アイダホ州ガーデン・バレーで犬の保護活動を行っているグランカー氏は6月下旬、近所をさまよい歩く高齢のレトリバーを保護しました。
発見され保護されたのは、チェサピークベイ・レトリバーのMo。9ヶ月前に行方不明になり、発見は困難と諦められていたワンコでした。ノミとダニで覆われた老いた犬は、見た目だけでなく行動も野犬化していたそうです。
当時13歳の元狩猟犬Moは、飼い主のキャメロン夫妻と共に昨年9月にアイダホ州のキャンプ地を訪れていました。狩猟旅行に同行したMoは同月13日、何かのきかっけでキャンプを離れ行方不明になってしまいました。
キャメロン夫妻の努力もむなしく、Moの行方は全くわかりませんでした。夫妻は3ヶ月間この地に留まりMoの捜索を続けましたが、厳しい冬の猛威に阻まれ、12月には捜索を断念することとなりました。
それから約半年後の2017年6月、Moが姿をくらませた地域に住むグランカー氏(Cheri Glankler)が1匹の老いた犬を保護しました。犬の被毛はぐしゃぐしゃで、身体はガリガリ。厳しい自然の中、自分の力で生き延びてきた様子が伺えるワイルドな外貌でした。Moの失踪について聞いていたグランカー氏は、犬種が同じ(チェサピークベイ・レトリバー)に見えることから、保護した犬がMoである可能性も検討したそうですが、確信を持つことはできなかったそうです。昨年の冬は寒さが厳しく、厚い巻き毛に守られた犬だとしてもと考えていたからです。
グランカー氏は犬の写真をFacebookにあげて情報を集めると同時に、Moの飼い主であるキャメロン夫妻に連絡を取ることにしました。Moである可能性を捨てることはできなかったからです。半信半疑だったキャメロン夫妻ですが、犬が保護されている施設を訪れ確認をすることになりました。
こうして夫妻とMoは、9ヶ月ぶりの再会を果たすこととなりました。
9ヶ月の長きにわたり野をさまよったMoは、外貌も行動も大きく変わっていました。厳しい自然はMoから聴力を奪い、体重の半分をも奪っていました。外観はみすぼらしく、心に傷を負っている可能性もありました。初めは飼い主の姿もよくわからなかったようだと言います。
夫妻も、Moであることをすぐには確信することはできませんでした。Moと夫妻はお互いに、時間をかけて家族であることの”証拠”を探しました。妻のシンディさんは、Moの右目の手術跡を探しました。夫のダーウィンさんは、しぐさからこの犬がMoであることを確認しました。そしてMoはかつて使っていた自分のベッドの匂いを嗅ぎ、家に戻れたことを確認しました。
そうしてMoと夫妻は静かに、家族に戻っていきました。心と身体に受けた傷を癒すには時間が必要ですが、少しずつ元の形に戻っていくことでしょう。キャメロン夫妻は、「再会を後押ししてくれた全ての人に感謝する」とコメントしています。
グランカー氏は現在14歳になる老犬に敬意を表し、Moに”レジェンド”というあだ名をつけました。厳しい状況にもへこたれず、自分で自分のことをレスキューし続けたMoは、まさにレジェンドと呼ばれるにふさわしい犬です。
以前のようにとはいかないでしょうが、Moが再び野山を散策できる日が来ることを願います。
Featured image credit After spending 9 months alone in mountains, lost dog is home | WYFF
迷子になった盲目の老犬〜7日間を生き延び、無事に家族のもとへ | the WOOF イヌメディア
森の奇跡と呼ばれる犬生還のお話。湿った森の中で、盲目の老犬が生き延びることができたのは、まさに奇跡としか言いようがありません。