犬家族を迎える時に、準備しておきたいのが犬のハウス。デザインや材質も気になりますが、そもそもケージ、クレート、サークルなど分類も多くて困ってしまいますよね。
あなたの愛犬に必要なのはどの”ハウス”なのでしょう。
室内飼いでも”ハウス”は必要
「家の中を自由に動き回れるようにするから、ハウスは必要ない」という意見をお持ちのかたもいらっしゃるかもしれません。好奇心旺盛な犬たちにとって、自由にできる場所が多いことは嬉しいことではあります。
でもやっぱり、犬の習性を考えると”ハウス”は準備してあげたいもの。犬は暗くて四方を囲まれた穴倉のような場所を好むもの。これは祖先とされるオオカミが、身の安全を守る為に巣穴を掘って生活していたことに起因するのではないかと言われています。
自分だけのテリトリーがあることも、彼らが安心して暮らせる要因になります。何かしら、犬が安心して過ごせる特別な場所を作ってあげることは、犬の幸せのために必要だと考えましょう。
ケージ、サークル、クレート、キャリー
犬用ハウスの商品名を見ると、ケージ、サークル、クレート、ケネル(ケンネル)、バリケンなど様々なものがあります。そして、商品によって呼び方も様々。一体どれがケージで、どれがサークルなのか迷ってしまいますよね。
混乱の原因の一つは、日本の呼び方と英語圏での呼び方が異なるところにあるのかもしれません。日本で’サークル’と呼んでいるものは米国で’クレート’と呼ばおり、’クレート’は英語では’ケネル(ケンネル)’と呼ばれることが多いようです。
ここでは犬用ハウスを、日本で一般的に流通している商品とその名称に照らし合わせて、以下のように分類しています。屋外飼育用の犬舎については、ここでは扱っていません。
- ケージ:スチールや金網などでできた囲い。側面に加え床面と天井がある
- サークル:側面のみの囲い(床面及び天井無し)
- クレート:プラスティック製のキャリーケースで扉面が格子になっているもの
- キャリー:布などでできたキャリーケース
ケージ〜天井付きだから飛び出しの心配がない
’ゲージ’と間違われることが多いのですが、ケージ(cage)です。
床や天井付きのものをここではケージと呼んでいます。商品によっては、床や天井を取り外すことも可能なものや、折りたたみ式のものもあります。一つの生活空間として利用することが想定されているもので、大きさの目安は「犬がくつろぐ場所とトイレが確保できる」というもの。
メリットは天井があることで脱走の心配が少ないということ。デメリットは、清掃に手間がかかるということです。
選ぶポイントは、分解・組み立ての難易度、耐久性、掃除のしやすさ、ドアの開閉(全開固定できるか)、床や天井含むパーツの別売りがあるかという点です。まだトイレトレーニングが終わっていない子犬であれば、複雑な構造のものより洗いやすさを優先して選択することをお勧めします。
サークル〜動かしたり形を変えたりできる自由度が魅力
その名の通り、周りを囲む(Circle)のがサークルです。ケージと同様にワイヤー素材のものもあれば、ソフトサークルといって柔らかい布素材のものもあります。
メリットは、床や天井がないことで掃除や餌の出し入れが楽であること、形を変えて使用することができるという点。デメリットは強度に欠ける、落下物による危険がある、脱走の危険があること(それに伴う怪我などの危険)です。
サークルは生活圏を作るケージと異なり、一定の時間に一定のスペースを囲う目的で使われるものだと考えたほうが良いでしょう。キッチンの入り口を塞ぐとか、来客時に落ち着いてもらう場所にするとか、(ソフトサークルであれば)アウトドアで使用するなどが考えられます。天井や床面がない分、形の自由度も高く、例えばクレートを中に入れて広く周りを囲うなどという使い方もできます。
選ぶポイントはケージと同じ。これに加え、サークルの場合、各社が別売り商品(床面、天井、移動用のキャスター、追加パネルなど)の品揃えに工夫を凝らしています。また、ソフトやハードといった素材を含め様々なデザインの商品がありますので、生活スタイル、犬の成長、インテリアなどを考慮して選択しましょう。
クレート〜家でも車でも旅行先でも愛犬を守る
犬を飼い始めて長いこと正体がわからなかったのが、このクレートという存在。ある人はバリケンと言い、ある人はキャリーと言い、英語サイトではケネルと言っている、プラスチックでできて開口部分が格子になっているキャリーケースのこと。
ちなみにバリケンとはペットサプライ製造会社Petmate社の商品バリケンネル(Vari Kennel)の略称のこと。商品名が一般名称として使われているということですね。運搬を意味するキャリー(carrier)と呼ばれることも、犬小屋を意味するケネル(kennel)でも意味合いとしては誤りでないことが、初心者飼い主さんを悩ませる要因になっています。
クレートは、生活圏を作るものというより犬のベッドの代わりと捉えたほうがわかりやすいと思います。基本的には犬しか入りません(トイレや食器などは入れない)。四方を囲まれる安心感から一日の大半をクレートで過ごす犬も少なくありません。犬が中で方向転換できる大きさがあれば十分で、スペースがありすぎると犬が落ち着けません。
メリットは、持ち運びできる、掃除が簡単、巣穴のようで犬が安心、地震などの時も犬を守る、スペースを取らないということ。デメリットは、サークルなどと併用しなければ犬が自由になりすぎるか自由を奪いすぎること、デザイン性には欠けていることです。
キャリー〜愛犬の体温も伝わる柔らかさ
犬を入れて運ぶ布などのやわらかな素材でできたキャリーバック。クレートも大きく分類すればキャリーですが、ここでは別物として扱っています。
トートバックのような形のものから、トラベルバックのようにキャスターを付けられるようなものまで形も素材もデザインも様々です。共通しているのは、犬を入れての移動を楽にするものであるということのみ。中には移動だけでなく、家や旅先でベッドとして使用することを想定したデザインの商品もあります。
メリットは、商品選択の幅が広いこと、折りたたみができるものが多く収納が楽ということ。デメリットは、プラスチック製に比べて耐久性に劣ることや、(素材によっては)衛生管理が大変ということ。加えて商品の選択肢が多すぎて、選ぶのが本当に大変というところかもしれません。
Featured image credit Oleksandr Schevchuk / Shutterstock
【犬とハウス】知恵を使い、力を使い、前脚を使って、犬は逃げる(動画) | the WOOF
愛を求め、安らぎを求める犬たちは、自分の寝床が大好きなもの。 ゆっくり休みたい時だけでなく、しつこい飼い主からの抱っこ攻撃から逃れる時、嫌いなシャワー攻撃から逃れる時、ハウスにお籠りすることは少なくありません。 しかし飼い主がハウスにいてほしいと思う時になると、いうことを聞いてくれないのが犬というもの。縛られるのは大嫌いというワケですね。縛られるの嫌い、閉じ込められるの嫌い!…と、あの手この手で’牢屋’から逃げ出そうとするのです。