フィラリア症は、事前対策により予防が可能な病気です。飼い主が正しい知識を持ち、しっかりと予防策を講じることが、愛犬たちを守ります。
そこで今回は、フィラリア症の予防のお話。予防策を講じる上で、勘違いしそうなポイントをまとめておきます。
フィラリア症とは
フィラリア症とは、「蚊を介して犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫が起こす病気[1]」のこと。成虫になると30cmほどになる犬フィラリアは、咳や呼吸困難、嘔吐など様々な健康障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある注意すべき病気です。
勘違いしがちな11のポイント
毎年何気なく行なっているフィラリア対策。知っていても知らずにいても、しっかり対策できていれば問題なし。もし「へ〜、そうなんだ」と思うポイントがあれば、是非是非覚えておいてくださいね。
・勘違い1:室内飼いだから大丈夫!
フィラリアは、蚊が媒介するものです。犬フィラリアが寄生した犬の血を吸った犬が、他の犬の血を吸うことでフィラリアに感染するもので、室内にいるからといって安全だというわけではありません。締め切った部屋で寝ていたのに、起きたら蚊に刺されていた…なんてことも、犬にだって起こり得ます。
・勘違い2:治療は予防と同じくらい簡単だ
予防薬を与えることは、面倒だけど難しいことではありません。一方で、治療は長い時間もお金も要する大変で難しいものです。個体の状態(年齢や寄生の状態)をみて、それぞれに合わせた処置が必要で、場合によっては手術や入院、長期の対処療法の実施が必要になります。予防して寄生させないに越したことはありません。
・勘違い3:フィラリア症では滅多に死ぬことはない
フィラリア症は、放置すれば死に至る病です。治療せずに放置すると、寄生虫は大きく成長し、血流を阻み酸素が行き渡らなくなることから、全身に様々な健康障害を引き起こし長く影響を与えます。処置が遅れると、治療が困難になり死を免れない状態になることもあるのです。
・勘違い4:フィラリアは接触で感染るの?
接触伝染性ではありません。フィラリアは蚊が媒介するもので、例えばドッグランでお友達とオモチャを取り合ったり、ガブリとされてしまったからといって感染るものではないのです(他の病気が感染る可能性はありますが)。
・勘違い5:フィラリアは犬だけかかる病気だ
感染した蚊に刺されたら、猫、他の哺乳類もかかることがあります。the American Heartworm Societyによれば、非常に稀にヒトもかかることがあるそうです。ただし、ヒトは寿命が相対的に長いため、死ぬまで体に居座り続けることはないとのこと。症状が出るときも、肺に少し影響がある程度だそうです。
・勘違い6:子犬は抗体を持っている
フィラリアは、年齢に関係なく投薬での予防が必要です。自治体や獣医師は「早めの予防」を呼びかけています。生後90日が目安という話もありますが、これに関わらず地域の獣医師さんと相談のうえタイミングを決めましょう。
・勘違い7:寒いし蚊はいないから大丈夫!
蚊は暖かく湿った状態を好むので、寒く乾燥した時期は活動が不活発。だからといって「冬だから大丈夫!」ということにはなりません。気候や地域(水辺など)によっては、冬でも蚊が活動することもあります。気温が15度以下になると吸血活動は不活発になると言われますが、あくまでも目安として考えてください。
・勘違い8:蚊のシーズンは毎年同じ時期に始まり終わる
寒い夏があり、暖かい冬がある以上、いわゆる”蚊のシーズン”も年により変わります。もちろん地域によっても変わってくるので、一般的なカレンダーに盲目的に従うのではなく、地域のかかりつけ獣医師さんに訊ねてみることをオススメします。
・勘違い9:フィラリアがいる犬はみんな病気になる
フィラリアが寄生したからといって、すぐに何らかの症状が出るわけではありません。犬の症状は「寄生してからの期間、寄生したフィラリアの数などで異なってきます。一般的に、寄生数が少ない場合や病気の初期の場合はほとんど無症状[2]」なのです。
・勘違い10:毎年お薬飲んでるから、今年の検査は不要
ワンコの具合が悪くないと「検査なんか不要なんじゃない?」と思ってしまいませんか?「昨年の飲み残し、そのままあげちゃおう」なんて発想も、ついつい出てきてしまうもの。しかしコレ、実はとっても危険です。勘違い9で示したとおり、無症状だけど寄生されている場合があり、その状態で予防薬を飲ませると激しいアレルギーなどの急性症状を引き起こすことがあるのです。検査を行わずして予防薬を与えるのは非常に危険です。
・勘違い11:今月はお薬飲まなかったけど、大丈夫だろう
予防薬の効果が切れれば、感染の可能性は高くなります。蚊の多い地域や、フィラリア発症の多い地域の活発ワンコさんなら、1回の投薬忘れでも感染してしまうことがないとは言えません。一方で、1年投薬しなかったけれど観戦しなかったという例もあります。生活環境によって異なるのです。心配ならば、獣医師さんに相談して投薬のタイミングや再検査についてのアドバイスを受けましょう。ちなみに感染したとしても、前の検査から6ヶ月超を経過していないと結果に現れないそうです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 犬フィラリア症について|ノミダニフィラリア.com
[2] もし犬にフィラリアが寄生してしてしまったら│DSファーマアニマルヘルス
Featured image credit Anja Pietsch / Flickr