
[2] Tennessee Law Protects People Breaking into Cars to Save Dogs : People.com
[3] Dog owner may face charges after leaving dog in hot car – + KSHB.com
[4] 善きサマリア人の法 – Wikipedia
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