愛犬の目の周りの黒ずみ汚れに悩んでいる飼い主さんは少なくありません。この「涙やけ」、せっかくの可愛いお顔が台無しだし、なんとなく不潔っぽいので、なんとか解決したいものですよね。
今日は飼い主さんが頭を痛める「涙やけ」についてのまとめ。原因や対策について、しっかり頭に入れておきましょう。
涙やけって何だろう
涙やけは、犬(および猫)の目の下の被毛が赤茶色に変色すること及びその状態をいいます。
変色は、犬の涙に含まれるポルフィリン(porphyrins)によって起こります。ポルフィリンは、血球が破壊されることによって生成される鉄分を含む老廃物で、唾液や涙として排出されます[1]。これが細菌感染や酸化を引き起こし、変色させると言われています。
ポルフィリン生成及び分泌の量は遺伝、環境、個体の健康状態など、様々な要因の影響を受けます。
涙やけは、ボクサー、ブルドッグ、ペキニーズ、パグ、シー・ズーなど短頭犬種と言われる犬種に多くみられます。眼球が飛び出している犬はその形状からドライアイや炎症になりやすいため、身体が角膜を守ろうとして涙として水分を供給し角膜の潤滑に維持しようとします。しかし目が突き出ているため水分をためておくことができず、常に涙が流れ出す状態になってしまうのです。
プードルやコッカー・スパニエルなどには逆さまつげが多いため、やはり涙やけは多いとされており、明るい色の被毛の犬は、変色しやすい(目立つ)ようです。
涙やけが起こる原因
涙やけの主な要因は、流涙症(Epiphora)または涙漏(涙腺の過度の分泌または涙管の閉塞による涙の過剰な流出)です。
流涙症の原因は、遺伝や身体のつくり(異常)によるもの、病気によるもの、そして食餌や生活習慣によるものなど様々です。
- 逆さまつげ(眼球に向かって睫毛が生える、睫毛が内側に反っている状態)
- 眼の感染症
- 涙管(涙道)の異常な腫れ
- 涙管(涙道)閉塞・狭窄
- 緑内障を含む眼の病気
- 眼瞼内反(瞼縁が眼球側に向かい、まつげあるいは瞼縁の皮膚が角膜を刺激している状態)
- 短頭種症候群
- 耳の感染症
- 目(及び周り)の怪我
- 伸びすぎた毛による絶え間ない眼球への刺激
- 薬物治療の影響
- 受動喫煙の影響
- 質の悪い食事の影響
- フードボウルの材質(プラスチック等)
- ストレス
- 乳歯遺残(永久歯が生えた後に乳歯が残ること)
涙やけは病気や炎症も引き起こす
目の周りが常にウェットな状態にあるのは、犬にとっても気持ち悪いばかりでなく、不衛生でもあります。もし、目の周りからひどい匂いがするのなら、なんらかの感染症にかかっているかもしれません。赤というより茶色っぽい涙やけが見られるのなら、病気を疑った方がよく獣医師のアドバイスを受けることをお勧めします。二重まつげや逆まつ毛、眼瞼内反症など、場合と症状によってはかかりつけ獣医師が、専門医を紹介してくれるでしょう。
涙やけを減らす方法
ひどい涙やけや、涙が異常に出るときは、獣医師さんに相談を。「ちょっと気になる」程度なら、定期検診や予防接種などの機会に相談をしてみると良いでしょう。
普段の生活の中ででも、涙やけを減らす方法はいくつかあります。
- フードの見直し:質の高い、個体の状態に見合ったフードを選択する
- 水の見直し:質の良い水を与える
- フードボウルの見直し:プラスティックから、ステンレスやガラスのボウルに変更する。また、ボウルの周りを清潔に保つ
- サプリメントを検討する:涙やけに良いと言われるサプリメントを見つけてあげる
- 毎日のグルーミング:目薬を使う、水を含んだコットンボウルなどで目の周りを拭く、目の周りの毛をカットする、ドライシャンプーで清潔を保つなど
涙やけに限らず、ドライアイなど目に関する問題は、多くの飼い主さんが悩んでいるものです。これを解決しようとする薬やサプリメント、商品などは多く発売されていますが、使用の可否と効果は個体の状態によっても大きく異なります。愛犬の健康を大きく左右する薬やサプリメント等の使用の前には、獣医師及び専門家に相談をしましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] What May Be Behind Your Pet’s Unsightly Tear Stains
[2] Dog Tear Stains: How to Prevent Them – American Kennel Club – American Kennel Club
Featured image credit Jenni Sweat / Flickr
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