サイトハウンド(視覚ハウンド、sighthound またはgazehounds)は、嗅覚ではなく主に視覚と走るスピードを活かして狩りを行う犬のグループです。
サイトハウンドに分類される10犬種
一般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC)は、以下の犬種をサイトハウンドに分類しています。
- アイリッシュ・ウルフハウンド (IRISH WOLFHOUND)
- アフガン・ハウンド (AFGHAN HOUND)
- イタリアン・グレーハウンド (ITALIAN GREYHOUND)
- ウィペット (WHIPPET)
- グレーハウンド (GREYHOUND)
- サルーキ (SALUKI)
- スパニッシュ・グレーハウンド (SPANISH GREYHOUND)
- スルーギ (SLOUGHI)
- ディアハウンド (DEERHOUND)
- ボルゾイ (BORZOI)
サイトハウンドの特徴
サイトハウンドは、視覚と走力で獲物を圧倒する犬たち。視覚と走力を伸ばす目的で選択交配された結果、痩せた体、長い脚、柔軟な背中、比較的大きな心臓や効率的な肺といった身体的特徴を有するようになりました。このグループに属する犬の最大の特徴は細長い頭部で、このおかげで広い視野が確保できる一方、左右の視野の重なりが小さくなるために物の奥行きが上手く把握できないという欠点も併せ持っています。
サイトハウンドに属する犬が、他の犬より視力が良いという科学的証拠はほとんどありません。しかし、網膜神経節細胞が多いことから、急速な動きを把握する高いのではないかという見方もあります(wikipedia)。
特徴1:とにかく俊足
サイトハウンドに属する犬は、とにかく足が早いのです。走る速度は時速65〜70kmと言われており、時速89kmと言われるチーターには劣るものの、ウサイン・ボルト(時速37.6km[1])を大きく上回る速度です。
このグループに属する犬は、ダブルサスペンションギャロップ(4本の脚が全て地面から離れるサスペンションが、1回のギャロップの中に2回ある)で走ることで知られています。他の犬もこの走り方をすることがありますが、サイトハウンドでは軽く流すときにもこの走法が見られます。
特徴2:古くからいる
サイトハウンドは、5000年以上の歴史をもつ、世界でもっとも古い犬種を含むグループです。サイトハウンドについての記載がある文献には2世紀ごろのものがあり、また紀元前7000年と思われる遺跡からはグレイハウンドと思われる骨が発見されています。
特徴3:家では穏やか
サイトハウンドがユニークなのは、外では活発で運動欲求が高いのですが、家では非常に大人しく、居住スペースが限定されたマンションなどにも適応できるというところです。無駄吠えが少なく、温和でおとなしい性格のため、集合住宅でも飼育が可能な犬です。ただし、サルーキ、アフガンハウンド、アイルランド・ウルフ・ハウンドは上手くいかない傾向がありますので、慎重に見極めなければなりません。
特徴4:追いかけたい!
素早く動き回る小動物や鳥を見ると追いかけずにいられないのがサイトハウンドに属する犬たち。このため、家族の猫には友好的でも、野良猫は獲物と見なす可能性があります。他の小さく素早く動くペットについては、一緒に飼うのは避けた方が良いでしょう。サイトハウンドには運動は必要ですが、長時間である必要はなく、むしろ彼らの自然な欲求を満たすような工夫した遊びを含めることが重要です。
特徴5:トレーニングが入りにくい犬もいる
独立心が高く、自分の石と判断力で狩りをしてきた犬たちです。アフガン・ハウンドなど、トレーニングが入りにくいと言われる犬もいます。
特徴6:クールで愛情深い犬
サイトハウンドは他の犬たちに比べ、愛情を表に出しません。尻尾をブンブン振り回すこともあまりありません。だからと言って愛情が薄いわけではありません。愛情の表し方もまた、独自の方法があるのです。飼い主にしなだれかかったり、足に頭を乗せて眠るなどの身体的な接触を好むのがサイトハウンドの特徴です。ラブラドールのように笑顔で尻尾を振らなくっても、飼い主への愛はあるのです。
Featured image credit Artem Sapegin / unsplash