世の中に悪いイヌなんていない!というのは愛犬家の思うところ。
でも、訓練が難しいコや沢山の運動が必要なコ、特別なお世話が必要な犬がいるのです。初めて犬を飼うのは、ただでさえ難しいこと。できれば、飼い主さんのライフスタイルに合った生活ができる犬を出迎えたいものです。
ここでは、これからワンコを飼いたいよ〜という方に向けて、「新米飼い主さんは不向きな犬種」をご紹介いたします。今回は、日本でも馴染みのある犬種から選んでみました。
秋田犬(Akita)
忠犬ハチ公で知られる秋田犬(あきたいぬ)は、飼い主に対して忠実で従順である一方、他人への警戒心が強く、かなりの運動量を必要とすることから、初心者さんが飼うには難易度の高いワンコです。
体重が40~48kgほどに成長する秋田犬は、東北地方の中型獣猟犬(マタギ犬)を大型化し、闘犬や警備犬として使われてきました。このため、太い引き綱をつけての毎日1時間以上のお散歩が欠かせないといいます。また、茨城県では「特定犬」としての指定されています[1]。大変美しいイヌですが、抜け毛も激しく調教も大変なことから、ベテラン飼い主さんにこそふさわしいワンコです。
※ 茨城県の「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」および施行規則では、「人に危害を加えるおそれがあるものとして規則で定める犬種に属する犬」を「特定犬」として指定している。
リチャード・ギア主演の映画「HACHI〜約束のイヌ〜」の中では、忠誠心が強い日本の神秘のイヌとして登場します。パートナーとなる人間も、その愛情に応えるべく、しっかりお世話しようという心構えが必要です。
ジャック・ラッセル・テリア(Jack Russell Terrier)
映画『アーティスト』(2011)に出演してパルムドッグ賞を受賞したアギーがこの犬種。日本でもすっかりお馴染み、そして人気犬種になりました。
小型犬ですから、コントロール不能になってしまうことはないでしょう。ですが、エネルギーに満ち溢れた犬種であることから毎日充分な運動を必要とします。また、非常に気が短くわんぱくであることから、適切なしつけをすることは必須です。「いたずら好き」「正真正銘のハンター」などと称される犬で、しつけがしっかりできない、あるいは犬慣れしていない初心者飼い主さんには、頭痛のタネになってしまうおそれがあります。
ビーグル(Beagle)
ビーグルこそ、一緒に暮らしやすい犬だと思ってた!という声が聞こえてきそう。でも、スヌーピー the Beagleを考えてみてください。こだわりが強くて哲学的な犬なんて、扱いにくそうでしょ?
まあ、スヌーピーのことは冗談だとしても、ビーグルはその気質から「飼うのが難しい犬」として名前があがる犬種なのです。吠えグセがあると言われる犬種でもあり、しっかり訓練をしないと縄張りを守るため、あるいはひとりぼっちの寂しさから、かなりうるさく吠えるそうです。初心者オーナーさんで、迎え入れのタイミングで訓練時間を充分に取れないようであれば、再考したほうが良い犬種です。
ブルドッグ(Bulldog)
しかめっ面も、歩く姿も、ちょっぴりユーモラスなブルドッグ。やさしく気さくな性格で、しつけも容易。子供とも仲良くできる犬種ですが、潜在的に健康問題を抱えているという点で、初心者さんには難易度が高めです。
お顔や体にしわが寄るため、こまめに拭いてあげる必要があります。また、高いところから飛び降りたり、泳いだりするのは苦手。マズルが短いために呼吸が上手にできないとか、体温をうまく調節することができないなど、この犬種についての研究をしっかりしてお世話をしてあげる必要があります。
運動はあまり得意ではないというのに、食べるのが大好き!食べ物への執着心が強いそうです。「ごはんください!」プレッシャーに勝つ自信のない飼い主さんにも不向きな犬種と言えましょう。
チャウチャウ(Chow Chow)
羊毛のようにフワフワしたダブルコートをもつチャウチャウ。とても愛らしい犬ですが、一方で頑固という側面を持ち合わせるワンコです。訓練も一筋縄ではいかず、思い通りにしつけるためには、大変な労力を要するといいます。
中国の皇帝に猟犬として飼われていた記録もある、なにやら威厳のあるワンコ。振る舞いは堂々として、いつも冷静沈着。見慣れぬ人を警戒し、他の犬や動物に対して攻撃的になることもあります。ちなみに筆者の小学生時代、自転車に乗って隣町で飼われていたチュチャウを友達とわざわざ見に行った記憶があります。外見はぬいぐるみの様ですが、飼うのは難しい犬種なのですね。
ボーダー・コリー(Border Collie)
大型だからではなくて、ワークホリックだから飼育が難しいというのが、ボーダーコリーです。高い作業能力と衰えを知らぬスタミナで、「お仕事!お仕事ありませんか?」と迫ってきます。体力も能力もあって責任感も強い部下がいると考えてみるとかなりのプレッシャーですよね。できる上司になるまでは、飼うのを見合わせたほうがよいでしょう。
長時間のお散歩、広い場所での走り込み、そして適切なお仕事を与えてあげなければ、飼い主さんをキィーっとさせる問題行動をパワフルに繰り返すのだそう。本当に決意が必要なワンコさんのようです。
ロットワイラー(Rottweiler)
ドーベルマンをたくましくしたような外観をもつロットワイラー。愛情こまやかで飼い主さんには従順。家族が危険に脅かされているとわかれば、過剰なほどに家族を守ろうと攻撃的になる傾向があります。ですから、適切なしつけができていないと、危険な犬になってしまいかねません。首尾一貫したトレーニングを継続的に行い、性格の頑固さや横柄さが出すぎないようにしましょう。
毎日、肉体的な運動と知的な活動(服従訓練)が必要です。飼い主さんには、彼らがなにを望んでいるのか、しっかり研究して訓練することが求められます。
ダルメシアン(Dalmatian)
ディズニーの「101匹わんちゃん」の主役、ボンゴとパーディタが有名。クルエラが毛皮のコートを作りたいと熱望したのがよくわかる、美しいスポットに特徴がある犬種です。馬車の伴走犬として活躍していたワンコで、追いはぎや野良犬を追い払ったり、消防犬としてお仕事をするコもいたそうです。体を動かすことが大好き、お仕事大好きなダルメシアンは、なにもすることがないとエネルギーを破壊行為に振り向けるようです。
生れながらの番犬。常に外を警戒するところがあります。大変頑固なところもあり、知らない人に対しては神経質になりがち。社会性を高めるようなトレーニングも必要です。
ジャーマン・シェパード(German Shepherd)
人間社会でも大活躍してくれているお仕事犬、ジャーマン・シェパード。大変賢く、適切な訓練さえあればワンコのお仕事でできないことは殆どないほど優秀なコ。問題は、初心者オーナーさんがこの「できるワンコ」のご主人になれるか?というところにあります。
この犬種が特にもっている攻撃的なところや、テリトリー意識を抑えるような訓練が必要です。被毛も抜けやすく、高い頻度でブラッシングをしなければなりません。もちろん長時間の運動は大切で、飼い主さんは持てる限りの時間と体力を投入する覚悟でのぞまなければなりません。
セント・バーナード(St. Bernard)
「アルプスの少女ハイジ」にも登場する愛すべき大型犬。初心者飼い主さんでなくとも、70kg超にもなる巨体のワンコを制するのは難易度が高いかもしれません。それでも、おとなしくて穏やかな性格。人間とも他のワンコとも仲良くすることができます。一方で、いつまでも子供っぽく甘えん坊のところがあり、適切に服従訓練をしておかないと、「パピーのように行動する巨漢」を飼うことになり大変危険です。
かなり早いうち、すなわち身体が小さいうちから適切に訓練することが必要です。
もちろん、犬種について研究し、しっかりお世話や訓練ができれば「飼ってはいけない」というものではありません。そして、どの犬種であっても、絶対に幸せにするぞ!という強い決意をもって、ワンコと向かいあうことが必要です。
ワンコさんとの幸せな出会いがありますように♪
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