多くの犬は外で過ごすことを好みますが、外の世界が恐ろしいと感じる用心深く慎重な犬もいます。
愛犬が恐怖を感じているサイン
恐怖を感じた犬は身体全体を使って、「怖いよ」「苦しいよ」と伝えようとします。
犬に次のようなボディランゲージがみられたら、何かに怯えている可能性があります。
- 尻尾を隠す(お尻にたくしこむ)
- 耳を後ろに倒す
- 白目が見えている
- 片方の前脚を上げる
- 唇がめくれあがる(歯が見えることもある)
- 身体を低くする
- 暑くないのにパンティング(ハァハァする)
- 頻繁なあくびや震え
何にどの程度の恐怖を感じるかは、その犬になってみないとわかりません。あなたにとっては何でもないものでも、犬によっては激しい恐怖を起こすこともあります。
ストレスシグナルを発している犬に、無理強いすることは問題をさらに悪化させるだけです。恐怖の対象と無理に向き合わせることは、絶対にやめましょう。たとえば、他の犬が恐怖の対象になっているときに、無理に挨拶させてはいけません。もちろん、叱ったり罰することもNGです。一旦、犬が安心できる状態に戻してから、理由を探り、対処の方法を考えるようにしなければなりません。
なぜウチの犬は外出を怖れるのか?
あなたの愛犬が外での冒険を恐れている場合、その理由として、以下のことが考えられます。
・外に慣れていない
外のお散歩をしたことがない子犬や、新しい家族の元に引き取られた犬は、はじめて行う「散歩」という行動に恐怖を感じた可能性があります。幼い子犬であれば、首輪やハーネスを装着した感覚や、リードで引っ張られる感覚に馴染みがないため、そこに恐怖を感じるということも考えられます。
・過去の恐ろしい経験
犬の中には、怖い経験をした後に外出自体を嫌がるコもいます。慎重で繊細なワンコなら、外で聞いたサイレンの音が嫌だったのかもしれません。お散歩の途中で、大きな声で吠えられた経験が、怖かったのかもしれません。あなたがちょっと変わったものを苦手に思うのと一緒で、犬もそれぞれ、恐怖を感じる対象も、恐怖の程度も異なります。
・社会化が不十分
生後3〜12週間くらいまでの、社会化期または感受期に、多くの人や物、場所や状況に晒される経験をしなかった犬は、散歩をするのを怖がることがあります。世界を楽しいものととらえるためには、この時期に「新しい所に出かけても、新しいことにチャレンジしても、安全なんだ」という安心感と確信をもつ必要があります。しかし、刺激に晒されたことがない犬は、慣れない経験に圧倒され、恐れを感じることがあるのです。
・普段と異なる環境
普段は雄大な自然の中で暮らしているワンコは、都会の騒音や人の多さに恐れを抱く可能性があります。逆に都会っコは、舗装されていない道や慣れない音を苦手とするかもしれません。
・痛みがある
普段は元気にお散歩するのに、いきなり歩くことを嫌がるようになった…という場合は、怪我や病気を疑ってみる必要があります。爪や肉球が傷ついていないか、歩き方がおかしくないか、身体を触られることを嫌がることはないか、などを確認してみましょう。痛みがあれば犬ではなくても、歩く意欲は減退します
・大きな音が怖い
わたしたちが慣れっこになっている音も、犬にとっては恐ろしい音である可能性があります。大きな音のするバイクや、ガラガラ音を立てて脇をすり抜けるスケートボード、風の強い日に看板がガタガタいう音に、愛犬は恐怖を感じた可能性も考えられます
外を怖れる犬に飼い主ができること
外を恐れている理由が医療に関する問題ではない場合、飼い主ができることは「恐怖に向き合って慣れさせる」という”スパルタ方式”ではなく、「外は安全で楽しい場所であることを教える」ことです。
無理に連れ出したり、苦手なことに晒す(例えば、苦手な犬と無理に挨拶させる)ことは問題を悪化させるおそれがあるのでやめましょう。
「外は安全」と教えるための方法には、たとえば以下のようなものがあります。
・恐怖の原因になるものを避ける
散歩の時間やコースを変えることで、犬が怖がるものをを避けるようにしましょう。できるだけ、犬が落ち着いて楽しむことができる静かな場所(時間)に外出しましょう。
・玄関を楽しい場所にする
無理に外に出すのではなく、まずは玄関を楽しい場所にして、忍耐強く犬を外に近づけましょう。犬が先に進む準備ができたら、外へ一歩ずつ踏み出しましょう。
・外出用のスペシャルオヤツ
ワンコはみんなオヤツが大好き。外出のときにだけ食べられる特別なオヤツを用意すれば、「外にでると楽しいことがある」と覚えてくれるかもしれません。言葉での賞賛やアイコンタクトも、愛犬にとっては大きな励みになります。
・他の犬とのご挨拶を遠慮する
ときには勇気のいることかもしれませんが、他のワンコがご挨拶しに来てくれたときは、遠慮する意を伝えましょう。小型犬であれば、抱っこをして遠慮の意思を伝えるのも良いでしょう。
もしも愛犬が、上に記したことでは到底対処できないような、強い恐怖に襲われている場合には、獣医師に相談することをお勧めします。そのコに合った対処方法を一緒に考えてくれますよ。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Why Is My Dog Scared of Going Outside? | PetHelpful
[2] How To Read Your Dog’s Body Language | Modern Dog magazine
[3] Why Is My Dog Suddenly Scared to Go on Walks? | PetHelpful
Featured image creditAfrica Studio/ shutterstock