健康な犬のウンチ〜便の色、頻度、そしてカタチ

健康管理
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飼い主のみなさん!愛犬のウンチ、確認していますか?

犬のウンチは健康情報の宝庫です。黙して語らぬ愛犬に代わり、健康に関する数多くの手がかりをくれるのが、糞便なのです。

飼い主の私たちには、細菌の存在や病気を特定することはできません。しかし、どんな風に見えるのか、触ったときの感触はどうか、匂いはどうかを確認することができます。「健康な犬のウンチ」を知っていれば、愛犬のそれがいいウンチか、それとも心配すべきウンチかを評価することができます。

[icon name=”comments” class=”” unprefixed_class=””] この記事の監修者

こなか動物病院 小中知幸(こなか ともゆき)院長

青森県青森市出身。平成元年にこなか動物病院を青森市に開業。人と動物が健康で生活できるように健康診断から高度医療まで幅広く治療できるよう日々努力しています。

犬のウンチの評価〜何をみるべきか?

犬のウンチについて、飼い主がみるべき重要なポイントは、(1)色、(2)カタチ、(3)硬さ、(4)量、および(5)内容物です。

このほか、(6)ニオイも気をつけて確認したいポイントです。甘ったるいニオイや腐敗臭など、いつもと違うと思ったら、獣医師に診てもらいましょう。

そして評価の対象をウンチそのものでなく排便という行為にまで広げると、(7)頻度も一つの評価のポイントです。

それぞれに見ていきましょう。

1. ウンチの色

健康ワンコのウンチは、一般的にはチョコレートブラウン色。ざっくりいえば茶色です。この茶色の元になっているのがビリルビンという物質です。

ビリルビンは寿命を終えた赤血球で、いうならばゴミのようなもの。ビリルビンは脾臓で壊され、肝臓に運ばれて水に溶けやすい状態(胆汁)になり、腸で食べたものと一緒になって大腸をとおりウンチになります。元々のビリルビンの色は黄色ですが、臓器を旅する中で色がかわって茶色になるのです。

ウンチの色は、食べたもの、フードなどの着色料、健康状態などにより変化します。

健康ワンコのウンチも、フードの変更やオヤツの追加などにより、細やかに変化をします。フードの着色料の色にしっかり影響されますので、色に変化がみられたら、まずは食べたものを振り返りましょう。

しかし、同じフードを食べ続けているのに色が変わった場合は気をつけなければなりません。なんらかの理由でビリルビンが腸に流れでなかったり、臓器からの出血があったりすると、ウンチの色に変化がみられるからです。

異常な色の便が2回以上続く場合、他の症状を伴う場合、真っ黒な便がみられたときは、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

  • 白い便:カルシウムの過剰摂取の可能性があります
  • 緑の便:草などの植物を大量に摂取したか、緑の色素を含むものを摂取したことが考えられる殺鼠剤を摂取したこと、その他、なんらかの病気によりビリルビンが腸に流れ出ない可能性も考えられます
  • 黒い便:上部の消化器出血があった可能性がある。胃酸と血液が混合することで黒色便になります
  • 赤い縞がある:便に血が混ざることで、ウンチに赤い部分がみられる状態。大腸のどこかで出血している可能性がある。直腸に傷がついた、結腸の炎症や腫瘍、肛門腺の感染症など、様々な原因が考えられます
  • 明るい黄色の便は、肝臓、膵臓または胆嚢の問題を示している可能性があります
  • 明るいオレンジ色の便は、肝臓または胆嚢の問題を示している可能性があります
  • 灰色便は、肝臓の問題または吸収不良を示している可能性があります
  • 白い斑点状のものがある:寄生虫その他の虫がいる可能性があります

2. ウンチの形

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  • 健康な便は、(大きさはさておき)ソーセージの形をしています
  • 小さな丸い便:便秘の可能性があります。十分に水を飲んでいるか、脱水症状を示していないかを確認しましょう。また、運動量が足りていない犬や腎臓病の犬でもみられます
  • 細くてひも状の便:腸管内に腫瘍ができているなど、腸または直腸の狭窄を示すことがあります。前立腺が肥大すると腸を圧迫するため、この場合も細い便になることがあります

3. ウンチの硬さ

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健康な便は粘着性をもつため、容易に持ち上げることができ、簡単には形が崩れることはありません。草の上に落ちてもコンクリートの上でも、ベッタリくっつくこともありません。

ウンチの硬さも、日によって異なるものです。硬い便や水のような便が出ても、心配しすぎることはありません。しかし、1日以上続くなら、獣医師に相談しましょう。

  • 非常に硬い便:結腸に停滞している時間が長い便=便秘です。便秘犬は小さくて乾燥した、非常に硬い便を排泄します。脱水症状を呈している可能性もあります。また、過去の骨折が原因で骨盤狭窄が起こり、ウンチが腸を通りにくくなっている場合もあります
  • やわらかい便:腸管運動の亢進や腸管での水分吸収不足でおきます
  • 水のような便:大腸が適切に水分を吸収していない可能性があります
  • 粘土様の便:脂肪消化不全の場合があります
  • ゼラチン状で光沢があり粘着液質がみられる便:大腸炎を示している可能性があります。しばしば下痢と同時に起こります
  • 未消化便:膵臓の働きが悪く、消化酵素が出ていない可能性があります

4. ウンチの量

ウンチの標準量は中型犬で100~400g/日です。

量が多い場合、腸の吸収不全が起きていたり、腸が動きすぎたり、微生物の異常繁殖も考えられます。

量が少ないだけでなく、踏ん張っても出ていないのは便秘なので、出ていない場合は獣医さんに相談してください。

5. ウンチに含まれる内容物

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健康なウンチの中にあるのは、ウンチです。つまり他の特別なものは何も含まれません。

しかし、以下のものがウンチの中にみられることがあります。

  • 食べ物:消化器系で分解できない場合、ウンチの中に含まれてそのまま排出されることがあります
  • 虫:ミミズみたいに細長い虫なら回虫、小さなご飯粒状なら条虫(サナダムシ)が疑われます
  • 異物:草、靴下、ビニール、布、プラスチック、石、おもちゃ。食べ物以外のものを食べてしまった可能性があります。たまたま食べたか、たまたまゴミ箱を漁ったということも考えられますが、続くようなら、異食症が疑われます。解決のためには獣医師の助けが必要です
  • 被毛・毛玉:大便中の毛の大きな塊は、ストレス、アレルギー、皮膚疾患からの過度なセルフグルーミングによる可能性があります。犬の場合はウンチの中に出てくるよりも脱毛して分かることの方が多いです

最後に頻度のお話です。犬は少なくとも1日に1回は、排便が必要です。2回であっても問題ありませんが、あまりに頻繁であると下痢などの問題を抱えている可能性があります。

便の問題はその多くが、24時間以内に解決するものです。しかしそれ以上に長く続くなら、早めに動物病院に電話してどうすべきかを相談してください。

[icon name=”heart” class=”” unprefixed_class=””] 以下の団体の協力により記事を作成しました

Team HOPE

Team HOPEは、全国の獣医師・動物病院がTeamとなって、ペットの予防医療と健康管理の普及・啓発 活動を推進し、ペットにやさしい社会の実現を目指すプロジェクトとして2013年12月に発足。Team HOPEの「Team」には、獣医師同士のTeam、業界全体でのTeam、そして、ペットオーナーと獣医師とのTeamづくりを願う気持ちが込められています。

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