むし歯の発生を防ぐ添加物としてその名をとどろかせるキシリトール。甘いのに自然界に存在し、甘いのに安全で、甘いのに虫歯を防いでくれるという嬉しいものですが、残念ながら犬にとっては毒になる食べ物なのです。
犬が口にすると毒になるキシリトール
キシリトールとは、糖アルコールの一種で5個の炭素を持つ甘味炭水化物です[1]。ガムやタブレットなどの商品名としても使われているので、一般にも馴染みのある添加物ですよね。
最近では多くの食品に使われているキシリトール。人には安全な食べ物ですが、犬が口にすると例えそれが少量でも命を危険にさらす恐れがあるのです。
「甘味料ってことは、シュガーレスの商品には含まれていないんでしょ」というのは大きな間違い。カロリーが低いことから、砂糖の代替品として使用されることが多く、むしろシュガーレス商品の方が危険なのかもしれません。
キシリトール含有の主な商品は以下のとおりです。
- ブレスミント
- 咳止めシロップ
- 噛むビタミン
- マウスウォッシュ
- 歯磨き粉
どのように健康を害するか
犬がキシリトールを口にすると、短い時間でひどい症状が見られるそうです。嘔吐に始まり、動きが鈍くなる、ぐったりするなどの低血糖による症状が見られるようになります。愛犬がキシリトールを口にした疑いがあるのなら、まずはすぐに病院に連れて行きましょう。
主な症状は以下のとおりです。
- 嘔吐
- 衰弱
- 四肢の協調運動不能
- 気分の落ち込み、元気がない
- 発作
- 意識障害、昏睡
犬がキシリトールを食べた時の健康被害
ペットの医療相談を行うPet Poison Helplineによれば、2014年にキシリトール摂取が疑われる相談が2700件ということです。うち99%は犬に関する相談で、さらにそのうちの43%が緊急医療措置につながるものだったと言います。
キシリトールが含まれる人間向け商品の増加に伴い、キシリトール関連の健康相談は増加しているとのこと。米国では多くの犬たちが好むピーナッツバターにもキシリトールが使われた商品が登場し、良かれと思ってあげたものが毒になってしまったこともあるとのこと。とりわけ”自然甘味料使用”や”自然の甘みを活かした”と謳っている商品には注意が必要だということです。
なぜ人間には安全なのに犬には毒になるのか
人間も犬も、血糖の量が一定に保たれることで、脳や筋肉、内属が動いて生命が維持されています。血糖の量が一定に保たれないと、身体の機能が正常に働かなくなるというわけです。
血糖の量は、膵臓がインスリンというホリモンを作り出し、分泌することで一定量に保たれます。人間の場合、キシリトールがインスリンの放出を促すことはありませんが、犬が口にした場合は異なります。キシリトールは血流に素早く吸収されて膵臓に届き、インスリンの放出を促すのです。インスリンが過剰に分泌されると血糖値が異常に下がり、上記のような症状を引き起こします。
愛犬をキシリトールから守るには
とにかくハンドバックなどに頭を突っ込ませないよう気をつけること。気分転換にと思って入れておいたミントや、焼肉屋さんでもらったガムなど、食いしん坊達に食べられると大変なことになります。
また、お掃除の時に磨粉の代わりに歯磨き粉を使用した場合には、綺麗に拭き取ることをお忘れなく。いい匂いにつられてペロリとしてしまっったら、これまた大変です。
- 人間の食べ物で加工食品や出来合いの物を与えるときは、必ずラベルを確認すること
- 犬の肉球が届く場所に食べ物を置かないこと
- 歯磨き粉は必ず犬用のものを使うこと(人間用は絶対にNG)
- バックや上着など、犬がマズルを突っ込みそうなものは片付けること
今後さらに多くの商品に使われることが予想されるキシリトールを避けるのは、なかなか至難の技っぽいのですが、本当に少量で命の危険にさらされてしまうことがのです。人間の食べ物のおすそ分けはできるだけ避ける、そしてお留守番の際には物を片付けてから外出、など”良い習慣”をつけるように切り替えていく方が良さそうです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Consumer Updates > Xylitol and Your Dog: Danger, Paws Off
[2] キシリトール|キシリトール基礎講座|日本フィンランドむし歯予防研究会(JFSCP)
[2] インスリンはどのような役割? | 糖尿病がよくわかるDM TOWN
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ちょっと待て!人間用薬は危険です!! 獣医師の診断なしに薬を与えるのは超危険 | the WOOF
ちょっとお腹を壊しただけだから…とか、以前に獣医師さんが処方してくれたから…とか。理由は様々にあるのかもしれませんが、人間薬を犬に与えるのはとっても危険な行為です。 いたい〜。どうにかして〜。image by ramsey beyer / Flickr petMD では、人間用薬について 不適切に服用させることは非常に危険。命を奪う恐れもある と警告しています。