人生早期にペットと暮らすことは過体重とアレルギーリスクを減少させる(研究)

サイエンス・リサーチ
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家の中で走り回るフワフワの四つ脚家族は、赤ちゃんをアレルギーや肥満から守ってくれるのかもしれません。

ペットがいる家庭の赤ちゃんは、肥満及びアレルギー疾患リスクの低減に関連する2種類の腸内細菌レベルが高いとする研究[1]が発表されました。

アレルギーや肥満と関連する微生物が2倍

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image by … j e r e m y… / Flickr

研究を行ったのは、アルバータ大学(University of Alberta、カナダ)の研究チーム。746人の乳児を対象にした調査が行われました。調査のコホートは2009年から2012年までにプロジェクト(the Canadian Healthy Infant Longitudinal Development Study (CHILD) )に登録した妊婦で、妊娠中と産後3ヶ月以内にペットを飼った場合の報告が依頼されていました。

対象の746人のうち、半数以上の乳児が出生前及び/または)出生後にペットと暮らしていました。ペットの70%は犬を飼っており、うち8%は妊娠中のみ、46.8%は妊娠中から出生後に到るまでペットと暮らしていたことがわかっています。

この746乳児について、研究チームは便試料を調査(平均年齢は3.3ヶ月)しました。結果、ペットと暮らした乳児について小児期のアレルギー及び肥満と関連するルミノコッカスとオスシロスピラという2種類の微生物レベルがおおよそ2倍は豊富だということがわかりました。

研究チームのKozyrskyj博士は、これらの微生物はペットから母親に、そして胎児や新生児に引き渡されるとし、誕生前にペットがいなくなったとしてもその恩恵を受けられる可能性をも示唆しました。また、人生早期におけるペットとの暮らしは、新生児の血液感染症、肺炎、及び髄膜炎リスクを低減できる可能性もあるそうです。

ペットとの関わりは免疫系発達に必要

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image by PipeStone / Flickr

過去20年ほどの間に行われた関連する先行研究は、人生の早い時期に汚れやバクテリアに曝されることは、後のアレルギーを防ぐことができることを示しています。ただしそれが犬と関連しているかは、わかっていませんでした。

2013年にKozyrskyj博士らは24人の乳児の糞便サンプルを評価し、ペットと一緒に暮らす乳児は腸内微生物の多様性が高いことを発見しました[2]。さらに2015年にFallらは、人生早期に犬や家畜に曝露することは喘息のリスクを減らすとする論文[3]を発表しています。

今回の研究は、これらの先行研究に立脚するものです。Kozyrskyj博士は、「(ペットとの)相互作用は赤ちゃんの免疫系を発達させるために必要」だと述べています。「微生物は、病原微生物のような有害物質に反応することや、有益な微生物や栄養素には反応しないように訓練している」


研究結果を鵜呑みにして、「赤ちゃんができた!さぁ、犬を飼おう」という人はいないと思いますが、「赤ちゃんができた。犬との暮らしは諦めよう」ということが減るのならば、とっても嬉しいことですよね。

長年動物たちと暮してきた私たち人間は、微生物レベルで彼らとの暮らしを欲しているのかもしれませんね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Tun, H. M., Konya, T., Takaro, T. K., Brook, J. R., Chari, R., Field, C. J., ? Kozyrskyj, A. L. (2017). Exposure to household furry pets influences the gut microbiota of infant at 3?4 months following various birth scenarios. Microbiome, 5(1), 40. http://doi.org/10.1186/s40168-017-0254-x
[2] Azad, M. B., Konya, T., Maughan, H., Guttman, D. S., Field, C. J., Sears, M. R., … & Kozyrskyj, A. L. (2013). Infant gut microbiota and the hygiene hypothesis of allergic disease: impact of household pets and siblings on microbiota composition and diversity. Allergy, Asthma & Clinical Immunology, 9(1), 15.
[3] Fall, T., Lundholm, C., Örtqvist, A. K., Fall, K., Fang, F., Hedhammar, Å., … & Almqvist, C. (2015). Early exposure to dogs and farm animals and the risk of childhood asthma. JAMA pediatrics, 169(11), e153219-e153219.

Featured image credit Nathan Rice / Flickr

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