猫は室内で飼うべし〜外飼いの猫は感染リスクがほぼ3倍

サイエンス・リサーチ
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野外で飼われるペットの猫は、屋内で飼われている猫よりも、3倍近く病原体や寄生虫に感染する可能性が高いことが最近の研究により示されました。

感染により猫だけでなく人間にも害が及ぶ可能性があるということです。

論文はThe Royal Societyに掲載されました。


研究を行ったのはオーバーン大学(米アラバマ州)の研究者ら。研究は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、ドイツ、パキスタン、スペイン、スイス、オランダ、セントキッツなど12以上の国で発表された20以上の研究をメタアナリシスという手法を使って分析したもので、Toxoplasma gondiiやToxocara catiなど、人間、家畜、野生動物の健康に影響する19種類の病原体が調査されました。

研究によれば屋外で自由を謳歌する猫は、室内で飼育される猫より2.77倍病原体に感染する可能性が高く、これらの多くは人間に感染する可能性があるとのことです。

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image by Koen Eijkelenboom / unsplash

この研究ではまた、赤道から離れれば離れるほど屋外に放たれた猫はウィルスに苦しむ可能性が高くなることを示しています。研究の筆頭著者Kayleigh Chalkowskiは、「絶対緯度(absolute latitude)が1度上がると感染の可能性が4%増加する」と述べています。

なんとなく赤道近くの熱帯地域では、より多くの寄生虫などの問題が発生しているイメージがありますが、必ずしもそうでは内容です。同様に標高の高い場所にすむ野生動物も感染率は高く、猫が感染するリスクも同様に高いのだといいます。

日本でいえば、青森の緯度は40度、東京は35度。ただしどの地域であっても猫は屋内で飼育した方が健康を脅かすリスクを低く抑えることに繋がるそうです。

動物は、飼い主や所有者などに病気を伝染させることができます。犬、猫、アライグマは狂犬病を伝えることができますし、猫ではトキソプラズマ症を伝染させます。

この研究では、寄生虫等の感染を軽減するために、猫が家からどれだけ離れて活動するのかを確認し、猫が接触する動物の数を制限することを提案しています。また同時に、免疫システムが弱い子猫は室内で飼うべきだともコメントしています。

猫を室内で飼うべきかについては様々に議論が行われてきましたが、猫とあなたの健康を守るという観点からは、室内飼育の方に軍配が上がりそうです。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Kayleigh Chalkowski et al. Who let the cats out? A global meta-analysis on risk of parasitic infection in indoor versus outdoor domestic cats ( Felis catus ), Biology Letters (2019). DOI: 10.1098/rsbl.2018.0840
[2] For its health and yours, keep the cat indoors

Featured image creditPaul Hanaoka/ unsplash

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