イヌもつられて「あくび」する〜飼い主とワンコの絆が伝染性あくびを引き出す(研究)

サイエンス・リサーチ
この記事をシェアする

飼い主さんがあくびをすると、ワンコもあくび・・・。そんな瞬間ってありませんか?

人間同士では、家族の誰かがあくびをすると、隣にいたもう一人もつられて・・・ということはよく起こります。犬にも同じような現象はみられるのでしょうか。

犬もつられて「あくび」する

S119847376

image by MilsiArt / Shutterstock

「あくび」とは、「眠いとき,飽きたとき,疲れたときなどに,不随意に口を大きく開いて深く息を吸い,その息を短く吐き出す呼吸運動[1]」ですが、「伝染性のあくび(Contagious yawning)」はそれとは異なるものと言われています。

多くの研究は、人間の「伝染性のあくび」が同調行動や他者への共感が芽生える時期に発生することを示しており、ひとつの説として相手に対する共感があくびの発生に影響するという見方があります。

さて、ワンコについてはどうでしょう。いくつかの研究によって、大人のチンパンジーやヒヒ、そして犬も「伝染性のあくび」をすることが示されています。やっぱりワンコにもあくびは伝染するんだ!ということで、関連する研究をまとめてみたいと思います。

飼い主との感情的結びつきが影響する

S11312851

image by Maxim Lysenko / Shutterstock

2012年8月、東京大学と京都大学の共同研究チームが、ヒトから犬にうつるあくびには、飼い主と犬の絆が重要であることを証明したと発表しました[2]

実験には、一般家庭の犬25匹が参加。人が犬に向かってあくびの動作を演じて見せ、この反応を測るという内容です。結果、見知らぬ人のあくびよりも飼い主のあくびの方が犬に伝染しやすいことが明らかになりました。実験では、犬の心拍の計測を行なっており、飼い主のあくびを見た場合と見知らぬ人のあくびを見た場合とで犬の不安やストレス反応に差がないことも明らかになっています。「つられてあくびをする」ときには、ストレスが影響しているのではなく、飼い主と犬との感情的な結びつきが重要であることが示された形になりました。

飼い主のあくびに共感してくれるワンコ! 可愛いですね。

「あくびの音」からでもご主人がわかっちゃう!?

S115856887

image by cynoclub / Shutterstock

また、ポルトガルのポルト大学のカリン・シルヴァ博士らは、音だけを使って犬のあくびを引き出せるのかを実験により確認しました[3]。音以外の社会的共感を引き出す要素、たとえば顔の表情やボディランゲージを排除したときにどうなるのかを確認しようとしたんですね。

実験に協力したのは、家庭犬29匹。飼われてから少なくとも半年以上が経過しているワンコの皆さんです。実験では、飼い主のあくびと第3者のあくびの録音を聞かせ、その反応を確かめました。実験は2セッション行われ、1週間のインターバルを置いて行われたそうです。

録音を聞いてあくびをした犬は全体の半数。そして、見知らぬ人が発する音を聞いたときに比べ、飼い主発する音に対しては、あくび反応をする確率は5倍にもなったそうです。

研究者たちは結果について、「犬が伝染性のあくびをするのは感情的な絆と他者への共感に基づくものである可能性を示唆している」と述べています。ふむふむ。

伝染性あくびをするのは、大人のワンコさんだけ!

S184610588

image by Eric Isselee / Shutterstock

さらに、スウェーデンの名門ルンド大学(Lund University)のマドソン博士(Elainie Alenkær Madsen)とパーソン博士(Tomas Persson)は、伝染性のあくびをするのは生後7か月以上の犬とする研究結果を発表しました[4]

研究協力犬は4カ月〜1歳2カ月の35匹。実験は、犬たちが慣れている人とそうでない人が犬たちを遊ばせ、それを観察する方法で行われました。人間が、あくびや大口を開ける動作を繰り返したところ、生後7か月以上の犬のみが、伝染性のあくび反応を見せたということです。この結果について研究者は「犬による他者への関心や共感が、発達に伴って増していくという考えを裏付けている。そして犬が発達過程において人間や他の動物と関わりを持つことが、伝染性のあくびの発生に影響する可能性を示唆している」と述べています。

この発達過程は人間のものとも矛盾せず、人間のこどもも4歳ごろになると伝染性のあくびがみられるそうです[5]。共感や模倣はが生まれてからの1年ほどで徐々に発展していくといえそうです。

ちなみに、この実験においては「慣れている人とそうでない人」への反応の違いは特にみられず、上述の「親密さが伝染性あくびの発生に影響する」結果とは異なるものとなったそうです。協力犬がおチビすぎたのかもしれませんね。


飼い主さんのあくびに、ついつい釣られちゃうワンコ。何ともいじらしく、愛おしいではありませんか。

一緒にいる時間が長く、心に寄り添ってくれている証のようにも感じます。またまた愛情が深まってしまいそうですね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 欠伸とは – 三省堂 大辞林| Weblio辞書
[2] Romero, T., Konno, A., & Hasegawa, T. (2013). Familiarity bias and physiological responses in contagious yawning by dogs support link to empathy. PLoS One, 8(8), e71365.
[3] Silva, K., Bessa, J., & de Sousa, L. (2012). Auditory contagious yawning in domestic dogs (Canis familiaris): first evidence for social modulation. Animal cognition, 15(4), 721-724.
[4] Madsen, E. A., & Persson, T. (2013). Contagious yawning in domestic dog puppies (Canis lupus familiaris): the effect of ontogeny and emotional closeness on low-level imitation in dogs. Animal cognition, 16(2), 233-240.
[5] pooneilの脳科学論文コメント: 伝染するあくび アーカイブ

Featured image from Monika Vosahlova / Shutterstock

ワンちゃんだって嫉妬する〜大好きな飼い主さんをライバルに取られるなんて許せない!(米研究) | the WOOF

ワンちゃんって、結構、やきもち焼きですよね。 赤ちゃんがやってきたり、別の新しい生き物が増えたりすると、お利口さんだった愛犬が急にソワソワし、いたずらをするようになるなど、多くの犬の飼い主さんなら経験していることではないでしょうか。

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌを知る > サイエンス・リサーチ > イヌもつられて「あくび」する〜飼い主とワンコの絆が伝染性あくびを引き出す(研究)

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ