【犬のことわざ・故事成語】世渡り上手になる術も、犬ことわざが教えてくれる

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犬(狗)という言葉が使われている諺(ことわざ)や故事成語をご紹介する”イヌコトバ、ヒトコトバ”。

今回は、世渡り上手になるヒントが隠されているイヌコトバをご紹介。昔から変わらぬ”世の常、人の常”が、短い言葉の中に凝縮されていてます。なかなか含蓄深いものばかりですよ!

人はそれぞれ、自分の役割があるのだよ

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あいつは皆に愛されてるけど、俺は… image by beyondrandom / Flickr

社会に出ると、様々な人とコミュニケーションをしながら物事を進めていかなければなりません。人付き合いほど難しいことはないと思い知らされることも多いことでしょう。

「同期が行きたい部署に行ってしまった」、「あの人は常に華やかな成果を上げているのに自分は…」など、人と自分を比べて落ち込むことも少なくはないと思います。そんな時、思い出して欲しいのが犬は門を守り、武士は国を守るという言葉。犬と武士も、異なるけれど重要な仕事を持っているように、それぞれは何らかの役割を果たしているのだよ、という意味の言葉です。自分が今果たしている役割を、誇りを持ち自信を持って果たしていけばそれで良いのです。

ムカつく同僚や上司がいる場合には、犬も朋輩鷹も朋輩という言葉を思い出してくださいね。”鷹狩りでの犬と鷹は役割は異なれど同じ主人に仕える者同士。これと同様に、役目や地位が違っていてもどちらも同じ主人に仕えるならば、その人たちは”同僚”なのだ”という意味の言葉です。どんなに偉そうにしていても、所詮は人に仕える立場であり変わりはないわけです。もしムカつく相手が社長なら…仕える相手を変えてください。

横柄な態度は、誰に対してもダメですよ

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お前、そういう態度は良くないぞっ! image by smerikal / Flickr

慎み深いことを重んじる言葉は、諺や成語に多いのはアジア圏ならではなのでしょうか。

尊客の前には狗をだに叱らずとは、敬い重んずべき客の前では、イヌでも叱ったりしてはいけないという意味。なぜここに犬が出てくるのかは不明ですが、偉そうで横柄な態度をとる人は嫌ですよねぇ。尊い人の前でなくても、誰の前でも他の人を敬うようにすると、自分で自分を誇れるようになりますよ(そして犬たちにも好かれるかもしれません)。

”寄らば大樹の陰”の犬バージョン

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風除けにもなるし… image by bingham30069 / Flickr

身を寄せるなら、大きくて力のあるところに就くべしという考え方は、昔から多くありました。『寄らば大樹の陰』というように安心安全を求めるという理由もある一方で、大事を成すなら勢力のあるところに行った方が達成しやすいからという理由もありました。

犬になっても大家の犬は、単純に”大物に仕えた方が先々安全だ”という意味。大所の犬になるとも小所の犬になるなもほぼ同じではありますが、この言葉には物事をなすには大きな相手や勢力・権力のあるところでなければ大成しないという、成功を求める人へのアドバイス的な要素が含まれています。

さて、無事に職に就くことができたらどうしたらいいの?うまくやっていくコツも、犬たちから教わってしまいましょう。吠ゆる犬は打たるる尾を振る犬は叩かれずですよ。正直、吠えかかってくる犬よりも、じゃれついてくる犬の方が数十倍かわいいですよね。尻尾くらいをブンブン振り回してガンガン出世しちゃいましょう。ただ、やりすぎると『犬蹲い(いぬつくばい)』(相手にへつらうたとえ。犬のお座りが両手両膝をつく姿勢をとることから)といって嫌われちゃうかも。

ああ無情…不条理なことはどこでも起こる

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ふ、不条理… image by Fernando / Flickr

頑張って仕事しているのに、全く評価されないどころか怒られてばかり…。そうした不条理は、昔からたくさんあったようです。

米食った犬が叩かれずに、糠食った犬が叩かれるとは、大きな悪事をはたらいた者が罪を逃れ、小さな悪事を犯した者が罰せられるたとえ。大企業は影響が大きすぎて倒産させられない、小さい会社なら潰してしまえなんていう状況も、この言葉で表現できそうですね。またトカゲの尻尾切りのように、悪事を働いた大物は逃げ果(おお)せて、小物が捕まることを表す糟(かす)食うた犬は打たれず笊(ざる)なめた犬が打たれるという言葉もあります。食物を盗み食いした犬が逃げた後、空になった笊を舐めただけの犬が見付かって打たれる様子を表しているそうです。想像すると、ちょっとかわいそうで泣けてきますね。

もっと泣けるのは、狡兎死して走狗烹らるという言葉。必要なときは重宝がられるが、用がなくなればあっさり捨てられることのたとえだそうです。そして、殿の犬には喰われ損勢いの強い者やったことは、たとえ道理にはずれていることであっても泣き寝入りするしかないという不条理もあります。昔も今も、あんまり変わりないような気がするなぁ。

人の上に立つのはなかなか大変

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みんなのリーダーは責任重い… image by S. Carter / Flickr

大企業でも小さな会社でも、人の採用は大問題。会社が人を作る側面もあるけれど、会社を作るのも人なのです。

どうせ雇うのなら出来る人を雇った方が良い、というのは当たり前といえば当たり前。犬を飼うとも枕児を飼うなとは、犬を飼うなら弱いコではなく強いコを飼う方が良いのと同じように、できない人より優秀な人を雇うべしということを伝える言葉。”枕児”とは子犬が何匹か固まって寝るとき下になってしまう弱いもののこと[1]を指す言葉です。

悩んだ末に採用を決めたら、あとは優秀であろうとなかろうと、その人が活躍できるように尽くすのが上司というもの。門の犬にも用ありという考え方でいきましょう。何気なく玄関前にいる犬も番犬の役割を果たしているようにどんなものでも必ず役にたつということの喩えです。なんとなく印象が悪い言葉ですが、どんな人でも良いところを伸ばしてあげれば、力を発揮してくれるという考え方は、悪いものではありません。そしてその際には、杖を上げて犬を呼ぶということはせず、心から相手を尊重しましょう。”杖を上げて犬を呼ぶ”とは相手に対して下心があることの喩えで、どんなに親しそうに装っても相手は心を許さないよという戒めの言葉だそうです。

そして、犬がごうなら猫もごう(ごうは乞食を意味し、両者に区別はない)というように、各人を尊重してえこひいきなどしないことはとっても重要ですのでお忘れなく。

人を大切にしないと、噛みつかれちゃうよ

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がぶり! image by Alan Levine / Flickr

さて最後に、人に支えてもらうためには、それなりの覚悟が必要だということわざを三つ。

尾を振る犬も噛むことありとは、普段はおとなしい者でも、思いがけない行動や反抗に出ることもあるということ。従順なのにつけこんで、無理を言い過ぎると飼い犬に手を噛まれることになるかもしれません。ご存知の通り、日頃からかわいがり面倒をみてきた者からひどく裏切られたり、害を受けたりすることを表す言葉です。類語に手飼いの犬に手を食われるというのがありますが、どちらも「主人―飼い犬」の関係に相当する関係の場合にのみ使いましょう。ただの目上の人や友人には用いないのが普通です。

Featured image credit Grisha Bruev / Shutterstock

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