犬のSAD〜犬も”季節性うつ病”に苦しむことはあるのか?

健康管理
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季節の移り変わりが人間の気分に影響を及ぼすことは、よく知られています。季節性感情障害と呼ばれる症状は、秋から冬にかけ、決まって気分の落ち込みがみられる状態のことです。

犬も日が短くなったり気温が落ち込むと、この季節性感情障害と呼ばれる状態に苦しむことがあります。

季節感情障害(SAD)とは

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image by OlgaOvcharenko / Shutterstock

季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)とは、秋または冬に抑うつが始まり、春や夏になると治るサイクルを繰り返す季節性のうつ病です。このため「冬季うつ病」とか「季節性情動障害」などとも呼ばれます。

日照時間が少なく、気温が低くなり、光が弱々しくなるなどの変化に対応できないことが原因だと言われます。人間のSADの症状は季節性でないうつ病と同じで、気分の落ち込み、興味の減退、眠気や疲労感が続くなどです。ただし異なる点もあり、非季節性のうつ病では睡眠障害や食欲不振が現れますが、SADの場合は睡眠時間が長くなり食欲も増大します(甘いお菓子や炭水化物を求める)。

女性の方が男性より約3倍かかりやすいと言われており、赤道から離れるほど患うリスクが高まります。原因は日照時間が短くなること(光が不足することでホルモン分泌が影響を受けること)だと考えられています。

犬もSADになるのか?

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image by C_Gara / Shutterstock

犬もSADになるのかどうか、現在のところ決定的な答えはありません。ただ、人間と犬はメラトニンやセロトニンなどのホルモンが共通しており、ほぼ同じように機能することがわかっています。そうであるならば光の少ない冬の季節は、犬もSADに苦しむ可能性は十分にあるのです。

犬のSADに関する科学的な研究はほとんどありません。英国の慈善団体であるPDSA(the People’s Dispensary of Sick Animals)が行った調査[2]がありますが、飼い主を対象にした質問紙調査であるため、決定的なものとは考えられていません。

とはいえ、調査の結果は犬にもSADがある可能性を示すものになっています。調査によれば、犬の所有者の約40%が冬季のペットに気分の落ち込みが見られると回答し、5分の2の飼い主は犬の睡眠時間が長くなったと回答しています。なお、変化は犬に特有のものではなく、猫についても冬になると「悲しそう」で「遊びが減った」ことが確認されおり、犬と猫の両方で食欲が増えたことも確認されています

ウツウツとした犬〜その原因は光不足だけではない

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image by dogboxstudio / Shutterstock

SADの原因として有力なのは、日照時間の短縮と光が弱くなることです。光がメラトニンおよびセロトニンという2つのホルモンに影響するというのです。

メラトニンは松果体によって生成されるホルモンであり、体内で脈拍・体温・血圧などを低下させ睡眠に向かわせる作用があります。強い光を浴びると分泌が減少し、暗くなると分泌が増えて体を睡眠へ向かわせます。冬は強い光を浴びることが少なくなるため、メラトニンの分泌は少なくなります。

セロトニンは神経伝達物質で、ヒトおよび動物において食欲、気分および睡眠に影響することが知られています。気分を良くするこの物質は、日光に当たることにより多く産出され、冬には減少するものです。

しかし、犬の鬱々とした状態は、SADだけが原因ではありません。飼い主であるあなたの抑うつ状態が影響している可能性もあるのです。犬は飼い主を観察し、その気分を反映することは良く知られており、元気のない飼い主の犬の元気がなくなることは少なくありません。

冬季に飼い主の活動レベルが下がることも、影響している可能性があります。犬は単に、退屈しているという可能性です。人は、1月よりも6月の方が外にでる時間が増えるでしょうし、犬を連れて様々な場所を訪れる機会も増えるでしょう。十分な運動や精神的刺激を与えられていない犬は、季節に関係なく抑うつ状態に陥るものです。

冬の犬を幸せにする方法

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image by Sergey Golotvin / Shutterstock

解決方法の一つは、愛犬が日光浴できる機会を増やすことです。家具のレイアウトを変え、愛犬のベッドを日の当たる場所においてあげるか、ゆったり休めるスペースを確保してあげましょう。

また、散歩の時間の変更もとても効果的です。光の強くなる時間帯を選んで、犬たちを外へ連れ出すことで、愛犬の気分も上向きになることでしょう。

お散歩の時間は元気になるという犬なら、単に退屈が原因のうつ状態かもしれません。散歩の時間を長くとるか、それができないときは散歩コースに工夫をするか、家での遊びを充実させるなど、精神的刺激を多く与えるようにしましょう。

もちろん、獣医師に助けを求めるというのは常に最良の選択です。プロバイオティクスや必須脂肪酸(オメガ3)などのサプリメントが効果を発揮する可能性もありますが、犬がSADを患っているかは正確にはわからない段階で与えるのはリスクが高すぎます。別の病気が原因である可能性を排除するためにも、抑うつ状態が懸念される場合は、必ず獣医師のアドバイスを受けましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] SAD – Royal College of Psychiatrists
[2] Do Dogs Have Winter Blues or Suffer from SAD? | Psychology Today
[3] Seasonal Affective Disorder (SAD) in Pets | Can Pets Suffer From Seasonal Affective Disorder? | petMD

Featured image credit Fotyma / Shutterstock

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