保護された犬などで誕生日がわからない場合でも、獣医師さんは「2歳くらい」「5歳くらい」と推定をしてくれます。

どこを見て何を判断し、年齢の推定をしているのでしょうか。

来歴不明の犬の年齢をどう推定するか？

来歴がわからない成犬の年齢は、経験豊富な獣医師でも簡単にはわからないものです。2歳あるいは3歳を超えた犬で背景情報がない場合には、2年ほどのマージンを取ったおおよその年齢の推定しかできないといいます。

一方、子犬の年齢を推定するのは比較的簡単です。身体の大きさ、脚の大きさ、皮膚の張り、ひょろっとした外観、そして行動（好奇心いっぱいでイタズラ好き）から子犬だ判断でき、歯の状態からおおよその年齢を推定するのです。

年齢を重ねた犬の場合は、白髪や白内障、肥満傾向といった外貌の変化の他、視力や聴力の低下、運動能力の喪失や認知機能から推定が行われます。ただ、老化の兆候は品種や生活習慣、そして病歴によってもかなり幅がでてしまうため、ざっくりとした年齢推定しかできません。

一般的には歯、そして目、被毛と皮膚、そして行動や身体の動きなどからの推定に血液検査の結果を合わせて、おおよその年齢を割り出します。

推定ポイント1：歯

子犬の年齢を推定するポイントは歯の成長です。子犬の歯は28本。2〜4週齢では歯は生えておらず、3〜4週齢で生えはじめます。前歯と小臼歯は4〜6週間齢以降に生え、8週齢ですべての歯が生えそろいます。4〜5ヶ月齢ごろに永久歯に生え変わりが始まり、7ヶ月齢ごろに永久歯42本が生え揃います。

この後は、歯の摩耗や黄変、汚れなどが判断ポイントになります。1歳ごろまでは歯は白く清潔ですが、2歳ごろから汚れがつきはじめ、歯垢も見られるようになります。3歳までには約80％の歯周病の徴候（黄変、歯茎の炎症、口臭）が見られます。5〜10歳では、歯はさらに磨耗し、一部は欠落し、腐敗なども見られます。

歯の状態は判断する際のポイントの一つですが、正確な指標ではありません。人間の歯と同様に、歯の状態は遺伝や日々のケアに依存します。硬すぎるものを噛み続けた若い犬より、毎日のケアを欠かさない10歳の犬のほうが、完璧な白い歯を維持できるケースもあります。

推定ポイント2：目

犬の年齢は目にも現れます。年齢を重ねると、核硬化症や白内障などが見られます。
核硬化症は犬種によっても異なりますが、6歳から8歳までに一般的にみられる症状で、年齢を推定する上で大きな助けとまります。瞳孔がわずかに灰色や白、または青みを帯びるようなるため、白内障と間違われることがありますが、白内障とは異なり視力には影響しません。

白内障も高齢犬に多くみられる病気ですが、白内障を患う犬の全てがシニアではないことには注意が必要です。例えば先天性疾患、眼の外傷または糖尿病のような他の代謝性疾患により若い犬でも白内障を患う可能性があるからです。

推定ポイント3：被毛と皮膚

人間と同様、肌や髪の状態にも年齢は現れます。一般的に白髪が現れるのは5歳ごろからですから、白い毛が見られる犬は中年〜老齢である可能性があります。体の一部ではなく全体に白い毛が確認できたなら、シニア犬である可能性は大きくなります。皮膚は弾力を失って乾燥し、洗っても匂いが残るようになります。

ただ、被毛と皮膚の状態から推定するのは、あまり良い方法ではありません。犬もストレスや荒れた生活から”若白髪”になったり、皮膚にたるみができることもあります。来歴から虐待などが窺われるなら、参考程度にしかならないでしょう。

推定ポイント4：行動

動作の速さや、睡眠時間の長さは、老齢であると判断するポイントになります。関節炎、失禁、及び体重老化も、老齢と判断する指標になるでしょう。非常に老齢になると、夜中に起き出しすなどの認知機能不全の兆候がみられることもあります。

推定ポイント5：血液検査

血液検査で腎臓、肝臓、膵臓、および甲状腺機能を検査するのも、犬の年齢範囲を特定するのに役立ちます。ある一定の年齢を超えたら、血液検査を含めて総合的に年齢範囲を推定することになります。

犬との暮らしを楽しむ上では、成犬になってからの年齢は、単なる数字でしかありません。結局のところ、犬の状態に合わせた適切な注意とケアができていれば良いということです。

Featured image credit Anoir Chafik / Flickr

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