ヨレヨレになった愛犬のお気に入りオモチャ。端っこは伸びきっているし色も全く変わってしまったけれど、移動するときは一緒だし、寝るときも離れません。他にもたくさんのオモチャがあるのに、気づいてみたらお気に入りと一緒にベッドの中でスヤスヤしています。
すべての犬がこのような特別なオモチャを持っているわけではありませんが、多くの犬はオモチャに対して「好き」「まぁまぁ」「苦手」など、なんらかの嗜好を持っているようです
愛犬たちはどのように、大好きオモチャを選んでいるのでしょうか。
本能が教えてくれる
犬は、それぞれがもつ本能を刺激するオモチャを好みます。これらは犬に「嬉しい」「心地よい」と感じさせるため、比較的長い時間犬の注意を引くことができます。
ほとんどの犬は、与えたり音を立てたりするおもちゃを好みます。音を出す柔らかいおもちゃは獲物を思い起こさせるため、その本能が隠れている脳の一部を刺激するようです。愛犬が音を出すオモチャや、噛むと変形するオモチャに特別な思い入れがあるのなら、野性時代の本能が疼いているのでしょう。
本能を呼び覚ますオモチャや遊びは、犬種によっても異なります。たとえばゴールデン・レトリバーはボールでの”取ってこい遊び”が大好きです。これは彼らが、獲物を取ってくるために繁殖されたとことと関係しています。
テリア、オーストラリアン・キャトル・ドッグ、アメリカン・フォックスハウンド 、ビーグルなどは、獲物を探し・追いかけ・捉えようとする傾向が強い品種として知られています。彼らは通常、噛んだときの感触と音に魅了されお気に入りのおもちゃを選びます。
メス犬がぬいぐるみに執着するならば、それは母性本能が関係しているのかもしれません。柔らかなおもちゃは子犬を思い出させ、感情的なつながりを覚えさせるためか、子犬と離れたメス犬にぬいぐるみを手放さない犬は多くいます。幼いときに避妊手術を受け、子犬を飼ったことのない犬でも、お気に入りのオモチャの母犬になることを選ぶコもいます。
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年齢によって好みは異なる
年齢も、お気に入りオモチャの選択に関係しています。歯の生え変わり時期の子犬たちは、硬いものを噛むと不快感が和らぎます。このため、ある程度のかみごたえのあるオモチャを選ぶ傾向にあります。
一方シニア犬は、柔らかくて安らぐおもちゃが好きです。年配の犬は歯が欠けたり、敏感になったりすることが多く、簡単につかめるおもちゃが好きです。
あなたが好むものが好き
犬もひとり遊びより誰かと遊ぶことを好みます。このため、あなたが犬と遊ぶときに選ぶオモチャを、犬が選んでいる可能性もあります。
いつも引っ張りっこ遊びをするのなら、愛犬は常日頃からロープや引っ張りっこできるぬいぐるみなどを口にくわえて、一緒に遊んでくれることを期待するでしょう。この場合はオモチャのことが好きというより、あなたと一緒に過ごす時間が大好きということになります。
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目新しいものが好き
研究によれば、犬は人間の子供と同じように、オモチャの特定の性質よりも目新しさの方に魅了される傾向があるのだそう。
目新しい方に魅力を感じる傾向は、心理学者がネオフィリア(neophilia:新しもの好き)と呼ぶもののこと。生物学者のワトソンによれば https://amzn.to/2Jybfhv 、この性質がある動物はネオフォビア(新しもの嫌い)に比べて、変化する環境を生き延びるのに有利なのだそう。動物のほとんどは保守的で、昔から慣れ親しんだものを求める傾向にありますが、種としてのヒトはチャレンジを好む「新しもの好き」の傾向があり、その業があるゆえに新たなチャレンジを繰り返すのだといいます。
犬にもどうやらこの「新しもの好き」の傾向があるようです。しかし人のそれとちょっと違うのは、犬の場合は「新奇な対象に強烈で一時的なネオフィリアを示す[1]」傾向にあるという点です。犬では「一時的(transient)」に目新しさに飛びつきますが、これに基づく興味は長く続かないことが多いのです。
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ということで、犬のお気に入りは一時的には「目新しさ」によっても決められます。これを真に受けてしまうと、365日犬を喜ばせるために365個のオモチャが必要になりますが、そんなすごいお買い物をする必要はありません。遊びの時間が終わったらオモチャをすぐに片付ける、毎日同じオモチャで遊ばないようにローテーションを組む、オモチャにフードを擦り付けて匂いを変えるなど、古いオモチャを”目新しく”する方法はいくらでもあります。愛犬を喜ばせるために、色々と工夫をしてみてください。新しいお気に入りが見つかるかもしれませんよ。
どんな理由で選んだものであれ、愛犬がお気に入りオモチャと仲良く戯れているのを見るのは、とても気分の良いものです。
お気に入りオモチャが古くなったからといって、無理に変える必要はありませんが、古くなったことで危険を伴うものになってしまった場合は修理するか買い換えることを検討しましょう。中綿が出てきたり、小物が取れてしまったり、硬い部分が出てきたオモチャは、犬の健康を害する恐れがあります。たとえそれが愛犬にとっての古い友人だとしても、心を鬼にして「さようなら」を告げなければなりません。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Pullen, A. J., Merrill, R. J., & Bradshaw, J. W. (2012). Habituation and dishabituation during object play in kennel-housed dogs. Animal cognition, 15(6), 1143-1150.
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