頻繁な排尿は病気の現れである可能性がありますが、犬の飼い主なら誰でも知っているように、健康な犬でもチョビチョビとオシッコをすることがあります。
犬の頻繁な排尿の原因には、どんなものがあるのでしょうか。心配しなければならないのは、どんなときでしょう。
健康な犬の排尿
頻尿や多尿を疑う前に、まずは典型的な犬の排尿について知っておきましょう。犬は一般的には、4〜6時間に1回、排尿をします。犬によっては8〜12時間、排尿せずに過ごすことができます[1]。
オシッコの頻度を規定するのは、食事量、活動レベル、水分摂取量、家にトイレがあるか(外で済ませるか)で、あなたの犬のオシッコ頻度を知るには、あなたの犬の様子を実際に観察してみるのが一番です。
オシッコの頻度に、犬のサイズや犬種は影響しません。しかし年齢は、排尿頻度に影響します。子犬は膀胱が発達していないため、保持できる尿が少なく排尿頻度が多くなります。一般に3ヶ月齢をすぎた子犬の排尿間隔は、[生後の経過月数×1時間]で計算できます。3か月より若い子犬は、さらに短い頻度でオシッコをします。
また、高齢の犬も平均より頻繁にオシッコをする必要に見舞われます。投薬を受けている犬も副作用により、高い頻度で排尿することがあります。
犬が頻繁に排尿をする原因
上記のとおり、年齢は犬が平均より多くオシッコをする大きな原因です。この他、頻尿や多尿を起こす原因には、以下のようなものがあります。
・暑さによる多飲
暑い時期には、犬も喉が乾いて水を多く飲むようになります。犬は人間のようには汗をかくことができないため、パンティング(ハァハァ!)かオシッコとして、身体の余分な水分を排出します。
・マーキング
犬が意図的にオシッコを引っ掛ける行為をマーキングといいます。生理学的な排尿とは異なり、極端に少量の尿を垂直の物質に対して引っ掛けるものです。健康な犬でも飼い主をうんざりさせるほどオシッコを引っ掛けますが、犬にとっては自然な行動なので健康上の観点からは特に心配する必要はありません。
・ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが崩れが失禁などの問題がを引き起こすことがあります。避妊手術後のメス犬に見られる現象で、尿道の筋肉を維持するエストロゲンが減少したこと原因だと言われています。犬は自分で制御することができず、気がつく間も無く失禁します。ホルモンバランスの乱れによる失禁は、去勢されたオス犬にも起こり得ますが、一般的ではありません。
・食事の変化・感受性
カリカリからウェットに変更すると、フードに含まれる水分が格段に増えるため、飲水量が変わらない場合はオシッコの回数が増える可能性があります。
また、食物アレルギー(食物不耐性)の症状から飲水欲求が高まり、オシッコの頻度が増えることがあります。オシッコ頻度や量の変化に加え、かゆみ、かぶれ、顔面の腫れなどの症状がある場合には、獣医師に相談をしましょう。
・尿路感染症
尿路感染は、犬の頻尿の最も一般的な原因でし。腎臓から膀胱、尿道までのどこかに最近が感染し、炎症を起こした状態を尿路感染といいます。感染が起こると、残尿感により何度もオシッコをしようとしたり、尿に濁りや血が混ざることがあります。尿路感染症は、10〜14日間(より重症の場合は4〜6週間)ほど抗生物質を使用することによって治療できます。
・糖尿病
糖尿病も頻尿の原因です。糖尿病の犬は、やたらと多く水を飲むようになり、尿の回数や量が増えます。糖尿病の早期発見のためには飲水量と排尿を観察するのが良いと言われています。季節や運動量にもよりますが、一般的には体重あたり100ml以上飲む犬は、水の飲み過ぎです。
・クッシング症候群
クッシング症候群もまた、水を多く飲むため排尿回数が増える症状がみられる病気です。この他、腹部の膨満や脱毛、毛ヅヤが悪くなるなどの症状があります。
心配しなければならないのはどんなとき?
いつもよりオシッコの量が多い、または頻度が増えたと感じたら、その感覚が実際にはどうなのかを確認してみましょう。まずは一日に与える水の量を正確に測って与えることです。「体重あたり50〜90ml」におさまれば、おおむね標準的。それを下回るときや上回るときは、健康上の懸念があるでしょう。
オシッコについては、回数、間隔、量、色、匂い(頑張って嗅いでみて!)、おしっこ時に犬の様子(不快感があるか?)に不快感があるかどうかを確認しましょう。外でオシッコをする場合も、トイレシートを使って、色や量を確認すると良いでしょう。とりわけ外でトイレを済ませる犬は、オシッコの不調がわかりづらいものです。チェックポイントは次のとおりです。
- 尿の色、量、臭いがいつもと異なる
- 尿に血液が混ざる、濁り、黒っぽい
- 排尿時の緊張、鳴き声
- 尿道の開口部(おしっこが出るところ)を舐め続ける
- 元気がない、嘔吐、眠っている時間が長い、食欲不振
ウンチやオシッコは、犬の健康状態を雄弁に語ってくれます。可愛い愛犬の分身だと思えば、オシッコだって可愛いもの。しっかり様子を観察し、犬の不調を早期に発見する手がかりにしましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Frequent Urination In Dogs: How Often Should Your Dog Pee? – Care.com Community
[2] Is Your Dog Peeing a Lot? Should You Worry?
Featured image creditPaolo Cremonesi/ shutterstock
犬の尿を疑え〜愛犬のオシッコに現れる兆候と考えられる病気 | the WOOF イヌメディア
愛犬の尿は、彼らの健康のバロメーター。私たちの目には入らない、身体の中で秘めやかに進行している問題も、オシッコには現れてくるものです。 尿の異常は様々な病気の兆候です。免疫系の病気から感染症、そして泌尿器系の問題が隠れているかもしれません。