犬の健康診断〜獣医師は身体検査で何を確認しているの?

健康管理
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愛犬を大事にしている飼い主さんは、毎日コミュニケーションを取りながら健康チェックも行なっていることでしょう。体重測定や心拍の測定、歯茎のチェックもできちゃうかもしれません。

しかしそれでも年1回は、獣医師による健康診断を受けましょう。愛犬のカラダの微妙な変化を見いだす良い機会になります。潜在的な病気を見出す可能性もありますし、獣医師の診察に慣れさせる練習にもなります。

獣医師による健康診断は、愛犬の現在の状態を確認できるだけではありません。過去の状態を振り返り、より良い未来に繋げるためのヒントを得ることもできるのです。

[icon name=”comments” class=”” unprefixed_class=””] この記事の監修者

ゼファー動物病院 上條圭司(かみじょう けいじ)院長

麻布大学獣医学部卒業後、横浜市内の動物病院にて研修。1990年に東京都八王子市にて動物病院開業、現在に至る。Team HOPE 副代表。

身体検査~徹底的に愛犬の身体を調べてもらう

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獣医師は、愛犬の身体を徹底的に調べます。ものの数分でサササッと行われる身体検査では、以下のような項目をチェックしています(以下のリストは長くみえるかもしれませんが、これでも記事として読みやすくするために簡略化したものです。本当はもっとたくさんのことをチェックしているんですよ)。

1. 犬の外観や動きの評価

全体的な評価を行います。犬の見た目や元気度合い、行動、物事への反応などを確認します。

2. 歩行の評価

歩く様子を観察して、跛行や歩き方にブレはないか、関節を触ってみて、こわばり、腫れがないかなどを確認します。

3. 皮膚および被毛の評価

脱毛または炎症はあるか、被毛のツヤがありフサフサしているかなどを確認します。

4. 体重の評価

痩せすぎでないか?太り過ぎでないか?ボディ・コンディショニング・スコア(BCS)などを用いて、体重の評価を行います(BCSを用いると、1-9の尺度で体重の評価ができます。スコア5が理想的な体重、 1~4は痩せ気味、6~9は太り気味です)。

5. 身体測定

  • 体重:医療用体重計で正確に測ることは大事
  • 体温:平熱は37.5〜39℃、40℃を超えたら危険
  • 心拍数:サイズや運動の状態により異なるが、60-120/分。サイズが大きくなるほど、心拍数は低くなる
  • 呼吸速度:通常の速度は10-25回/分

6. 目、耳、鼻、口腔の検査

目視のほか、検眼鏡や耳鏡などの器具を使い、異常がないかを確認します。口腔の検査では、唇、舌、歯肉、歯、粘膜のほか、歯茎の毛細血管再充填時間を測定します。毛細血管再充填時間とは、指で圧をかけて白くした後、元の色に戻るまでに要する時間のことで、正常な場合は1~1.5秒ほどです。また、耳や口からは異常なにおいなどがないかも確認します。

7.リンパ節の触診

腫れていないか、痛みはないかなどを確認します。

8.聴診

胸の両側に聴診器をあて、呼吸音に異常がないか、心雑音または心調律異常はないかを確認します。

9.腹部の触診

痛みや不快感を示さないか。腫れはないかなどを確認します。

10.直腸検査(中年以上の犬に特有)

直腸内または直腸周辺に腫瘍はないか?前立腺は肥大していないか?痛みはないか?便通に異常はないかなどを確認します。

愛犬の過去と未来について話し合おう

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獣医師には、過去の愛犬の状態を伝えるとともに、それに基づいて未来についてディスカッションしましょう。これから何に気をつけるべきか、何を食べさせると良いかなど、気になることはどんなことでも、積極的に話し合うようにしましょう。

  • 栄養状態のチェック、食事やサプリメントの確認をしよう
  • ワクチン接種、ノミ・ダニ・フィラリア予防の状況確認および相談をしよう
  • 潜在的な遺伝的問題を軽減/緩和する予防的方法について確認しよう
  • 保険についての助言を受けたり相談をしてみよう
  • 必要に応じて行う検査〜内容や必要性、価格などを確認しておこう
  • 血液化学検査(総タンパク、アルブミン、A/G比、総ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP、アミラーゼ、リパーゼ、尿素窒素、クレアチニン、総コレステロール、中性脂肪、カルシウム、無機リン、血糖値など)
  • 血液系検査(赤血球数、白血球数、ヘモグロビンなど)
  • 糞便検査
  • 尿検査
  • ホルモン検査(甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)

獣医師の健康診断を上手に活用するために

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  • 普段から気になる点を書き留めておきましょう。気になる症状があるならば、スマートフォンのカメラを使って写真や動画で記録しておくのも良いでしょう
  • 聴診器を使うときは、質問を控え、じっと静かにしていましょう
  • 検診は、基本的に獣医師および看護師にお任せしましょう。飼い主さんは心配せずに、優しく見守り、時にはナデナデや声かけで愛犬を安心させることに徹しましょう
  • 不明な点があったら、できるだけその場で質問し疑問を解消してしまいましょう。信頼できる獣医師なら、どんな疑問にも丁寧に答えてくれることでしょう
  • 愛犬について、特別に気にかけておくべきことがあるかどうか、質問しておきましょう。犬種や年齢、性別などによりチェックのポイントは異なります。そのコの今の状態にあわせたポイントを、アドバイスしてもらいましょう

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Standards of care Regular health check standards for dogs and cats | ASAVA

[icon name=”heart” class=”” unprefixed_class=””] 以下の団体の協力により記事を作成しました

Team HOPE

Team HOPEは、全国の獣医師・動物病院がTeamとなって、ペットの予防医療と健康管理の普及・啓発 活動を推進し、ペットにやさしい社会の実現を目指すプロジェクトとして2013年12月に発足。Team HOPEの「Team」には、獣医師同士のTeam、業界全体でのTeam、そして、ペットオーナーと獣医師とのTeamづくりを願う気持ちが込められています。

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