ぐるぐるぐる♪ 犬たちが尾を追いかけて回っちゃう理由を追及するプロジェクトに注目したよ!
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ワンちゃんが、自分のしっぽに噛みつこうとして、ぐるぐる回る光景を見かけたことはありませんか?
微笑ましくて可愛らしいと、はじめのうちは笑って見てしまうこの行動。ですが、あまりにも長い時間グルグル回っていると、「おかしくなっちゃったのかしら」と心配になってきます。しっぽの先を捕まえた後も、チュウチュウしたり咬んだりして、しっぽを傷つけてしまうケースもあるようです。
この「尾追い(tail-chasing、またはwhirling)」には、どんな意味があるのでしょうか。
尾追い行動の研究プロジェクトが英国でスタート
University of Bristol(英国)の研究チームは、イヌの福祉に関する問題として、この「尾追い行動」をテーマにした研究“Bristol Spinning Dog Project”を開始するそうです(2014年11月より2年間の計画[1])。そしてこの研究に参加してくれるワンちゃん(この行動が見られるイヌと見られないイヌ)を募集しています。
プロジェクト[2]によれば、研究対象になるのは50匹のイヌ。
研究の目的は、以下のとおりだそうです。
- 尾追い行動のタイプを分類することで、イヌの常同障害(異常な頻度や持続時間で繰り返し示す問題行動)への理解を深める
- この行動を取るイヌは取らないイヌに比べ、固執傾向が強いの否かを調査する
- 行動学的指標および生理学的指標において、この行動を取るイヌと取らないイヌの違いを明らかにする
- 調査結果を犬の飼育コミュニティに共有する
気分状態を測るNovel testやストレスホルモン測定など、様々な方法を用いて調査すると研究チームは述べています。
尾追い行動って何?どうしてするの?
この尾追い行動は、好奇心の強い子犬に多くみられます。好奇心から、自分の視界に入るものと遊ぼうとするのだそうです。このように、子犬がしっぽに反応して追いかけるのは自然の行動だと考えられます。
しかし、大人になってもこの行動を執拗に繰り返す場合には、問題行動とみなされることが多いです。
尾追い行動の理由については、専門家でも意見が分かれています。フラストレーションがある、不安感を示す、その行動を取った時、飼い主が見て笑ったことを覚えていて、注意を引くために行うなどが挙げられています。
強迫性障害の徴候だと指摘する専門家もいます。『最新 犬の問題行動診療ガイドブック 』によれば、同じ行動を繰り返すという点、および同じ薬が有効であるという点から、人の強迫性障害に似た病気であると考えられているそうです[3]。
フィンランドでは400匹を調査
400匹を調べたフィンランドの研究では、tail-chasing行動には環境および遺伝子的要因が影響してくると指摘しました[4]。ブルテリア、ジャーマンシェパードのような種類は特に、追いかけ行動が見られるというのです。また、生まれてすぐ母親から離されたり育児放棄されりしたイヌほど、この傾向が強いとも推測しました。
科学的には証明されていませんが、栄養要因も関係してくると推測する意見もあります。栄養サプリメントを与えた群と、与えなかった群を比べると、与えなかった方に傾向が強く出たというのです。
運動不足を指摘する専門家もいますが、フィンランドの研究では、その関連性は示されませんでした。
本能?、疾患の徴候?、あるいはタダの遊びなの?? なんであっても理由が解明されれば、飼い主としては少し安心できますよね。ワンちゃんのこの「しっぽ追っかけの謎」、少しでも解明されれば良いですね!
[1] Bristol University | School of Veterinary Sciences | Bristol Spinning Dog Project
[2] Bristol University | School of Veterinary Sciences | Find out more
[3] 荒田明香 藤原良巳 渡辺格(2011)『最新 犬の問題行動 診療ガイドブック: 薬物療法・行動療法による実例を集録』誠文堂新光社
[4] Why Do Dogs Chase Their Tail? | Mental Floss UK
[5] Science Seeks Answer to Why Dogs Chase Their Tails | Life With Dogs
[6] Wonderopolis | Why Do Dogs Chase Their Tails?
Featured image by Diego Schtutman via shutterstock