2018年は日本だけでなく世界中で災害の多い年でした。
天災、人災、どちらでも、被害を受けるのは人間だけではありません。動物たちもまた、被害を受け命を落としたり、家を無くしたりするのです。
そんな過酷な状況でも、自分の仕事を全うし、仲間を守り続けた犬のおはなしをご紹介します。
ヤギを置いていくことを拒んだ犬
2017年10月8日、北カリフォルニアで山火事が発生。東京23区以上の広い地域を焼き尽くした火災は、1500棟超を焼き尽くし40人以上の死者を出しました。
ワインの生産地域として世界的に有名なソノマ郡も、被害にあった地域です。州知事が非常事態宣言を発令するほど火の勢いは強く、居住者は着の身着のままで逃げ出すしかありませんでした。
避難を余儀なくされた家族の中に、ヘンデルス一家もいました。荷造りの時間は数分しかなく、家畜のヤギの群れの救出は諦めるしかないと覚悟を決めたそうです。
プロパンタンクの爆発音、渦巻く熱風、金属のねじれ音の中、家族は家を飛び出そうとします。しかし、一緒に行くはずの犬のオーディンは、ヤギと離れることを頑なに拒んだのです。
家族は、最愛の犬を残して去ることを余儀なくされました。「すぐに死んでしまうに違いない」家族はそう思い涙にくれたそうです。
しかし、彼らは生きていました。数日後に焼き野原となった家屋跡に戻ってみたら、オーディンがヤギと一緒に家族を待っていたのです。
犬と8匹のヤギは、どうにかこうにか安全な場所を見つけ、炎の猛威から身を守ったようなのです。そして家族はそののちに、飼っていた鹿とも再会できました。
ヤギにも鹿にもオーディンにも、わずかな怪我しかありませんでした。「オーディンはヒーロー」と家族は称えます。家族は、避難生活が落ち着くのを待って、オーディンに暖かいお風呂と働きに見合う量のステーキを与えるとメディアのインタビューに答えています。
89匹の羊を守った牧羊犬
2018年夏、カナダのブリティッシュコロンビア州で山火事が発生します。7月に発生した山火事は多くの場所に飛び移り、その数は8月14日時点で600箇所に及んだそうです。立ち上る煙は大西洋に流れ出し、海を挟んだアイルランドとイギリスに到達するほどになりました。
マレンマ・シープドッグのタッドとソフィーも、この史上最悪の山火事に巻き込まれた動物です。襲いかかる火の勢いに、飼い主のランドリー家は、犬と90匹の羊を残して去るしか選択肢がありませんでした。
避難から20日。ようやく家のある場所に戻ることを許されたランドリー家は、そこにタッドとソフィーと、そして89匹の羊を見つけたのです。
近隣の家は焼け落ちていましたが、ランドリー家の家屋は奇跡的に無事でした。焼け野原にポツンと、家が残っていたのです。
「2匹の犬は羊たちを、山火事とクマやコヨーテから守りました。羊は、彼らなしでは生き残れなかったでしょう」
現在、ランドリー家は動物たちと共に普段の生活に戻ることができているそう。家族は犬たちに「ステーキとたくさんのナデナデ」をプレゼントしたということです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] They Thought Their Dog Had Died In the Sonoma Fires…But He Actually Turned Out To Be a HERO! | 22 Words
[2] Sheepdogs protect 90 sheep for 20 days during wildfires | Daily Mail Online
Featured image creditRoland Tembo Hendel/ facebook