受動喫煙がペットに及ぼす悪影響を考えるシリーズの第2弾は、”三次喫煙”についてです。
「煙は上に吐き出しているから、体高の低い犬には問題ないでしょう」という考え方が大きな間違いだということは、前回お伝えしました。有害物質は床面に落ちて滞留するので、むしろ幼児やペットに大きく影響するのでしたよね。
それでは、「犬の前では吸ってないから大丈夫」という考え方はどうなのでしょうか?残念ですが大丈夫ではありません。”三次喫煙”もペットたちに悪影響を及ぼすことがわかってきているのです。
三次喫煙ってなんだろう
副流煙残留物とも呼ばれる三次喫煙は至るところに存在し、何年間も持続するといわれています。ナショナル・ジオグラフィック日本版は2014年3月の記事で、「子供のそばを避けて外で喫煙する母親が部屋に戻って赤ん坊を抱えた場合、その子供は三次喫煙にさらされることになる。この新たな化合物は、除去が難しいだけでなく性質が長期にわたって持続し、発癌性も疑われる」と伝えています。
三次喫煙は二次喫煙(受動喫煙、間接喫煙ともいう)と同じくらい危険であると言われます。
三次喫煙はペットにも有害
2007年に発表された研究では、30匹のヨークシャーテリアを対象にした二次喫煙及び三次喫煙の影響が調査されました。非喫煙者がたばこ煙成分を取り込んでいることの確認は、バイオマーカー(吸入され体内に吸収された化学物質)を測定することによって評価されます。例えば尿に含まれるコチニン(タバコ属に含まれるアルカロイドで、高用量を投与すると重度の興奮や呼吸困難が現れる有害物質)の濃度を測定する方法があります。測定を行った結果、喫煙者と生活を共にする犬の尿からは、高い量のコチニンが検出されました[2]。
また、喫煙環境で暮らす犬には、マクロファージやリンパ球の増加や、長期にわたる気道の肥大など、鼻腔がん、口腔ガンそして肺がんの前兆とも解釈できる症状が見られました[2]。まるで犬たちが直接たばこに手を出しているかのような、深刻な悪影響を受けることもあるようなのです。
たばこを吸った後には手を洗う
その量がほんのわずかだとしても、長年蓄積されれば肺組織などに重大な影響を及ぼします。愛犬を大切にしたい飼い主さんは、どうやって三次被害を防いだら良いのでしょうか。
もしご家族が喫煙者であれば、理想的なのはこの機会にきっぱりとタバコと手を切ること。もう少しハードルを下げると、ペットと触れ合う前に手を洗う、上着を脱ぐなど有害物質を渡さない工夫をすることです。
また、食事や旅行の時は禁煙の施設を選ぶこと。残留物は長年にわたり室内に滞留するそうですから、喫煙者が使用していない部屋を借りる、引越しをする、車を選ぶというのも良い選択。これはペットのためだけでなく、あなた自身の健康を守るためでもあります。できれば禁煙。頑張りましょ!
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Sleiman, M., Gundel, L. A., Pankow, J. F., Jacob, P., Singer, B. C., & Destaillats, H. (2010). Formation of carcinogens indoors by surface-mediated reactions of nicotine with nitrous acid, leading to potential thirdhand smoke hazards. Proceedings of the National Academy of Sciences, 107(15), 6576-6581.
[2] Roza, M. R., & Viegas, C. A. A. (2007). The dog as a passive smoker: Effects of exposure to environmental cigarette smoke on domestic dogs. Nicotine & tobacco research, 9(11), 1171-1176.
Featured image by Alden Chadwick / Flickr
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