【犬語翻訳家】犬の”ごめんね”行動を紐解く〜反省の表情は私たちに何を語るのか

生態・行動
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犬たちを叱責した時に見せる、何とも言えないあの表情。「ごめんね」と言っているようにも「やっちゃった」と後悔しているようにも見えるあの行動。何となく罪悪感を覚えているような表情や仕草は、犬たちのどんなキモチを表しているのでしょうか。

犬は罪悪感を覚えるのか?

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お、怒ってるの…? image by Kat Jenkinson / Flickr

犬は罪悪感を覚えるのか?これについては「罪悪感は覚えない」とする立場と「罪悪感がないとする明確な研究は存在しない」とする立場に分かれています。

例えば、アデレード大学のスーザン・ヘーゼル博士は「犬が申し訳ないと感じたり、そうした感情を見せることは無いとする研究は多い。そういうふうに脳が働かないのだ」とABC Newsに語っています。

一方、生物進化学が専門のマーク・ベコフ博士は、「私が判断できる限りにおいて、罪悪感を覚えないとする調査結果はない。罪悪感に焦点をあてた脳研究もない」として「罪悪感がないと決めつけるのはやめよう」とブログで反論しています。

ということで、どうやら明確に言えることは「私たちが犬を叱りつけたとき、犬は申し訳ないと感じているような表情や行動を見せる」ということとなりそうです。

「申し訳ない」のあの表情や仕草は、何を語っているのか

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お、落ち着いて…! image by Natalie Maynor / Flickr

それでは一つひとつ紐解いてみましょう。「悲しげで」「申し訳なさそう」な表情は仕草で、彼らは何を伝えたいのでしょうか。

・悲しげな表情

思わず許してしまいたくなる、悲しげな表情。顔はそっぽを向いているけど、お目目はこちらにロックオン。目の下側に白目が出る、いわゆる”三日月目”の彼らは、大きなストレスに晒されています。シェルターなどにいる保護犬たちも、こんな表情をしていることがありますよね。「一体、何が起こっているの?」「いま起きていることに耐えられそうにない」と感じているのです。

・ペロペロ舌

叱られている時の高速ペロペロも、犬たちの緊張の表れです。唇をペロペロして自らを落ち着かせようとしています。

・猫背になって尻尾を隠す

「うわ!小さ!」と叫びたくなるほど体を縮こませている犬は、「めっちゃ緊張しています」を伝えようとしています。自らを落ち着かせようとするばかりでなく、叱りつけている人に落ち着いて欲しい、さらなる暴力は罰など与えないでね…と希望を伝えます。犬の方はかなり切実に、緊張を表現しているようです。

・頭を下げ、アイコンタクトを避ける

叱責に腹を立てる小さな子供のように、プイッと明後日の方を向く犬たち。「うるせえなっ」「ごめんなさい」ではなく、飼い主の叱責に大きなストレスを感じている表れです。「私は緊張しています。お願いですから落ち着いて」と懇願していると考えると、何だかとても切ないです。

・ひつくり返ってお腹を見せる

いわゆる”服従の姿勢”と呼ばれるお腹見せもまた、人間に冷静になってほしいという気持ちを表しています。この緊張を解消したい。それが犬たちの希望です。

人間の行動に敏感な犬は、”ごめんね”表情を見せる

ひとことで言えば、”ごめんね”表情や姿勢を見せる犬は、人間の行動に非常に敏感で、それを前に混乱し恐怖を感じているということになります。

仮に複数の犬がいたとして、1匹が私たちが思う”ごめんね表情”や”罪悪感を覚えているような姿勢”を見せたとしても、彼が有罪とは限らないのです。人間の反応に敏感に反応する犬と、そうでない犬がいるだけなのかもしれません。

犬たちが悪さをした時に叱ってしまうのは仕方のないこと。しかし、叱責により芽生えるのがストレスや恐怖の感情だけならば、上手に教える方法や、叱る原因を作らない方法を模索するなど、工夫をすることも必要なのかもしれませんね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Dog shaming falls on deaf ears for canines; veterinary scientist says canines don’t feel guilt – ABC News (Australian Broadcasting Corporation)
[2] We Don’t Know if Dogs Feel Guilt So Stop Saying They Don’t | Psychology Today
[3] DogSpeak: Dogs and the guilty look – Dogtime

Featured image credit cskk / Flickr

犬の「ごめんなさい」の姿勢は飼い主の態度に反応しているだけ? (英研究) | the WOOF

ワンコがイタズラをしでかし、声を荒げて叱ると、下からすくうような眼差しでこちらを見上げる顔が、「ごめんなさい。もうしません」と言っているようで、つい微笑んでしまうことがありませんか? しかし最近発表された研究では、犬にもある程度の感情があるにせよ、この「後ろめたそう」で「恥じている」と感じるのは、 飼い主が反省していると誤解しているだけである と示唆しています。 …

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