イヌの寿命はヒトよりも遥かに短いもの。愛犬家としては認めたくないところですが、この事実を認め、できるだけ健康寿命を延ばせるよう努力しなければなりません。
犬の寿命を決定する要因は、身体の大きさ、犬種、個体の健康状態です。これに加えて最近では、体重も大きな要因であることがわかってきています。
日本に暮らす犬たちの平均寿命
一般社団法人ペットフード協会の『平成28年 全国犬猫飼育実態調査』によれば、2016年の犬の平均寿命は14.36歳。超小型犬で15.01歳、小型犬で14.09歳、中・大型犬で13.73歳となっています。
またアニコム損害保険株式会社と東京大学が共同で行った調査[1]では、犬の平均寿命は13.7歳。死亡の確率は生後1年で最も高く、2年目および3年目で最も低くなり、3歳以降は年齢が上がるにつれて増加していることがわかりました。平均余命は、5kg未満の体重群で13.8歳、5~10kg体重群で14.2歳、10-20kg体重群で13.6歳、20~40kg体重群で12.5歳体重が40kg以上の群で10.6年でした。
この研究では、体重の増加が犬の余命を縮めることも示されています。5kg未満を除き、体重が増加すると平均余命は減少する傾向するそうです。死因のトップは腫瘍及び癌で15%、心血管疾患（9％）、泌尿器系疾患（6％）、消化器系疾患（6％）、神経筋系障害（5％）と続きます[2]。
現在の年齢からみた愛犬の死亡確率
愛犬が死を迎える可能性を考えるのは気持ちが塞ぐものですが、これからの健康な暮らし計画を立て上では大いに役立つデータであることも確かです。
「うちのコ、今からどれくらい一緒に生きてくれるのかな？」という疑問にヒントを与えてくれるのが、コレン博士ブログです。博士はブログの中で、犬の現在の年齢と犬のサイズを考慮した”犬の死亡確率予測表”を発表しています。生まれたばかりの子犬は、様々な問題により死亡率が高いためあまり参考にはなりませんが、1歳以上の数値は参考にすることができそうです。17歳以上は100％となっていますが、これは17歳以上生きられないというわけではなく、いつ死んでもおかしくないと考えるべきでしょう。
ここには抜粋した表を掲載しています。本家のブログ記事には17歳まで1歳刻みの予測が示されています。参考にしてください。
アニコム社が発表した犬種別平均寿命
アニコム損害保険株式会社は2016年5月、保険金請求データを基にした犬の寿命に関する調査・分析を発表しました。これは、2013年4月1日から2014年3月31日の間にアニコム損保に契約した犬435,987頭を対象に生命表を作成し、平均寿命を犬種ごとに比較したものです。
死因についても新しいデータも発表されています。1位は腫瘍の13.4％。2位以降は循環器系（11.1%）、泌尿器系（8.0%）、消化器系（5.7%）、肝胆道系（5.5%）と続きます。人間の死亡原因の1位である腫瘍は犬の余命をも縮める原因であり、『愛犬の病気百科』には「10歳以上で死亡する犬のおよそ半数の死因は、ガン」との記述があります。
犬種やサイズは変えられませんが、食事や運動、グルーミング習慣を変えることにより、愛犬との時間を長くすることは十分可能です。良い食事を選び、適度適切に運動し、心も身体も健康に保つこと。毎日の積み重ねこそが、愛する我がコの命を明日へ繋げるのです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Inoue, M., Hasegawa, A., Hosoi, Y., & Sugiura, K. (2015). A current life table and causes of death for insured dogs in Japan. Preventive veterinary medicine, 120(2), 210-218.
[2] Life expectancy and causes of death for insured dogs and cats in Japan (PDF)
Featured image credit Grisha Bruev / Shutterstock
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