エッセンシャルオイルは植物から採取されるオイルのこと。天然のものですが、不適切に使用すると中毒を起こすなどリスクのあるものです。
原則として、エッセンシャルオイルは口から与えてはならず、皮膚に直接使用してはならないことを覚えておきましょう。
エッセンシャルオイルには毒性がある
エッセンシャルオイルには植物性のホルモンや化学物質が含まれており、吸入、摂取ならびに皮膚経由で吸収されることで、身体の各機能に作用します。
オイルに含まれる化合物は、必ずしも動物に良い影響を与えるものだけではありません。植物は歩いて逃げることができないため、自らの身を守るために害虫や捕食者などに忌避される化合物を作り出して放出し、犬に健康を害することもあるのです。
たとえ少量だとしても、化合物は身体のシステムに生物学的影響を与えるものだということを心に留めておきましょう。『ペットの自然療法事典』によれば、起こりうる副作用には神経系への毒性、流産、皮膚炎、光過敏性、アレルギー反応、肝臓への過敏性、内臓疾患などがあるということです。
ヒト用のアロマテラピー製品は安全ではないこともある
ペットケア製品の中には、ヒト用のアロマテラピー製品に使用されているものと同じ物質が含まれているものがあります。とはいえ、同じ物質が含まれていることが「ペット用製品=ヒト用製品」とならないことには注意をしなければなりません。
通常、ペットケア製品に含まれるエッセンシャルオイルは、ペットたちの安全に配慮して大幅に希釈されているものです。犬に有用だと考えられている精油であっても、高濃度で使用すれば有害反応を起こすという報告もあり[1]、適量でなければ愛犬の健康を害する恐れがあるのです。信頼できる製品を選択し、専門家に確認したりラベルをチェックするなどして、用量・用法を守り正しく使用しなければなりません。人間用の製品をそのまま犬に使用するのはリスクが高すぎます。
匂いは凶器になることもある
ご存知のとおり、犬は私たちよりはるかに優れた嗅覚を持っています。私たちが良い匂いだと思っても、彼らにとっては嫌な匂いだということもありますし、きつすぎると感じることもあるのです。精油を気化して用いる場合は、ドアを開け放しておくなど、犬たちがその場を立ち去れる自由を与えることが大切です。また長期間の連続使用を避けるべきであり、犬が嫌がる様子を見せたら使用をやめるべきです。
犬が嫌うニオイの話〜あなたには良い匂いでも、愛犬には臭いのかもしれない | the WOOF イヌメディア
口から与えたり、皮膚に直接使用したりはダメ
口から与えることや食べ物に混ぜて与えることはNGです。これに加え、獣医師からの指導があった場合を除き、犬の皮膚に直接オイルを塗布することは避けるべきです。犬たちは体を舐めることがあるので、皮膚への塗布は経口投与と変わりません。なお、妊娠中の犬に塗布するのは非常に危険です。ディフューザーなどで気化させて利用するのは可と言われていますが、その場合でもバジル、クラリセージ、サイプラス、ローズマリー、ペパーミントなど使用を避けるべきオイルが複数ありますので、基本的には利用しないほうが良いでしょう。
エッセンシャルオイルは、抗感染症や鎮静、抗不安などに作用するという報告もあり、関心が高まってきているものです。しかし、動物の使用効果や毒性、有効性についてはわからないことも多いことは心に留めておかなければなりません。
精油を安全に利用するためには、信頼できる製品を選ぶこと、正しい知識を持つことが大切です。愛犬をリスクにさらす可能性もあるものですから、獣医師に相談してからの利用をお勧めします。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Villar, D., Knight, M. J., Hansen, S. R., & Buck, W. B. (1994). Toxicity of melaleuca oil and related essential oils applied topically on dogs and cats. Veterinary and human toxicology, 36(2), 139-142.
[2] A Warning to Pet Owners Who Use Essential Oils
Featured image credit Phi Phi Hoang / Flickr
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