歴史をつくった犬たち

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犬は古くから人間と暮らし歴史をつくり、ときには歴史を変える立役者となる活躍してきました。

今日はそんな歴史を作った偉大な犬たちをご紹介します。

ソーター:古代ギリシャの都市を救った英雄

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まずは紀元前456年、ペルシャ戦争があった時代のお話から始めましょう。

古代ギリシャの都市コリントス(Corinth)は貿易の要であったため、常にペルシャからの攻撃に悩まされていました。これに対し町は、訓練した50匹の犬の配備で対抗します。犬のおかげで敵の侵入を早く知り、町を守ることができていたのです。

しかし、どうしてもコリントスを陥落させたいペルシャは、邪魔な監視犬の殺害を試みます。あわれ49匹は、ペルシャの刃に崩れ落ちましたが、1匹だけ命からがら逃げ延び、人々に危機を知らせたのです。

ソーター(Soter)という名のこの犬がいなければ、コリントスはペルシャの手に落ちていたかもしれません。

町の人々はソーターに「コリントスのソーター、擁護者、そして救世主」と刻印した銀の首輪を与え、死後は記念碑を建ててその功績を称えたのです。

バルト&トーゴ:ジフテリアから町を救った犬たち

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Balto with Gunnar Kaasen Brown Brothers / Togo the dog Wynford Morris – wikipedia

1925年、アラスカ北端のノームにジフテリアが発生。大量死という最悪の事態を回避するため希望は、2800マイル離れたアンカレッジからの血清を輸送することだけでした。しかし折からの悪天候のため空輸は諦めざるをえず、輸送は犬ぞり軍団に託されました。

輸送は、20人のマッシャーと100匹以上の犬たちがリレー方式で行うというもの。1925年1月27日にネナナを出発した血清は、2月2日、シベリアン・ハスキーのバルト率いる最終チームによって無事に届けられました。

バルト(Balto)は、ほぼホワイトアウトという最悪のコンディションの中、トレイルを外れることなく最終目的地に向かって走り続けることができました。一方、最長かつもっとも危険なコースをリーダーとして先導したのは、東郷平八郎にちなんで命名されたと言われるトーゴ(Togo)で、このときの年齢は12歳、7年間そり犬を率いてきた”生まれついてのリーダー犬”でした。

ライカ:人類の宇宙への道を切り拓いた犬

1957年11月3日、ソ連の宇宙船スプートニク2号が打ち上げられ、地球軌道に到着しました。乗っていたのはメスの野良犬のライカ(Лайка)でした。ライカは最初に軌道飛行をした犬として知られています。

当初は、ライカは「打ち上げ6日後に死亡」と伝えられていましたが、2002年に公表された論文で「打ち上げの数時間後にオーバーヒートにより死亡した」ことが示されています。スプートニク2号が軌道を周回したことは確かですが、ライカが生きてそれを達成したかははっきりとはわかっていません。

ライカが任務についたとき、宇宙飛行が生き物に与える影響についてはほとんどわかっていませんでした。またスプートニク2号はそもそも大気圏再突入が不可能な設計であり、計画上でもライカの死は想定されたものでした。

2008年4月11日、ロシア当局はライカの貢献に敬意を表してモスクワ軍事研究施設近くに記念碑を建てました。

ペリタス:文明を救った犬

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image by Alexander the Great’s Dog, Peritas, Changed History By Biting an Eleph

ペリタス(Peritas)は、アレキサンダー大王のお気に入りの犬。アレキサンダー大王といえば、古代史上最大の帝国を支配し、征服し、今日の西洋文明の礎を築いた人物ですが、彼の活躍の影には偉大な犬の存在があったのです。

ペリタスの犬種は、ブルドッグ、グレイハウンドなど様々な説がありわかっていませんが、勇猛な性格だったことからモロサス(マスティフの先祖であり絶滅した古代犬種)だったのではないかと言われています。忠犬ペリタスは、象やライオンと大王の敵と戦い、常にアレキサンダー大王を守ってきました。そして、敵から攻撃を受けるアレキサンダーをかばい、彼の膝の上で死亡しました。

大王は彼の名誉を讃えるため、インドの町にペリタスの名前を冠することを命じました。現在も街の入り口には、彫像が掘られたペリタスの墓が残っています。

ベルクロの発明を促した犬

最後に、小さいけれど人の生活を変えた発明を促した名もなき犬をご紹介します。ベルクロ、すなわちマジックテープ(面ファスナー)を発明したスイスのジョージ・ド・メストラルの愛犬です。

1940年代初頭、犬を散歩させ帰宅したジョージは、犬の被毛に雑草(オナモミ:キク科のイガをもった雑草)がくっついているのを発見しました。草は粘着性ではなかったのに、被毛にしっかりとくっついていて、かつ手で触ることで簡単に取ることができました。

ジョージは顕微鏡で棘を観察し、それらが自然な鍵型であることを発見します。この発見が彼が「ベルクロ」と読んだマジックテープ発明の礎となりました。つまりジョージの犬がいなければ、両面テープが発明されることはなかった(あるいは遅れた)のです。犬、偉大!
現在では、(少し病的なくらいに)人にくっついて離れない犬のことを「ベルクロ・ドッグ」ということがあります。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] The Pawprints of History: Dogs in the Course of Human Events – Stanley Coren
[2] Togo (dog) – Wikipedia
[3] Dogster Hall of Fame: Balto and Togo, Huskies Who Saved an Alaskan Town
[4] Alexander the Great’s Dog, Peritas, Changed History By Biting an Eleph

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