すっかり涼しくなったこの季節。そろそろ北海道から初雪のニュースが飛び込んできそうです。毛に覆われたワンコにとっては、遊びに仕事にスポーツに精が出る楽しい季節といえましょう。しかし油断はなりません!秋は、フサフサ毛と4本足をもつ家族にとって、危険がイッパイの季節なのです。
今回は、この季節に最高のコンディションを保ち、楽しい年末年始を迎えてもらうための7つのアドバイスをご紹介します。
1. フードを与えすぎないように気をつけて
愛犬の様子を観察していればわかることではありますが、暑さがひと段落するとワンコたちの食欲は右肩上がり。夏の食欲ダウンを心配していた飼い主さんにとっては、「やっと食べてくれた」とひと安心ですよね。
気温が下がると、ペットは身体の調整ために少し多くカロリー摂取が必要になるようです。数十年前なら、獣医はエサの量を少し増やすように勧めたかもしれませんが、ペットの肥満が懸念される現在、ワンコの食欲にあわせてフード量を増やすことは推奨されません。欲しいだけあげるのではなく、愛犬のコンディション(年齢、運動量、体型)によってフードの量を調整してあげたほうが肥満防止という意味でも、長期的にはプラスになります。
訓練されたワーキングドッグや成長期にある犬、あるいは運動量が十分で引き締まった体をしている場合は、少量のエサの増加は賢明です。その場合でも、10%程度までの増量で十分です。食事を追加したり、無制限におやつをあげるのは人間と同じように肥満のもとですぞ。「天高く犬肥ゆる秋」にならないように気をつけて。
2. ノミ・ダニ対策は怠りなく
涼しくなると「ノミやダニなんてもういないんじゃない?」と思いがちですが、奴らはこの季節も元気に活動中。「この前やったワン」とか「このへんにはいないワン」などと言わず、継続的に対策をしておきましょう。詳しくは「おたすけDr.ワンダフル」でご確認を。ちなみに当該コンテンツの執筆者(かもしれない)ワンダフル動物病院院長のDr.ワンダフルは、8歳のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。「バウバウ」とやさしい診療を心がけているそうです。
3. 秋冬イベント:文房具や家庭用品等は片付けて
秋はイベント準備に忙しい時期でもあります。ハロウィーンに限らず、クリスマスやお正月の準備に余念のないご家庭も多いのでは?お子さんがいらっしゃるご家庭や、ハンドメイド大好きな方には、制作活動に力が入り、リビングには文房具や家庭用品が占拠しているのではないでしょうか。
ワンコたちがこれらの品々に興味深々、クンクンしはじめたら気をつけて。糊やマジック、鉛筆の成分やニオイは、ワンコの胃の調子を悪くする恐れがあります。接着剤は深刻な胃腸管閉塞を引き起こすといいますし、飲み込んでしまったら、胃腸管の一部を除去する手術が必要になることもあるのです。大切な制作物は大事にしまっておき、いたずらっ子たちが近寄れないようにしてください。
ところでワンコたちは接着剤の味が好きなようなので、本当に注意が必要です。米国のペット保険会社EMBRACEのサイトには、フローリングを修繕中のご家庭で飼い犬が床のリノリウム(建材の一種)を引き裂き、残っている接着剤をすべて飲み込んでしまったという事故事例が紹介されていました。食いしん坊のそのワンコは、小腸を12インチ(30cm)以上切除しなければならなかったそうですよ。
4. 秋冬イベント:装飾品を食べさせないで
ハロウィン、クリスマスに向けて室内をデコレーションするのも、この季節の楽しみの一つですよね。そして、愛犬にコスチュームを着せることを心待ちにしている飼い主さんもいらっしゃるかと思います。楽しいイベントを無事に終えるためにも気をつけなければならないのが、愛犬が装飾品を口にし、飲み込んでしまうことです。
とりわけ、イベント用に作られたコスチュームの装飾具については注意が必要で、ワンコの噛み噛みに耐えうる強度が保証されていないものが多いようです。
5. 秋冬イベント:逃走や迷子に気をつけて
来客や外でのイベント参加が多いのも、この季節の特徴です。機会が多くなればなるほど、迷子や逃走のリスクも高まるものです。イベントの際には首輪、IDの装着をお忘れなく。また一般的な迷子犬の注意事項は以下の記事にまとめてありますので、参考にしてください。
・もしも愛犬がいなくなってしまったら〜迷子犬と再会するために覚えておきたいこと
・迷い犬の行動〜迷子になったワンコはどんな行動をするんだろう?
6. 秋の味覚は与える前に安全確認を
・フルーツ
秋を代表するフルーツには、梨、ぶどう、りんごなどがあります。特に注意が必要なのはブドウで、嘔吐したのちに急性肝不全の症状を引き起こすおそれがあります。レーズンやプルーンも避けたほうが良いでしょう。
りんごや梨は、適量を適切にであれば食べさせても問題なし。果肉はワンコの良いおやつになるでしょう。ただし、皮や種を取り除くことを忘れずに。食べてしまうと、胃腸の不調や血液中の酸素の減少、心拍数の低下、呼吸困難、発作、昏睡、さらには死の原因になることがあります。また、未成熟のものを食べさせるのは、ワンコの不調の原因になります。なし狩りやりんご狩りは季節の楽しみの一つですが、未成熟のものを収穫したときには与えないように注意してくださいね。
・キノコ
ほとんどのキノコに毒性はありません。とはいえ、いろんな種類のものがありますし、どのキノコに毒性があるのかを見分ける(嗅ぎ分ける)のはワンコだけでなく私たちにとっても至難の業。お散歩中のトラブルを回避する最善の方法は、キノコの生えているエリアにワンコを近づかせないことです。キノコの味覚を楽しんだ後、それがもし毒性を持つものであれば、多量の出血性下痢、嘔吐、腹痛、脱水、発熱、心拍数上昇などの「キノコ中毒」の初期症状を呈するおそれがあります。最悪の場合、3-7日以内に肝臓及び腎不全で死亡するという恐ろしさです。初期症状を確認したら、迷わず動物病院に駆け込んでください。
7. スズメバチや毒ヘビの攻撃は華麗にスルー
秋の季節リスクとして最近話題になっているのがスズメバチの大量発生です。先日テレビで、スズメバチ駆除のお仕事について特集されているのを観ましたが、全国的に大きな問題となっている模様。ホームセキュリティのアルソックによれば、秋はスズメバチの繁殖シーズンで、巣のそばを通っただけで襲撃してくることもあるのだとか。お散歩中にスズメバチを発見したら、大声を出したり手を振り回すことは厳禁。ワンコが興味を持つ前に、静かにその場を離れましょう。
また、秋はヘビにも注意です。この季節、ヘビさんたちは冬眠の準備をし、攻撃的になる季節なのだそう。無邪気で好奇心旺盛なワンコさんは、ちょっかいを出して反撃にあい咬まれてしまう危険が高くなります。住んでいる地域にどんな毒ヘビが生息しているかを確認し、多く生息していそうな区域でのお散歩は避けましょう。
その他:季節に関係なくチョコレートには注意
EMBRACEの記事には、「犬用の薬で最も人気のあるフレーバーはチョコレートですよ」なんていう情報もありました。犬たちだって、カカオ豆の豊かな風味を好むようです。残念ですが、与える量にもよりますが、チョコレートは与えないほうが良い食べ物の一つ。チョコや甘いものをリビングで楽しむ機会が増えるこの季節には、お菓子の入れ物や調理台から目を離さず、肉球が届くところに置かないように注意してくださいね。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました(翻訳:kaya.uk)。
[1] 7 Autumn Health Tips for Dogs & Cats | EMBRACE
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